キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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漆黒の特急


原作にある事件


「あれ?」


世良さんにどういう接し方をしたらいいのか考え始めた時、また扉が勢いよく開いて、コナンくんが立っていた。


「あ、あのさ…、ここってほんとに、」
「8号車だって言ってんでしょ!ガキンチョは部屋に戻っておとなしくしてろってぇの!」


ためらいがちに聞くコナンくんに、園子が声を大きくして答える。
その言葉に驚いた顔をしながら、コナンくんは扉を閉めた。


「な、なんかさぁ、いっくらミステリートレインだから、って、コナンくんたち騙すのちょっと心苦しいね?」


そう言った私に、


「大丈夫だろ?コナンくんなら直ぐにこの謎を解くと思うよ」


答えたのは世良さんだった。
…なん、か、この言い方、もしかしてこの人、探偵だし、コナンくんの正体に何かしら感じるものがあるのかもしれない…。
なんて、そんなことを思った。


「ちょっと、あんたね」


直後、また扉が開いたものだから、園子がコナンくんに声を上げた。
けど、


「この部屋ってさぁ、ホントのホントは7号車のB室…だよね?園子姉ちゃんたちももらったんでしょ?これと似たカード」


コナンくんはニヤリと笑って言った。
その言動に、私の隣にいた世良さんが「ほらな」とつぶやいた。
コナンくんは推理する。
私たちがカードの指示通り部屋を入れ替えたんだ、と。
それに蘭が頷いて、実はこうだったんだー、って伝えた。
園子は園子で、真相をあっという間に見抜いたコナンくんにちょっとおこになった…。


「それよりはじめましてだよな?君だろ?灰原って子」


世良さんは唐突にコナンくんたちの方に歩みよって、少し身体を屈めながらそう言った。
…新一くんに興味ありありで、哀ちゃんにも興味ある謎の探偵。
…も、もしかしてこの人、組織の人的な!?


「君とは1度、お話したかったんだよね」
「だっ!ダメダメ!!」
「え?」


哀ちゃんに詰め寄る感じに近づこうとした世良さんの前に割って入った。


「何が駄目なんだい?」
「ダ、ダメだって!その顔、子供たち怖がるって!もっと優しく!可愛い顔で!!笑って!!」


哀ちゃんと組織の人(疑惑)が接触なんて、絶対に避けなきゃいけないことだ。
考えるよりも先に体が動いちゃった私は、世良さんの間に入ったものの、どうしたらいいかためらった結果、いっそのこと世良さんの男顔のせいにした。


「え?僕の顔怖い?」
「怖いって!蘭や園子見習って!!そんな怖い顔してたら歩美ちゃんも哀ちゃんも泣いちゃうって!!」
「歩美、別に泣かな」
「泣いちゃうって!!!」
「…そっか、ごめんな。もう少しにこやかにすれば……誰だっ!?」


私との話途中で、世良さんがバッ!と扉の方に目を向け歩いて行った。


「…今、ドア越しに誰かが覗いてたって思ったけど…」


世良さんがキョロキョロと通路を見てる間に、哀ちゃんを歩美ちゃん、コナンくん、私で隠すように立った(きっと歩美ちゃんは無意識)
…やっぱり世良さん、気を許すのは危険な人、な、気がする!
新一くんのことやたら気にしてるし、何より哀ちゃんに近づこうとしてるのが怪しさマックス!
これ後で快斗くんにも言った方がいい、よね…。
そんなことを考えていたら、みんながミステリートレインのミステリーを解決させたから車掌さんに言いに行こう、ってなって。
…今の間にちょっとメールして、と。


「8号車に行って、被害者役の客に聞いてみるしかなさそうだな」


私がメールしてる間に、車掌さんと話しあっていたみんなは、今回のミステリーは用意されてた奴とは違うって言われて。
みんなで8号車に向かうことになった。
そして8号車B室の前まで来ると代表して園子がノックした。


「ちょっとおじさん、もうトリック、バレちゃったわよ。出てきて説明してよ」


扉越しに声をかけても返事はなく。


「まさかうちらの部屋で寝てるんじゃ」


そう言いながらドアノブに園子は手を回す。
…けどさ、私たちもかなり寛いで紅茶飲んだじゃん…。
あんまり人のこと言えないんじゃ?なんて思っていたら、


「硝煙のニオイ…」


コナンくんと世良さんが異変に気がついて扉をこじ開けた。


「ほんとに亡くなってるよ」


中で人が亡くなっていた…。
…待って待って待って待って待って。
やっぱりこれ絶対、原作にある事件だよね?
だってキッドが出る上に殺人事件だよ!?
は?バカじゃないの?なんでこんな大型密室空間みたいな電車の中で殺人事件起こすの!?バカじゃないの!?快斗くんが大変になるじゃん!!バカじゃないの!?!?


「とりあえずオメーらと、あおい姉ちゃんたちは部屋に戻っててよ」


これは殺人事件だ。
なら犯人がいるはずで。
探偵スイッチが入ったコナンくんがここからみんなを離そうとする。


「余計なことはすんな!俺が戻ってくるまで部屋に鍵をかけて誰が訪ねてきても絶対に開けんじゃねぇぞ!」


珍しく。
本当に珍しくコナンくんは怒鳴るようにそう言った。
…コナンくんのこの焦り方、絶対ヤバい!
世良さんだけじゃない、ヤバい感じする…!!
そもそも部屋からむやみに出歩かない方が、快斗くんの邪魔にならないし!


「み、みんなほら!部屋に戻ってよう!ね!?」


そう思った私は全力でコナンくんに乗っかった。
蘭たちは、この現場には小五郎おじさんを呼ぶ、ってことで落ち着いた。
…ほんとのところは、何がヤバくて何がまずいのかわかってないんだけど、とにかくヤバい感じむんむんなのは伝わる。
私は私に出来ることを、がモットーな私は、速やかにこここら離れ、みんなが1つの部屋に留まるように動いた。

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bkm

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