キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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天空の難破船


共闘


船内に潜り込み、ダイニング付近に行ったがあおいちゃんと蘭ちゃんがいない。
…何より、ダイニングには園子ちゃんの泣き声が響いている。
まさか発症したのか…?
蘭ちゃんは確かに藤岡に掴まれていたけど、あおいちゃんまでってどういうことだ?
…そういうやテログループがやって来た時、蘭ちゃんの隣にいたな…。
けどそれだけだろ?
その程度で感染するのか?
それとも俺が飛行船を降りてから何かあったのか?
どうするか脳内フル稼働させるが、そもそもこれが本当に「殺人バクテリア」なのか、ってところから疑問になってくるわけで。


「とりあえず一旦名探偵の出方を見てくるか」


あおいちゃんたちのこともきっと知らねぇだろーし?
お互いの邪魔にならねぇためにもアイツの動向を把握しとかねぇとな。
…早速名探偵を発見したのはいーけど、なんだアイツ?
犯人の手袋取って何確認してんだ…?
…この位置からじゃ見えねぇな。
アイツ、梯子上ってベルトスタンばってるってことは、まだお仲間が来るみてぇだし。
もう少しここで様子見てっか。


「キャットBなら屋根の上で伸びちゃってるよ。おかしいねぇ?猫は背中から落ちたりしないのに!」


おーおー、盛大に喧嘩売ってら。
無線から途切れ途切れに聞こえる声の様子だと、お仲間もっと増えそうだな。
どーすっかなぁ…。
下手に動いて巻き込まれんのも嫌だし!
…それにさっきのあの行動も気になる。
ガチャっと扉が開いてお仲間登場。
名探偵はすでに臨戦態勢に入ってるし。
俺が言うのもなんだけど、アイツ早死にするタイプじゃねーか?
いやでもあんだけ無敵なら死なねぇか…。
ああいうゲームありそうだよな?
コントローラーBでめちゃくちゃ早く動く、とか。
アイツ少年マンガのヒーローなだけじゃなく、ゲームのヒーローなのかよ…。
そうこう考えているうちに、名探偵が上に上がってきた。
今のうちに下に降りて、伸びてるヤツを確認するか。


「幸せそーな顔して寝てらぁ」


俺が麻酔銃で眠らされたらと思うとゾッとする武器だよな…。
…えぇっと、確かこっちの細い方だったよな。


「…爪が黒い?」


あれ?
そういやコイツ、水川を喫煙室に連れてった奴じゃねーか?


「…なるほど、ね」


口元が緩むのがわかった。
そういうカラクリだったわけだ。
んー…じゃあどーすっかな。
あおいちゃんが今も不安がってるなら行ってやりてぇけど、蘭ちゃんがいるとなると迂闊に近寄れねーしな…。
今も怖がってるかもしれないあおいちゃんには悪ぃけど、先に仕事片づけてからにするか。
…名探偵もスカイデッキに行くみてぇだし。
勝負はそこで、だな。
あおいちゃんを怖がらせた罰はしっかり受けてもらうぜ?シャム猫さんよ。


「動くな!」


スカイデッキの上で隠れてると、名探偵が華麗にテログループを倒した。
でも俺からの心の篭ったプレゼントが気になるらしい。
指に集中してた矢先に後ろからもう1人に近づかれた。
…まぁ、ほんとにやばくなったら助けてやるけどな。


「それを捨てろ!…そのまま手を挙げてろ。…見てたぜぇ?いろいろやってくれるじゃねぇか!ほら!ソコに手をつけ!!」
「つ、つかなきゃダメ?」
「逆らうんじゃねぇ」
「はい」
「俺は他のヤツらみたいにん?うおっ!?うああああああ」


うーわ、あおいちゃんの言ってた通り、ベタな仕掛けが隠されてたな、おい。


「あーあ、だから言ったじゃん?」


その直後銃声が響く。
おーおー、次から次へとモッテモテじゃねーか。


「あー!!」
「うん!?うあああああああ」


今のもあおいちゃんが言ってた電流って奴?
マジでビリッビリに感電してんじゃねぇか…。


「おいおいマジかよ!」
「え?」
「なぁに?今の?」
「次郎吉さんがオメーのために用意した3つの仕掛けだ」
「あっぶねぇ、あぶねぇ!とんでもねぇじーさんだな!」
「つーかお前、ずっと上にいたのかよ?」
「「!?」」


開いたエレベーターに同時に反応する。
って、いきなり撃ってくんなってのっ!!!


「くらえっ!!!!」
「ぐああああ」


俺、麻酔銃もだけど、あのボールにだけは当たりたくねぇわ…。


「すげぇ!」


ほんと「一発」でノックアウトかよ!
ニヤって笑う顔は、本来のコイツの、工藤新一の姿に見えた。


「戦士の勲章、だな?」
「いっ!」


…ん?
なんだ?この文字…?
「新一…?」って、は?これ蘭ちゃんからの絆創膏だよな?
え?もしかして蘭ちゃんまた疑ってんの?
ヤバくね?


「残りの人聞いてるー?リーダーやっつけちゃったよ!他の3人も」


なんて思ってる間も、無線で残りのお仲間と交信。
しばらくしたら探偵団バッチとか言うのに連絡が入ってきた。


「江戸川くん!こっちの2人もやっつけたわ!」
「了解」


今のは哀ちゃん、だな。
前も思ったけど、やっぱりコイツらは、俺に縋らなければならないほど、一蓮托生ってわけね。
あおいちゃんの話だと、確か小さくなる薬を作ったのも哀ちゃんて話だし、もうちょい時間あったら、協力者Dくらいになってたかも、しれねぇな。


「ねぇ、誰と電話してたの?それもこんなにたくさん!」
「…」
「ふぅん、話したくないなら、」
「それをどうするつもりだ?」
「素直に白状しないと、これの中身をかけちゃうよ?」
「…好きにしろ」


テログループと名探偵の会話。
決まり、だな。


「中身は漆。殺人バクテリアなんて最初からなかったんだろ?」
「キッド!?…なんでお前がこんなガキと一緒にっ」
「コイツはただのガキじゃないんでね。なんたって俺の大事な大事な協力者だからな。なぁ、コナンくん?」


軽く俺を睨むような目で名探偵が見てきた。


「んじゃまぁ、俺は行くからよ」
「え?」
「ここにいたら中森警部や次郎吉じーさんが来んだろうが」
「…だな」
「あおいちゃんと蘭ちゃんが喫煙室に行ってる」
「え?」
「俺は行けねぇから、オメー行ってやって大丈夫だって言ってやってくんねぇか?」
「…ああ」


頼んだぜ、名探偵。
…さて、後はお宝をどうやって手に入れるか作戦練り直すとすっかな!

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bkm

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