キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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探偵たちの鎮魂歌


落ちぬなら


from:鈴木のお嬢様
sub:ミラクルランドに
本文:今すぐ集合!


俺の出番は終わったとはいえ、未だ手に爆弾をつけてるあおいちゃんをそのままにできるかと言ったらノーなわけで。
ミラクルランド行って、どーやって近づこうかと思っていたところに園子ちゃんからメールが着た。
どういうことかと返信したすぐ後で、


「もっしもーし?」


園子ちゃんから電話が着た。


「あおいとこれからミラクルランドでご飯食べるから参加しなよっていうお誘いよ」


あおいちゃんがミラクルランドにいるのは知ってるけど、何どうした?って内容を園子ちゃんは言う。


「夏祭りの時、」
「うん?」
「言ってくれたんでしょ?真さんに」


園子ちゃんの言葉に夏祭りの京極さんとの事を思い出した。
…あー、あーあー、アレか、手繋ぐ云々のことか!


「一応お礼しとこうかなって思ったの!」
「お礼、ね」
「落ちぬならみんなで落とそうホトトギスよ!」
「みんなで、って?しかもミラクルランドって、」
「私の奢りよ」
「今わりと近くにいるんで直ぐ行かせて頂きますっ!」
「待ってる!」


今からミラクルランドってさー、俺としてはありがてぇけど、周りから見たら微妙じゃねーか?って思ったら、お嬢様が奢ってくれるっていうなら、俺が飛びついたとしても不自然じゃないはずだ。
そう思いミラクルランドに向かった。
園子ちゃんから、1番奥のエリアにあるレストランにいるとメールが着て。
…恐らく、万が一のことを考えて1番奥にあおいちゃんたちを閉じ込め一般客を遠のけるっていう魂胆だろう。
園子ちゃんにそろそろ着くからチョコパフェ頼んどいてくれるようにメールした。


「すみません、ここから先のエリアは、」
「あ、僕この先のレストランにいる警視庁捜査一課の目暮警部に用があるんです」
「あ!そうですか!ではどうぞ」


エリア入り口の辺りにいたスタッフに止められたものの、息を吐くように嘘を吐いて難を逃れた。
そしてレストランに着くと警視庁の面々、と、あれは…。


「あおいちゃんが入院してた時にいましたよね?確か名前は…博士?って呼ばれてました?」


阿笠博士が入り口の前に立っていた。


「君は確か黒羽くん、じゃったかの?」
「はい、そうです」


どうも、と、博士に頭を下げた。


「君も悪いが、ここは今立入禁止に、」
「知ってます。工藤新一くんから聞いてるんで。全てね」
「えっ!?」


再び息を吐くように吐いた嘘に(必要悪だ)真っ先に反応したのは博士だった。


「しっ、新一が?君に事件のことを?」
「えぇ。彼がもし間に合わなかったとしても、1人で死なせるつもりないんで」


そう言った俺に、


「工藤くんは良い友人を持ったな」


何を勘違いしたのか目暮警部がそう言った。
…あ、もしかして俺今すっげー友情に熱い男になっちまった?
まぁそれで中に入れてもらえんならいいか。
そしてレストランの中に入り、あおいちゃんたちがいる場所へ向かうと


「園子さっきから時計見てるけど、何かあるの?」
「ん?んー…、そろそろなはずなんだけどなぁ、って思って、」


俺待ちで時間が気になって仕方ない園子ちゃんの声が聞こえた。


「そろそろ?何がそろそろなん?」
「てゆーか園子、そのチョコパフェ食べないとアイス溶けるよ?」
「だからそろそろ来る頃なんだ、って」
「前も言ったけど遊園地に現地集合させんのやめてくんねー?」


