キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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夢をみていた


最後の分岐点


ベルツリー急行の事件は、貨物車から火災が発生し、火事の影響か連結部分から離れた貨物車がその後火災からくる爆発を起こした、って報道された。
…ほんと、誰も大きなケガしなくて良かった。
そしてベルツリー急行の騒動も落ち着いき、秋、というわりに、今年の10月は気温の高い日が続いた。
快斗くんは相変わらずキッドとして忙しそうな日々を送っていたし、コナンくんはコナンくんで、周囲にいろんな人が増えていってる(沖矢さんとか)そんな日々を過ごしていた。
そんな10月のはじめ、


「あおい」


下校中、1人で歩いていた時に声をかけられた。
振り返った先にいたのは、


「っ、」


私をこの世界に連れてきてくれた人。
何を言われたわけでもない。
それでもただ佇んでいたその人を見て、わかってしまった。
もうすぐ、この夢のような、奇跡が終わるんだ、って…。


「今ならまだ、間に合う」
「え?」
「両親にお別れの時間があるよ」


その一言で、私が感じたことは間違いじゃないんだ、って。
ほんとのほんとに、「その時」が来るんだ、って…。
そう思った。


「どのくらい?」
「うん?」
「あと、どのくらい?」


自分でも少し、声が上擦っているのがわかる。


「こちらの世界で、あと10日というところかな」


あと10日で、全てが終わる。


「ちょ、っと、考えることは…?」


私の質問にその人は一瞬黙ったけど、


「与えられるのは3日だ」


はっきりそう言った。


「あおいがキミの両親とお別れをしたいのなら、それ以上はここにいれない」
「3日…」
「その間に、いつでも、心の中でも、ボクに話しかけてくれたらキミを連れて行く。でももし、キミが最期までここにいると言うなら、10日後また迎えに来るよ」


そう言って、その人は姿を消した。
…今はもう、なんとなくでしか思い出せないお父さんとお母さん。
すごく仲が良かったわけでもなければ、仲が悪かったわけでもない。
本当に普通の家族だった。
最期に、お父さんとお母さんに会う…?
でもそしたら私は…


ピリリリ


そう思ったところで、電話が鳴った。
着信は園子からで。


「はい?」
「あおい、今大丈夫?」
「うん、なに?」
「あんたも飛行船乗るでしょ?キッド様が狙いそうなビッグジュエルを積んだおじ様特注の飛行船!」
「…それいつ?」
「10日後!乗るよね?」


人はこうやって、わかりやすく分岐点が存在すると思う。
私はきっと今、長い長い、夢を見ているんだと思う。
奇跡のような夢を。
その夢の世界での私の短い人生で1番の、そしてきっと最大の分岐点に立つことになった。

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bkm

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