キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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恋の受験戦争


宣誓


あおいちゃんの怪我も無事に完治した3月。
ホワイトデーにはガトーショコラを貰った(すっげー甘い奴!)
やっぱり「手作り」ってのはいいよなー、なんて思っていた頃。


「練習試合?」


部活の顧問から話が出た。


「そう。春休み中に、帝丹中と!その挨拶に行こうかと思って」
「それ俺も行っていいですか!?」
「お?おー、いいぞ」


あおいちゃんに黙って帝丹行ってバッタリ遭遇、とかしたらすっげービビりそうだよな、なんて。
その程度の軽い気持ちで顧問に着いて行くことにした。


「あ!あおいちゃん、見ーっけ!」


我ながら運は良い方だと思う。
帝丹の敷地は広いけど、どーにかなるだろうと思って行ったら見事どーにかなって、あおいちゃんをすぐ見つけることが出来た。


「なっ、なんで教えてくれなかったの!?」
「あおいちゃんの驚く顔が見たくてー!」


案の定大きい目を更に大きくして驚いているあおいちゃん。
帝丹のセーラーも可愛いよなー。
なんて思っていた時、


「あおい?」


随分と気安く名前を呼ぶ奴が現れた。


「誰だ?コイツ?」


それはもう根拠のない、俺の直感。
けどその直感が言っている。
コイツ、あおいちゃんのことが好きに違いない、って。


「あおいちゃんの知り合い?」


そう聞いた俺のことをものすげー目で睨んできた。
俺から目を逸らすなんてするわけもなく。


「あっ、あの……工藤くん?で、こっちが快…黒羽くん?」


俺は売られた喧嘩は買う主義だ。


「おい、あおい」
「あおいちゃん」
「「そーいうこと聞いてんじゃ」」
「ねーだろ」
「ねーんだけど?」


ユニフォームからサッカー部、か。
しかも10番。
…そういやうちのサッカー部の奴がなんか言ってたな。
帝丹にすでにJ1からも声がかかってるらしい俺らとタメのエースストライカーがいるって。
コイツのことか?


「あっ、あのっなんっていうか…工藤くん、は、保護者、みたいな?」
「保護者ぁ!?」
「ひぃ!?……で、快…く、黒羽くん、は、弓道部関係の、」
「うっそ!俺友達カウントされてねーの!?」
「え、ええええええ」


そこは普通、他校の友達、じゃねぇのかよ!?


「おい」


なんて思った時に、目の前の男ークドウーが俺に向かって声をかけてきた。


「オメーが冬休みにあおいと会ってた奴か?」
「……そーだけど?」


その言い草は、俺とは知らずとも誰かと会うってことはすでにあおいちゃんから聞いてた、ってわけで。


「俺もオメーに聞きてぇんだけど」
「あ?」
「あおいちゃんがハワイに連れてってもらったって言ってた友達ってオメーのこと?」
「んなことオメーには関係ねぇだろ」


怒りを隠そうともしないクドウ。
これはもう間違いない。
あおいちゃんの言っていた自分によくしてくれる保護者のような存在の友人は間違いなくコイツのことだ。


「ね、ねぇ、工藤くん!ほら、部活があるんじゃないの!?行かなきゃじゃない!?ねぇ、」
「おい」
「う、うん!?」
「黙ってろ」
「………か、快斗くん!そろそろ帰らなきゃじゃないの!?ねっ!?」
「あおいちゃん」
「うん!?」
「ちょっと静かにしてよーね」
「……………ハイ」


確かにあおいちゃんは「保護者のような友人」としか言ってなく、ソイツが女だとは一言も言っていなかった。
それを俺が勝手に財閥令嬢の友人だと思ってただけ。
…けどまさかそこまで世話焼いてる奴が、こんな目つきの悪ぃ男だなんて思うわけねぇだろ!?


「あー、新一ここにいた!先生が探してたよ?」


その時、校舎の方から道着を着た女の子が出てきた。


「らーーーーん!!!!」
「えっ!?何?あおいもいたの?どーしたの?」


その子はあおいちゃんの友人なようで、クドウとあおいちゃんの間に立った。


「え?あ、あれっ?もし、かし、て…黒羽、くん?」
「そーだけど…会ったことあるっけ?」
「あ、会った、っていうか、去年の練習試合にうちに来た時あおいといたところ見たし、」
「…あー、あの時」
「そ、れにその後もあおいからいろいろ話し聞いてた、し…?」


そう言われて少しだけホッとした。
友達カウントもされてなかったらどうーしようかと一瞬思っちまったから…。
周りの子に俺の話をするくらいは、きちんとカウントされてるってことだ。


「蘭、オメーは」
「おー!黒羽ここにいたか!探したぞ!そろそろ戻るから準備しろー」


まだ話しは終わってねぇけど仕方ねぇ。


「はい、今行きます。…あおいちゃん。夜電話する。またね」


顧問の車に乗り込むと、


「お前、帝丹に知り合いいたんだなー」


軽い口調で会話が始まった。


「えぇ、まぁ」
「ユニフォーム着てた子って、あの有名な子だろ?」
「…『有名』?」
「おー。帝丹サッカー部の10番、工藤新一!お前も本読むなら知ってるんじゃないか?父親があの小説家の工藤優作で、本人はサッカーの申し子って言われててJ1入り確実って噂が江古田まで流れてる子だろ」
「…」
「親の七光どころか自分も才能持ちとか、神様に好かれてていいよなー」


あははー、と顧問は笑う。
…あぁ、「だから」あの子をハワイ呼んだりなんだり出来んのか。
そりゃ世界的有名な小説家の息子なら金は腐るほどあるだろう。


「先生」
「おー、どうした?」
「俺今年、全中優勝目指します」


何が腹立つのかわかんねぇくらい腹立ってる中、そう言葉に出して誓った。



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