キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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漆黒の特急


共犯者


「わ、私さぁ、ミステリートレインて初めてなんだけど、蘭は乗ったことある?」


とりあえずベルツリー急行に乗り込もうぜー、ってなって乗り込んだら、さすが鈴木財閥って感じの通路からして見るから高そうな装飾の車内に驚きを隠せずにいた(だって所詮私はただの女子高生)


「私も初めてだよー」
「ミステリートレイン、だから、列車の中で推理する、ってこと?」
「そうみたいだよ?乗客が探偵になって、何かのイベントが発生するからそれを推理していくんだって!」


ちょっと楽しみだよね、と蘭は言う。
…でもさぁ、うっかり推理に夢中になって快斗くんの邪魔になったらどうしよう、って思うじゃん。


「それより、早く客室に行って、あおいはカバンを先に置いた方がいいよ」


蘭が苦笑いしながら私のカバンを指差してきた。


「そ、そんなに目立つ?」
「うーん…、目立つとかよりも、重そう」
「そんなに重くないから大丈夫だよ!」
「え、あ、たぶんそういう問題じゃない、かなぁ?」


あははー、と蘭は言う。


「何かあっても、あおいが怪我しないように私が守るから、次からはそんな大荷物持って来なくていいよ?」


ふんわりと笑いながら言う蘭。
…を、見て、


「……………快斗くん?」


思わず口から出てしまった。
だってそんな私を守るなんて言ってくれちゃう代表格なんて快斗くんだからそんな蘭は優しいけどまさかそんなそんな女の子から言われるなんて


「え?黒羽くん?」


って、思ったわけだけど、本当にただの強い女子高生なだけのエンジェル☆毛利蘭の優しさだったみたいで、蘭が声を裏返して聞き返してきた。


「あ!いや、なん、か、快斗くんが言いそうな言葉だなー、とか、」
「…園子じゃないけど、ほんとにあおい、なんで元サヤに戻らないの?」
「いっ、いろいろあるの!」


そう言って蘭に背を向けた。
…だってそんなあんな言い方されたら快斗くんかと思っちゃうじゃん!
日常会話で女の子から「私が守るから」なんて普通言われないでしょ!?
まさかほんとに蘭だなんて思わないじゃんっ!!
でも今の会話聞いたらただ意地張ってるだけの快斗くん大好き人間みたいに聞こえるじゃんっ!!!


「あ!ここみたいだね」
「…広いねー」
「そりゃそうでしょ。一等車だもの!」


園子が用意してくれた一等車は、私が思っていたよりずっと広かった。


「駅で止まらないんだね?」
「終着駅までほぼノンストップらしいわよ?目的地不明のミステリートレイン!」


終着駅までほぼノンストップ、ってことは、車内で何があっても列車は急に止まれない、ってわけで。
それはもう、快斗くんの邪魔にならないようにしないと、と思った。


コンコン


「…ん?今ノックされた?」
「だよね?はいはーい?…あれ?誰もいない…ん?手紙が、」


ノックが聞こえて蘭が扉を開けたけど、誰もいなくて、1枚紙が落ちていただけだった。
蘭がその手紙の封を切って読み上げた。


「…おめでとう!あなたは共犯者に選ばれました!7号車のB室で被害者役のお客様が待っています。部屋を入れ替え、訪れた探偵たちには8号車と伝え推理クイズを盛り上げてください」
「へー、共犯者!ミステリートレインてこういう感じなのね」


園子と一緒に蘭が持ってる手紙を覗き込む。
こういうの初めてだから、私も園子と同じように「へー」って感想だ。


「じ、じゃあ指示の通り、動こっか?」
「そうだね。きっと私たちが行かないと始まらないだろうしね」


そう頷きあって、8号車のB室から7号車のB室へと向かった。
部屋を交換する時にばったり偶然世良さんと再会したから、結局4人で部屋の中に入った。


「あ、紅茶飲む?」
「え?で、でもさ、ここの勝手に使っていいの?」
「部屋入れ替えたんだから、今ここが私らの部屋だしいいでしょ」


園子の一声で、紅茶を飲むことになった(ちなみに世良さんは飲み物より先に手紙見せてと言ってきた)
紅茶も淹れて、さぁ飲むぞって時に(ちなみに園子、蘭で並んで座って、私は世良さんの隣)バーン!と扉が開いた。


「えっ!?」
「あらコナンくん、どうしたの?」
「レディーの部屋に入る時はノックぐらいしなさいよ」
「あ、いや…、ここって7号車だよね?」


コナンくんが聞いてきた。
…なるほど、ミステリートレインのミステリースタートだ。


「ここは8号車だよ」
「たった今僕が遊びに来たところさ」


私の言葉を引き継いで、世良さんがそう言った。
コナンくんはすごいびっくりした顔をしている。
…こんな顔するんだな、コナンくんも。
僕間違えちゃった、と、部屋から出ていったコナンくん(と、探偵団)


「ガキンチョ、引っかかったみたいね」


コナンくんが出て行った後で、園子がニヤリと笑って言う。


「うーん、でも僕もコナンくんたちと一緒に推理する側が良かったかなぁ」
「たまたま通路で私たちと会っちゃったもんね。ごめんね世良さん」
「いや、君たちと一緒に話しが出来て嬉しいよ」


蘭が申し訳なさそうに言うと、世良さんはにこやかにそう言った。
…この格好でその笑い方だと、確かにただの男の子だな、とか。
そんな失礼なこと思ってしまった。


「僕は君たちと、特にあおいくんともっと話しをしてみたいと思っていたんだ」
「…私っ!?」
「君は工藤くんと仲がいい、って言うし、いろいろ彼のこと聞かせてほしいなと思ってね」
「…いやいやいやいやいや、新一くんのことで話すことないって!仲もそんな人に話すほどじゃないって!」
「そうかい?君たちは家族ぐるみのつきあいで一緒に旅行もしてるって聞いたぞ?えぇーっと、誰だったかな?ほら、クラスの軽そうな、」
「あー、中道じゃない?」


そういうこと言いそう、と園子が言う。
この新一くん不在な時に新一くんについて探りを入れてくる謎の転校生に、新一くん情報を渡したくない私の思いなんて園子に伝わるはずもなく…。


「ま、まぁ、そういう言い方するとそうだけどさ…。だ、だいたいなんで世良さんはそんなに新一くんのこと聞きたいの!?」


敵だから?
新一くんの敵だから?
そんな勢いで聞いたら、世良さんは数回瞬きをした後で、


「だって気になるだろう?同じ高校生探偵として!」


すごく爽やかに笑った。
…そう言われると、なにも言えない。


「新一くんのことなら蘭の方がつきあい長いよ」
「え、私!?」
「あー、蘭くんは幼馴染だって言ってたもんな?」


世良さんは新一くんにとって、大丈夫な人なのかどうなのか…。
そんなこと思う私を乗せ、ミステリートレインは走り続ける。

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