バッ!と思いきり俺を振り返ったあおいちゃんの目は、それ以上見開いたら目落ちるよ??ってレベルで目を見開いていた。


「あーっ!快斗お兄さんだ!」
「よっ!久しぶりだな、探偵団のみんな!」
「来た来た!待ってたわよ!」
「な、なんでいるのっ!?」


驚きのあまりあおいちゃんはいつになく大きな声で言う。


「え、なんで、って呼ばれたから?」
「呼ばれた、って、呼ばれたからって普通来る!?」


まぁ、言わんとすることはわかるけどな。


「今日の用事も済んだし?園子ちゃんが好きなの奢るって言うし、来たんだけど?これ俺んだよね?…いっただっきまーす!…お!これ美味ぇ!あおいちゃんも食べる?」
「えっ!?たっ、食べないよ!それよりなんで来たの!?」
「だから呼ばれたからだって」
「呼ばれても来ないでしょ!?全部わかってて来ないでしょ!?」


あおいちゃんは驚きのあまり、人がいるのも忘れだいぶ際どいことを口にしだした。
だからそれを止めるため、ってのと、何よりこの子にもう1度コクるとは言ったけど、それであの件がチャラになったとは思われたくなかったから。


「もしかして忘れちゃった?」
「わ、忘れた、って何を?」
「俺言ったよね?もう1度あおいちゃんに好きになってもらうために、全力で口説きにかかる、って」
「っ、」


カァッと顔を赤くしたあおいちゃん。
そして口を何度かパクパクと開けては閉じるを繰り返した後で、


「…」


グッとクチビルを噛んで、赤い顔のまま俺を睨むように見てきた。
…あー、可愛い。
ほんと可愛い。
万が一に工藤新一が間に合わなかったとしても、最後に見たのがこの顔なら後悔はねーかな、とか。
そんなこと思っていたら、


「…」


目の前で目まぐるしくあおいちゃんの表情が変わって行った。
あれはきっと、今そんなこと言われてももうすぐ制限時間きちゃうのに、とか?
そんなことだろうとは思う。


「ふはっ!」


表情がコロコロ変わって、ほんと見てて飽きねーや。


「あおいちゃんが何考えてるかわかんねーけど、俺はいつでも傍にいるよ」


そう言ってあおいちゃんの右手を取り指先に口づけた。


「とっ!友達はそういうことしないっ…!」


バッ!と俺から右手を振りほどいたあおいちゃん。
…落ちぬなら、みんなで落とそうホトトギスだ。


「うっそ!友達はするって。ねぇ、園子ちゃん?」
「するする。手にキスとか挨拶よ、挨拶!」


当然、言い出しっぺは「みんな」の中に入ってるわけで。


「…っ、蘭!」
「え!?え、えぇー、と、日本では、あんまりしないけど、挨拶、なのかなぁ?」


蘭ちゃんも、もれなくホトトギスを落とす「みんな」に入ってるようだ。


「うっ、裏切り者ぉぉ!!和葉ちゃんっ!!」
「てゆーか、その人誰なん?あおいちゃんの彼氏?」


そーいや西の高校生探偵の連れとして俺は面識あったけど、コイツからの認識はねーよな。


「俺黒羽快斗。絶賛あおいちゃんを口説きまくってる男ね。よろしく、えぇーっと、和葉ちゃん?」
「あー、うん、アタシは遠山和葉。快斗、って、さっき歩美ちゃんたちが言ってた人やんな?…もしかして前に園子ちゃんが言ってたおみくじの『彼』もこの人?」
「おみくじ?おみくじって何?」
「あー!そうそう。大阪の布袋神社ってとこのおみくじであおいが大吉引いたのよね」


大阪?
って、メモリーズエッグの時か?


「確かー、あおいは、『彼を信じて心を開けば、道が拓く』みたいな内容じゃなかったっけ?」


信じて心を開けば…。
それはきっと、あおいちゃんが隠していた、あの子の真実を話せってことで。
そうすることで道が拓く、ね。
気に入ったぜ、そのおみくじ。


「やべーな、そのおみくじ、すげー当たってんじゃん!」
「せやから布袋神社のおみくじは当たるて有名なんやて。で、その時園子ちゃんがその『彼』に心当たりある、言うてて」
「俺だ。それ俺のことだ」
「もうこの話やめてぇ…」
「おみくじにまで認められてるから安心しろって。な?」


そう言った俺に、あおいちゃんはため息を吐いた後で、困ったような顔をしながらも柔らかく笑った。

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