キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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天空の難破船


スカイデッキで


名探偵と別れ、一旦ダイニング付近に身を潜めた。
テログループは中森警部たちがお縄にしたようだった。
て、なると、どーやって盗むかなぁ、レディスカイ。
テログループから恐らく次郎吉じーさんの手に戻っただろ?(そこ確認してねぇけど)
このままダイニングにいられちゃあ、そう思った時だった。


パァン!


銃声が響いた。


「ソイツらを縛り上げたんなら、今度はあなたたちが縛られる番よ」


あれは確か日売テレビのスタッフ2人。
テログループの仲間だったのか…。
ここでアイツらの縄を解かれても困るし、アイツらの出方次第じゃ出てくしかねーな。
…いや、待てよ?
ダイニングに名探偵がいねぇ、ってことは、まだどっかでコイツらのお仲間がいる可能性があるな。
てことは、下手に動くと邪魔しちまう可能性もある。
あおいちゃんに実害ねぇなら、もう少し様子を見るか…。


「お前は動くな。話は聞いてるぜ?空手の達人だそうじゃねーか。余計なことされちゃ死体が増えるだけだぜ?そっちの2人で他の奴らの手を縛れ」


そう思っていたら、ロープで縛る人間に任命されたあおいちゃん。
…こう言っちゃなんだけど、その人選ミスってると思うぞ…。
いや、俺はそこも可愛いと思う。
俺はね?
でもこのテログループvs大富豪&警視庁の殺伐とした空間で、あの子に手縛らせるなんて、


「しっかり縛りあげろよ?緩めてたらテメェらの頭に穴が開くぞ」
「…………あ、あれ?これなんで解け」
「サッサとやらねーか!手抜いたら頭ぶち抜くぞ!?」
「ひぃぃぃ!?!?」


時間かけてくださいって言ってるようなもんだろ…。


「あおい!あんたはそこ抑えてて!」
「こ、こう…?」
「そう!」


あおいちゃんがもたついてる内に、園子ちゃんがカバーに入ってくれたから、あおいちゃんに風穴開けられることなく、無事全員の手を縛り上げることができた。
あおいちゃんたちも縛られたあとで、テログループとこのテレビスタッフに扮してた2人組が仲間割れをさした。
いや…、元々コイツら仲間じゃなかったんだろう。
その時だった。


「っ!?」


微かに、でもはっきりと床が傾き始めた。
念のため辺りを見回すが、俺に向かって降ってきそうなものはない。
あおいちゃんたちもロープで縛られてる分、このまま傾き続けても大丈夫だろう。


「おいおいおい、」


傾き始めた、と思ったらそのままほぼ垂直になるまで飛行船は傾き続けて。
それまで壁だったところを床として立っていた。
…この位置からじゃダイニングがどうなってんのか見えねぇが、今動くのは危ねぇし。
そう思った時、垂直に向かい動いていた飛行船がピタリと止まり、元の位置に戻り始めた。


「ふぅ…」


完全に元の位置に戻ってから、ダイニングを盗み見ると、壁に激突して気絶したらしい犯人2人組が床に転がっていた。
…今のはきっと、名探偵の仕業だろう。
てことは、これで事件解決、ってことだろうと踏んだ俺は、


「いやー、驚きました!いきなり床が傾くんですから!」


あおいちゃんのいるダイニングに姿を見せた。


「おのれキッド!」
「おっと!」


中森警部を軽く躱した後であおいちゃんに目を向けると、


「…」


心底ホッとしたような顔をしていた。


「コナンくんはっ!?」
「あのぼうやなら無事ですよ?もうじき、ここに来るでしょう」


蘭ちゃんにそう言った後で、あおいちゃんの側に行き、ロープを解いた。


「じゃあ、皆さんのロープも解いてやってください」
「あー!キッド様!私もー!!」


園子ちゃんの言葉はもう無視だ無視。
今ここで園子ちゃんのロープ解くと煩そうだし。


「待てー!キッドーー!!」
「ぅわっ!…もちろん、警部のロープは最後でよろしく」
「キッドー!こらーー!!」


さっきコイツ、自分のカバンに入れてたよなぁ、と…あった!


「では皆さん。お約束通りお宝はいただいて参ります」
「待て!逃げるなキッド!!」
「おのれコソ泥めっ!」
「怪盗ですよ!」


そう言いながらダイニングを離れ、この飛行船で月が見える場所、スカイデッキに向かった。
このどこよりも天国に近い場所で、この宝石が透けたのなら…。
そんな祈りを籠めて月に翳したけど…。


「透けるわけねぇ、か…」


今日のベストはレディスカイがパンドラであることだった。
でもそう上手くはいかないもので。
…けどまぁ、アイツにあの薬飲ませることが出来たんだから、ヨシとするか。
そう思った時だった。


「それも、違った?」


いつからいたのか、聞き慣れた声がこの静かな空間に響いた。

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bkm

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