キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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探偵たちの鎮魂歌


パターンA


あおいちゃんから現金輸送車襲撃事件の話を聞いて、もう1度自分でもそれについて調べ直した。
実行犯3人による輸送車襲撃事件。
その時に発砲騒動があり、警備員が1人撃たれ死亡。
…って、ところを「俺」が目撃して、それが原因で俺を殺せと深山に頼んで狙われるようになった、ってか。
なるほど?
ソイツらともケリをつけられるなら俺的にも願ったりだ。


「そもそも依頼内容が『ある事件の調査』ってのもまた…」


この犯人はその真実を知りながら、認めたくない故に探偵たちに再調査させた、ってところだろう。


「ま、犯人もわかってるし、俺は俺のすべきことをするだけだな」


俺のすべきこと。
それは工藤新一がこの事件解決に辿り着くまでのアシストをすることだ。
あおいちゃんは、記憶力が少し残念な部分があるのは否めないと思うが、この事に関しては驚くほど鮮明に記憶していて。


ーすげぇ細かく覚えてんねー
ーそんなの当たり前じゃん!何回観たと思ってるの!?ー


あの日、俺に会うためにここに来たと言っただけある言動を見せた。
あー、ほんとに俺のこと好きだったんだなー、とか。
そんなことを少し思ったりしたわけだけど。
そのあおいちゃんに聞いた通りに事件が起こり、真相もそうであったとして。
でも仮にここで俺がそれこそ白馬として現れいきなり真相を語っても工藤新一は納得しねーだろ。
「自分で」真実に辿り着く。
それこそがアイツが求める探偵道、って奴じゃあねぇかと俺は思う。
…それにあおいちゃんから聞いている展開に誤差が出てくることも充分あり得るし。
そうなってしまって、22時にドカーンとかシャレになんねーしな。
そしてあおいちゃんたちが依頼者に呼び出されミラクルランドに向かった当日。
前情報通りに、鈴木家は鈴木家でレッドキャッスルに向かったことを確認。


「きゃあ!?ちょっと気をつけ、」
「っと、すみません」
「あ、い、いえ、」


園子ちゃんが好きそうな男の顔(世間一般で言うイケメンな顔)に変装して、レッドキャッスルのロビーにいた園子ちゃんに接触。
お嬢様がたっけぇフリーパスIDを着ける前に、カバンから拝借させてもらった。
これで俺も人質取られてる探偵として、白馬になっていつでも工藤新一の前に出ていける。
とりあえず今はアイツらを釣り上げるために深山美術館へ行って、と、その前にあおいちゃんに確認とっておかねぇとだな。


ピリリリ


「は、はい?」
「あおいちゃん、予定通り?」
「う、うん。予定通りミラクルランドだよ。快斗くんは?」


あおいちゃんは今回の事件のことを江戸川コナンに話すのか聞いてきた。
言うわけねーだろ、工藤新一に。
アイツならノーヒントで解決するだろーから、わざわざこっちからあおいちゃん情報を渡してなるものか。


「俺はパターンAだなー」


だからパターンA=あおいちゃんが知っている物語を忠実に再現するように動く、ってことにした。
とりあえずアイツと合流する前にやるべきことをしとかねーとだしな。


「大丈夫だと思うけど、」
「気は抜かねーから安心して!」
「ならいいけど…」
「あおいちゃんも、そっちで気抜いてうっかり、なんてことないようにね」
「それはうん、ほんと気をつけます」


あおいちゃんに念を押して、とりあえず深山美術館に向かう。
昼は俺の出番じゃねーし。
ま、これは工藤新一はじめアイツらが「俺」を目撃することが大事みてーだし?
ってことで、夜のためにこの盗品だらけの美術館に姿を現して(仕掛けはもう済んでいる)深山ビルを後にした。


「さぁて、と、俺のお姫様はー、」


ピリリリ


次の行動に移る前にあおいちゃんに連絡を入れるものの、電話に出ることはなく。
あれっ?と思っていたら、いつ送られたのか、メールが入っていたことにようやく気がついた。


「なになにー?」


from:あおいちゃん
sub:とりあえず
本文:みんなをたらふく食べさせ食べ過ぎにさせ、腹痛で医務室に向かう予定です


「ぶはっ!!」


ミラクルランドから出ないようにってことは、スーパースネークには乗れないってことだ。
そこであおいちゃんの考えた作戦は、どうやらガキ共の餌づけらしく。
食べ過ぎにさせて腹痛で医務室って、ほんとあの子発想がおもしれーよなぁ。
まぁそれが成功するかはわかんねーけど、先に飯食うってなると、時間的に警視庁の人間が介入してスーパースネークの運行が休止になってる確率は上がる。


to:あおいちゃん
sub:無題
本文:上手くいくといーねv 俺はこれからYOU CRY


そうメールを送って、工藤新一のサポートをすべく、次の目的地に向かった。

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bkm

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