キミのおこした奇跡ーAnother Blue


≫Clap ≫Top

探偵たちの鎮魂歌


ゲーム終了


「はいはい、どうした?新い」
「もしもし?白馬と言いますが、」
「え!?どっ、どちら様っ!?」


足を強打し橋の上から落下し溺死コースまっしぐらだった名探偵を救出後、名探偵のケータイ(防水仕様)から阿笠博士に連絡を入れた。
コイツ今サラッと新一って言ったぞ…。
コナンのケータイからかけてんだから、きちんとコナンて呼べよ…。
あ、でも俺が正体に気づけたのはこの人のお陰だから、それはいいのか。
そんなこと思いながら阿笠博士に名探偵を回収してくれるように連絡した。


「君が白馬君かの?」
「そうです。呼び出してすみません」
「いやいや、こちらこそ、コナンくんを助けてくれてありがとう」
「簡単に手当てはしましたが、骨にヒビが入ってるかもしれません。事が終わり次第、病院に連れて行くことを薦めます」
「服部くんに連絡を入れようと思うが、君は来ないのか?」
「えぇ。外せない用がありまして」


待つこと少し、ビートルをぶっ飛ばしてきてくれたらしい阿笠博士に名探偵を託し、予定通り深山美術館に向かう(その前にレッドキャッスルにいる園子ちゃんにID返しといたけど)
屋上に降り立ち、天井に穴を開けて侵入。
したところで、室内に照明が照らされ


「来ると思っていたよ、怪盗キッド」


深山が部屋に入ってきた。
…タイミングも全て、あおいちゃんから事前に聞いてたいた通りだ。


「昼間のうちに天井に仕掛けをして、やっとそこに入れたようだな?君には宝石は盗らせんよ」


すでに獲物を狩ったような目つきでそう話しかける深山。
けどな、


「私は予告状なしに宝石は盗りませんよ」
「何?」
「今夜はあなたにお別れを言いに来たんです。もう命を狙われたくありませんから」


本当に狩られるのはどっちかな?


「しかし、わからなかった。盗んだダイヤはあなたに送り返したはずなのに、しつこく命を狙ってくる理由が」


まさかその理由を、あおいちゃんから聞かされることになるとは思いもしなかったけど。


「それがやっとわかりました。あなたがとても後輩思いだ、ということにね」
「可愛い後輩たちのゲームを目撃してしまった君がいけないんだよ」
「ガードマン1人殺しておいて、ゲームとは」


本当に反吐が出る奴だ。


「ゲームにアクシデントはつきものだ。君に見られたのもな。可愛い後輩に相談されたのなら、なんとかしなければだろう」


そう言う深山の話を、部屋の隅、カーテン越しに聞いている赤い爪の女、清水麗子、だな。
そして名探偵を追いつめていた殺し屋2人。
…さぁ、ショータイムだ。


「な、なんのおまじないだね?」


仕掛けを作動させようと手を前に突き出した俺に、深山は動揺しながら聞いてくる。


「私がなんの準備もせずにノコノコやってきたと、本当に思いますか?」
「っ、や、やれっ!!キッドを撃ち殺せ!!」


その言葉を合図に仕掛けを作動させる。
照明を割り、その奥に忍ばせていた催眠ガスを放出させた。


「な、何だこれは!?」
「ご安心を。ただの催眠ガスですよ。気づきませんでした?私は最初に入った後も、ここには何度も侵入しているんです」
「なっ、なに!?ゴホッゴホッ」
「そして今日、白昼堂々とあの天井の仕掛けをつけに来たのは、今夜ここに現れるとわからせて、あなたとあなたが雇った殺し屋たちをここに誘き寄せるため」
「馬鹿な…!」
「言い訳なら私が呼んだ警察にしてください?」


窓の外を見ると数台のパトカーが赤色灯をつけこちらに向かってきた。
ナイスタイミングだぜ、中森警部。


「このカーテンの後ろで眠っているあなたの可愛い後輩と共にね」


シャッ、と音を立ててカーテンを開けるが、あおいちゃんが言っていた通りそこはもぬけの殻で。


「後輩の方がクールなようだな」


まー、凄腕スナイパーって話だし、尻に火着いたおっさんと心中なんてしねーだろうよ。
そして殺し屋の1人が持っていた銃を構え深山に銃口を向けた。


「そこの2人がいろいろ喋ってくれるでしょう?この盗品だらけの美術館のこともね」


中森警部が突入しやすくするための合図と催眠ガスを外に出す意味合いを込めて窓ガラスに向け銃弾を放った。
室内に溜まっていた空気が一気に動き始めた。


「あなたのゲームもこれでゴールだ。それも最悪のオウンゴールかな」


そう言った俺に項垂れる深山を背に、美術館を後にした。
…さぁてと。
これで俺の出番は終わりだな、と。
そう思い任務完了とあおいちゃんに連絡すべくケータイを手にした。

.

prev next


bkm

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -