キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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夏祭り


決意


快斗くんに久しぶりにメールをした。
初めての時ほどじゃないけど、ドキドキしたのは、相手が快斗くんだからなのか、それとも、こういうことになって、気まずさがあるからなのかは、私にはわからない。
でもやっぱり、快斗くんと連絡する時は、ドキドキするし、


「あ、返事着た!…あおいちゃんから連絡着たから病院行ってきまーす、って、もー!まだ行ってなかったんだ」


嬉しいと思ってしまう自分がいる。
そう自分が感じたことに驚きなんてなくて。
ただ一言、やっぱり私、快斗くんが好きだな、って思いがあるだけだ。


「ご心配おかけしました」


記憶喪失中お世話になった園子のお家に挨拶して、蘭のお家(というかおじさんに)に挨拶して、最後に阿笠博士のところに来た。


「記憶が戻って良かった良かった」


博士はそう言ってくれたけど、ジーッとこちらを見てる人が1人。
蘭のお家に行った時にいなかったから、そんな気はしてたけどやっぱり博士の家にコナンくんはいた(ちなみに哀ちゃんはパソコンの前で優雅にコーヒー飲んでる)


「あおい姉ちゃんて、記憶がなかった時の記憶ってあるの?」


例えばね、これが毛利家だったらね。
コナンくんは答えにくい質問も、鋭いツッコミも出来ないと思うの(蘭にバレたら大変だから)
でもここは博士の家。
「江戸川コナン」が生まれた日に立ち会った人と、「江戸川コナン」が生まれるきっかけの薬を作った人しかいなかったら、そりゃあ答えにくい上に鋭い質問もツッコミも入るって話でね!


「い、いやぁ、それがなんかあやふやではっきり覚えてないんだよねー」
「なんとなくは覚えてるってことだね。何について覚えてるの?」


ほら、やっぱり鋭いツッコミ!!


「え、ええーっと…、園子のお家でお世話になった、こと?」
「それから?」
「それから!?」
「うん。あおい姉ちゃんが覚えているのは、それだけ?」


まさかそんな記憶力なのかオメーは?って顔でコナンくんが見てくる。
逃してくれない探偵の顔で見てくる。


「かっ、」
「か?」
「快斗くんが、すごく親身になってくれた、こと」
「…………………」


私の言葉に、コナンくんは無言になった。
…これは追求が終わったか!?


「あおい姉ちゃんてさー、」


なんていうぬか喜び、するもんじゃない(特にコナンくんに対して)


「別れたんじゃないの?黒羽の兄ちゃんと」


て、言う言葉を吐かれた。


「わ、かれた、けどっ、」
「じゃあ記憶も戻ったんだし、黒羽兄ちゃんともう連絡取る必要ないね」
「えっ!?………いっ、いやいや、それが今回のことで普通の友達に戻ることになって、」
「なんで?」
「なんで!?なんでってなんでそんなそんな」


ジーッと私を見てくるコナンくん。
なんでなんてそんなの私が聞きたいけど、快斗くんまだ私のこと好きでいてくれてるみたいで、元サヤに戻りたいとか思ってくれちゃったりしてるみたいで、そんなだって友達は友達だし友達


「男の嫉妬は醜いわよ」
「んなんじゃねーっての」


私がうぇあああ!ってなってると、パソコンの前から哀ちゃんがこちらにやってきて、


「あおいお姉ちゃんの元カレ」


声をかけてきた。


「銃で撃たれて痛いはずなのに、あおいお姉ちゃんの身の安全を最優先で考えて動いていたの」


哀ちゃんは、たぶん私にまだまだ壁があって。
でもその哀ちゃんが、フフッて感じに笑いながら言う。


「あおいお姉ちゃんのこと、たぶん本当に大切に思ってる人だと思う」
「灰原!」
「事実を伝えただけよ」


コナンくんはムッとしたように声を荒げたけど、哀ちゃんはニヤッと笑ってリビングから去って行った。

ーあおいお姉ちゃんのこと、たぶん本当に大切に思ってる人だと思うー

そんなの、とっくに知ってるよ…。
快斗くんは本当に優しい人だから。
一方的にさよならした私にも、前と変わらず優しくしてくれる。


「でも僕、あの人はあおい姉ちゃんと合わないと思うよ」


コナンくんがムッとした声でそう言う。


「大丈夫だよ」
「え?」
「快斗くんとは、合う合わないとか、そういうことじゃないんだ」


快斗くんと私は、合うとか、合わないとか、そんなんじゃない。
それはきっともっとずっと、根本的な問題だと思う。


「あおい姉ちゃんて、」
「うん?」
「…まだ好きなんだね、あの人のこと」


コナンくんが不意にそう聞いてきた。


「なんでそう思うの?」
「だってそういう顔してるよ」


私にそう言うコナンくんは、少し呆れたような、困ったような顔をしている。


「ずっとね、好きだった人なんだ」
「…うん」
「だからどんなことがあっても、きっとずっと、好きでいると思うよ」
「…」
「だって初めて本当に、好きになった人だもん」
「もう別れてるのに?」
「それは関係ないんだよ。つきあったとか、別れたとか、きっとそういうの関係なく、…きっとずっと好きだと思うな」


快斗くんからの連絡がまた来るようになって、それが嬉しいと思ってしまったように。
きっとずっと、私は快斗くんが好きなんだと思う。
…でも。
だからってそれこそ、復縁する、とか。
そういうことは考えられない。


「前も言ったかもしれないけど、」
「うん?」
「あおい姉ちゃんて、もっと男の人見る目養った方がいいと思う」
「えっ」


それは今のあなたじゃなく、新一くんが言ったのでは???
そう思うものの、コナンくんはやれやれ、って感じでコーヒーのお代わりを貰いに行った。
…私は快斗くんのこと、きっとずっと好き。
でも、復縁するなんてこと、考えられない。
だってそうでしょう?
いつか消えるなら、お互いにこのまま嫌な思いすることなく、友達のまま、さよならしたい。
それがきっと、お互いにとっての最善じゃないか、って思うから。
そんな決意は誰にも言えることなく、深く私の胸に閉まった。



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bkm

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