キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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世紀末の魔術師


船上で


キッドが狙撃された日の夜中に紅子ちゃんから連絡が着た。
元気に仲間のところに向かった、って。
そりゃあ多少は打ち身があるみたいだけど、ドバッと血が出たとか、そういうことはなかったようだ。
…なら、生命の危機ってわけでもなかっただろうに、助けてくれた紅子ちゃんに感謝しかない。
そして翌日、急遽展示会を中止し、インペリアル・イースター・エッグに傷がないかを確認するため、鈴木家の船で東京に向かうことになった。


「蘭!園子!あれやろ、あれ!」
「うん?」


だってさー、鈴木家所有の客船だよ?
この前はほら、うっかりパーリィドレスなんて着てたから出来なかったわけだけどさ(しかもちょっと肌寒かったし!)
今は夏!そして私服!!
ならやるしかない!!


「あああーああああーあー♪」


て、ことで身長的にジャック園子とローズあおいになって、タイタニックごっこをした。
もちろんBGM歌唱は私。
私はやっぱり、これがタイタニック!って感じだったけど、まさかの蘭は


「I am the King Of The Worldー!」


世界は俺のもの宣言がタイタニック!って感じらしかった。
どっちかと言うと、園子の方が言いそうだったから、ちょっと意外だった。


「きっもちいーねー!」
「うん!海風がすごく気持ち良い!」


蘭とそう言ってたら、


「あんたらはのん気でいいわねー…」


ジャック園子はえらい大きいため息を吐いた。


「どうしたの?」
「どーしたもこーしたもないわよ!キッド様が心配で心配で」
「…キッド、死んじゃったのかな…」
「言わないでぇ!!」


今朝にはもう、キッドが狙撃された、ってニュースになっていて。
蘭の言葉に、園子はまるで恋する乙女のようにキッド様大丈夫かしら?って涙目になっていた。
大丈夫だと思うし、なんならこの船のどこかにいて、下手したら私たちの会話も盗聴してると思う。
なんて言えないから黙っていた。
そして船は東京に向かうわけだけど。
途中で頭切り替えて女子会しようぜー、とか言う園子が船内にいる女子を誘うんだけど、その中にもれなく犯人もいるって言うね…。
心配で心配で元気なくなっちゃうくらい園子が心配してる原因作ったのそこのお姉さんだよ…。
うっかり右目狙われるよ…。
なんて思った私は、極力関わらないように(特に右)目を逸らしていた(いっそ同じ空間にいないようにした)
そうこうしているらうちに、日もだいぶ傾き、もうすぐ鈴木財閥プレゼンツ船上ディナーじゃない!?って時、事件は起こる。
インペリアル・イースター・エッグを狙っていた1人、寒川さんが右目を撃たれ亡くなったそうだ(もちろん私は見に行かない)
…快斗くんも、下手したらそうなっていたかもしれないって思うと、本当助かって良かったと思うし、青蘭さんに近寄らないって心の底から思った。
小五郎おじさんや、園子のお父さん、秘書の人、そしてコナンくんがバタバタと忙しなく動く。
…そう言えばそろそろ、快斗くんにコナンくん=新一くんとバレる頃だ。
快斗くんはどう思うかな…。
以前よりは少しだけ新一くんに対する態度が軟化したけど、それでもコナンくんが新一くんてわかった時、どう思うんだろう。
やっぱり前みたいに喧嘩寸前みたいなチクチクした言い合いするような仲になっちゃうのかな…。
それとも…。
「好敵手」と言えるような、なんだかんだでお互いを認める仲になるのかな…。
2人の今の関係がわからないから、どう転んでもおかしくないんだよな…。


「なんか大変なことになったわね…」
「ん?んー…。やっぱりお金が絡むと怖いね…」


蘭も蘭で、夏美さんとお話してるから、必然的に園子と2人になって。
園子はたまにうっかり「女子高生探偵」とかやってる(やらされてる?)けど、自ら事件に首を突っ込むほどの推理オタクじゃないし、私は私で殺人事件に関わるほどの命知らずじゃないから、2人ひっそり隅にいることにした。


「キッド様もモノクル落ちてた、って言うじゃん?」
「うん?」
「キッド様、モノクル右目につけてたし、同じ犯人かな…」


黒幕・江戸川コナンの女子高生探偵が、黒幕不在でもいい線臭わせていた。


「でもモノクルがあった分、キッドは大丈夫だと思うよ。モノクルがクッションになったと思うし」
「んー…、だといいんだけどねぇ…」


園子は本当にキッドの心配をしていた。
あまりにも心配するから、私まで少し、不安になってきた。
…寒川さんが亡くなった、ってことは、もうすぐ快斗くんが白鳥警部になってここに合流するはずだ。
紅子ちゃんが助けてくれたからきっと大丈夫。
来るのは快斗くんのはず。
そう言い聞かせて、時が過ぎるのを待った。
そして警視庁のヘリが甲板に降り立った。
目暮警部や高木刑事、そして白鳥警部もいる。
あの人が本当に快斗くんかまでは今はわからないけど、予定通り白鳥警部も乗ってきた。
まさか確認するわけにはいかないけど、きっと大丈夫、って。
ここでようやく、安堵に近い息が漏れた気がした。

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bkm

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