キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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探偵たちの鎮魂歌


小学生も虜


哀ちゃんを医務室に連れ込むことに成功した私たちは、なかなか回復しない(するわけない)哀ちゃんと共に医務室待機をしていた。
それはつまり、病人(仮病)の人間以外はみんな元気、ってわけで。


「じゃあじゃあ、あおいお姉さんと快斗お兄さんはつきあってないの!?」


目下(女子)の話題は私の恋愛についてだった…。
さっきチラッと哀ちゃんを見たら、私病人だから喋れないし、みたいな顔でベットに横になっていた…。


「つ、きあっては、ないかなぁ…?」
「あおいお姉さんが記憶喪失になった時、快斗お兄さんすっごくカッコ良かったんだよ!ね?蘭お姉さんもそう思うでしょ?」
「あー、うん、そうね。あの時は確かに黒羽くん、カッコ良く見えたよ」
「ほら!あおいお姉さんは覚えてないかもしれないけど、すごかったんだよ!」


歩美ちゃんはすっかり快斗くん推しになってるようで。
…小学生女子の心まで掴めるなんて、さすが快斗くんだ。


「でもなんでつきあわへんの?お互いまだ好きなんちゃうん?」


和葉ちゃんの何気なーい一言。
わかってる。
和葉ちゃんに悪気はない。
でもそれはすごく、答えにくいことで。
だけどそういう話に興味津々なお年頃な歩美ちゃんは目をキラキラさせて私を見てきた。


「い、いろいろあるんだ、って」
「いろいろ?いろいろって何があんの?」
「だっ、だからいろいろ、」
「僕わかります!複雑な乙女心って奴ですよね?」


いったいいつから会話に参加していたのか、光彦くんがそう言ってきた。


「好きだからと言ってもおつきあいするわけじゃないって、僕にはなかなか理解が難しいですけど」


唸る光彦くんに、


「…なぁ、蘭ちゃん。今の小学生すごない?」
「う、うーん…、おませさんだね」


和葉ちゃんと蘭は苦笑いしていた。


「快斗お兄さん、今何してるかなー?」
「え!?い、いま!?」


今何を、なんて、快斗くん今コナンくんたちを助けるために白馬くんになって横浜行ってるなんて言えない。


「歩美、マジシャンてキッドさんか快斗お兄さんしか知らないんだもん。でもキッドさんは近くでマジック見れるわけないし、だからまた快斗お兄さんのマジック見てみたいなぁ、って」


私が記憶喪失の時、歩美ちゃんたち少年探偵団も何度か病院に来てくれていた。
その時に遭遇した快斗くんに、少なくとも2回はマジックを見せてもらっていた、と、思う。
だから歩美ちゃんはすっかり、マジシャン黒羽快斗の虜になっていたようだ。


「光彦くんなんて、快斗お兄さんに簡単なマジック教えてもらってたよね?」
「えっ!?大丈夫それ?快斗くん鬼じゃなかった!?」
「まぁ少し厳しかったですけど、筋がいいって褒められましたよ!」


すじがいい?
え、私1回も褒められなかったけど筋がいい??
何もしかして私マジシャンの才能ないの!?


「…目暮警部!私ちょっと挨拶してくるね?」
「ほんなら私も!平次がようお世話になってるし」


そんなこと話してる間に、目暮警部がミラクルランドに現れた。
…よ、よし!これでスーパースネークは休止になったはずだ!


「ちょっと待って!!」
「ダメよ、まだ起きちゃ」
「彼を止めて!お願い!」
「う、うん」
「わっかりました!」


そしてさっきの会話にも参加してこなかった元太くんはつまらなさマックスで予定通り医務室を飛び出した。
それを探偵団+私で後を追うことにした。
スーパースネークは案の定運行休止。
よし、これで大丈夫。
ってならないのが、事件が事件を呼びまくる米花町在住の人間の悲しいサガ。
そう言えば映画もそうだった、ってなったけど、ここでまさかのひったくりに遭遇。
犯人確保に奔走するハメになった。
そして現在、


「近寄るなよ?近寄るとガキの命はねぇぞ?」


ひったくり犯と対峙しているミラクルランドゲート前。
…大丈夫、な、はずなんだけど…。
ここで私が飛び出しても余計酷くなるかもしれない。
どうしようどうしようと考えている時、


「人質は交換しねぇ!オメェら!俺がゲートを抜けるまで動くんじゃねぇぞ!ガキの命がかかってんだからなぁ!」
「ちょっとー?ここ入り口でしょう?出口は隣!」


帝丹高校きっての財閥令嬢(怖いもの知らずな)鈴木園子お嬢様が現れた。


「そ、園子!?」
「いいからそこどけー!!」
「怒鳴ってもダーメ!ルールは守って!!」


園子カッコいい!!
悪いことをちゃんと悪いって言えるのカッコいい!!


「歩美ちゃん!」
「あおいお姉さーん!!」
「もう大丈夫だよ…」


犯人から解放された歩美ちゃんをぎゅってした。
怖かったんだろうな、って伝わるくらい、ぎゅってした歩美ちゃんは震えていた。
よしよし、って頭を撫でたらようやく歩美ちゃんはホッとした顔を見せた。


「人質の変わりならいくらでもいるぜ!!近づくなよ!近づいたらこの女を!!」
「「「どうするの?」」」
「え?ど、どうするって…」
「どうするか、教えてくれる?」


そう言った直後に、蘭以上に人質にしちゃいけない佐藤刑事が犯人に裏投げをキメた。


「た、助かった…」


ぽろりと漏れた言葉に、敏感に哀ちゃんが反応したことをこの時は気づきもしなかった。

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bkm

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