キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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恋の受験戦争


開幕


快斗くんにバレンタインとしてフォンダンショコラを作ってもらってから数週間。
私の足もすっかり治り、世間じゃ年度末になろうとしていた。
ちなみにあの後も快斗くんが俺毎日こっち来ようか?くらいな勢いだったから丁重にお断りした。
何故なら、


「え?博士の家?」
「おー。頼んどいたから、せめて松葉杖取れるまではそこにいろよ」


スキー合宿から帰ってきた翌日、工藤くんがうちに乗り込んでそう言ってきたからだ。


「い、いや、私大丈夫だし、」
「バーロー!大丈夫じゃねーから言ってんだろ?怪我してる時くらい甘えればいいだろ」


工藤くんはやっぱりいつも、私を助けてくれる。
困らないように、先に先にって、動いてくれる。
…やっぱりちゃんと、快斗くんのこと話そう。
工藤くん、「黒羽、黒羽うるせー」って言って怒ったけど、それは私が煩くしたからであって、ちゃんと落ち着いて話せばきっと…。
でもどうやって話そう。
実はあの時「黒羽、黒羽」と煩かった彼と今じゃすっかり仲良くさせてもらってるんですよ、とか?
冬休みの弓道部関係の人が実はびっくり!快斗くんだったんです!!とか?
いや、それはダメだ。
実はびっくり!じゃねーよっ!!ってキレられるのがオチだ。
どーしよう、どーしよう、ってない頭をフル回転させて考えていたら、


「あ!あおいちゃん、見ーっけ!」


盛大に見つかった。
んん?と思って振り返ると、


「か、快斗くんっ!?」
「よっ!お疲れ!」


学ラン姿の快斗くんが、何故か帝丹中学の敷地内にいた。
…えっ!?!?!?


「えっ、はっ!?なんで!?どうしたの!?」


驚く私に快斗くんは可笑しそうに笑いながら、


「俺今年ブチョーになった、って言っただろ?だから顧問と練習試合の申し込みにきたの!」


そう言ってきた。


「なっ、なんで教えてくれなかったの!?」
「あおいちゃんの驚く顔が見たくてー!」


あははー!と笑う快斗くん。
…くぅ!やっぱり私服よりも制服の方がキチンと感あるから爽やかグレード増し増し!!
なんて思っていたら、


「あおい?」


今1番聞こえてはならない人の声が聞こえてきた。


「オメー何やってんだ?こんなとこで」


私は自分でも思うけど、人よりちょっぴり鈍くさいと思う。
それに伴って、運が悪かったなー、なんて思う時がある。
………でもこれ、運が悪いとか言うレベルじゃなくない!?


「誰だ?コイツ?」


工藤くんが私の真後ろに立った気配がした。


「あおいちゃんの知り合い?」


私の正面にいた快斗くんも、私にそう聞いてきた。
…サイアクだ!


「あっ、あの……工藤くん?で、こっちが快…黒羽くん?」


2人の間に立って手を動かしながら、工藤くんと快斗くんの名前を言ったわけだけど。


「おい、あおい」
「あおいちゃん」
「「そーいうこと聞いてんじゃ」」
「ねーだろ」
「ねーんだけど?」


2人がほぼ同時に言ってきた。
…ひーーー!!!!!


「あっ、あのっなんっていうか…工藤くん、は、保護者、みたいな?」
「保護者ぁ!?」
「ひぃ!?……で、快…く、黒羽くん、は、弓道部関係の、」
「うっそ!俺友達カウントされてねーの!?」
「え、ええええええ」


なんでなんでなんで。
いつかちゃんと言い方とかまとまったら言おうと思ってた。
でもそれがなんでこういう1番サイアクの形でバレるの!?!?


「おい」


どうしよう、どうしようって脳内がうぇあああ!!ってなってた私を他所に、工藤くんが快斗くんに話しかけた。


「オメーが冬休みにあおいと会ってた奴か?」


工藤くんは現在私の真後ろにいるわけで、どんな表情なのかはわからない。
でも、


「そーだけど?」


目の前の快斗くんは、今まで見たどの笑顔とも違う顔で笑っていた…。


「俺もオメーに聞きてぇんだけど」
「あ?」
「あおいちゃんがハワイに連れてってもらったって言ってた友達ってオメーのこと?」
「んなことオメーには関係ねぇだろ」


…快斗くん笑ってるけど、これ怒ってるんじゃないの?
この表情どっちなの!?


「ね、ねぇ、工藤くん!ほら、部活があるんじゃないの!?行かなきゃじゃない!?ねぇ、」
「おい」
「う、うん!?」
「黙ってろ」


なけなしの勇気を振り絞って工藤くんを振り返ったら、ギロリと睨まれ瞬殺された…。
ならば、と思って快斗くんに向き直って説得しようとするけど、


「か、快斗くん!そろそろ帰らなきゃじゃないの!?ねっ!?」
「あおいちゃん」
「うん!?」
「ちょっと静かにしてよーね」
「……………ハイ」


ニッコリと微笑まれて言われたけど、ぜんっっっぜん快斗くんの目が笑ってなくて。
どうしようどうしよう、って。
やっぱり言わなきゃいけなかった、と思ってもじゃあどう言えば良かったのよ!?って心の中で逆ギレしかけた時、


「あー、新一ここにいた!先生が探してたよ?」


天使の声が辺りに響いた。

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bkm

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