キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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帝丹中学修学旅行in沖縄


お返しの広島土産


2泊3日の修学旅行に行っていたあおいちゃんからメールが来た。


from:芳賀あおい
sub:沖縄のお土産
本文:食べ物、飾り物、甘いの、しょっぱいの、ウケ狙い、可愛い系、ご飯のおつまみ系どれがいいですか?


見た瞬間、あれっ?と思った。
今日までの2泊3日って言ってはずだけど、俺の聞き間違いか?
そう思いつつも、確認のため電話をした。


「まだ沖縄いるの?」
「え?もう帰ってきたよ?」
「じゃあ何さっきのメール!買う前に聞く奴じゃね!?」
「え、だ、って、」
「うん?」
「快斗くんどういうのが良いかわからなかったから、とりあえずメールで送った奴全部買ってきたのね、」


この子は俺を笑わせたいに違いない。
普通買う前に確認取るだろうが!
ほんっと、あおいちゃんのこういうところだよなー…。


「わかった、とりあえず現物見せてもらう、ってことでい?」
「あ、うん。それで決めてもらうのがいいかも」
「オーケーオーケー。じゃあ週末の、」


会う日を決めて、俺があおいちゃんちに行くことになった(何せ見なきゃいけない物の量が多いみたいだし)


「い、いらっしゃい!」
「おっじゃまっしまーす!」


俺たちのこのやり取りもだいぶ板についてきたもんだ。


「あ、あのね、見た目ちょっと量多いかもしれないけど、」
「どこどこー?…うわーい、大量だー」


通された先のテーブルの上に所狭しと沖縄土産が並んでいた。


「快斗くんの好きなの選んでいいよ」
「て、ゆーか、さ、」
「うん?」
「これ俺以外にも配るの入ってる?」


メールの選択肢だけで7つ。
そこからさらに枝分かれしたようで、13個の大小様々なお土産が並んでいた。


「あ、それはもう別にしてあるから大丈夫」
「…これ以外も買ってあんのか!?」


あおいちゃんは優しいから、優先的に俺に選ぶ権利をくれて、俺が選ばなかった物を他の奴に配るんだと思っていた。
でも今のニュアンスは、どう考えても「俺のために」準備した物ってことだ。


「ほら、決めて決めて!」


快斗くんはどういうの好きなの?って言いながら、期待に胸膨らませたような目をしているあおいちゃん。
…ちょっと待ってくれ。
俺は7つの土産の中から1つ選ばせてもらおうと思ってたけど、これ俺が選ばなかった奴はどーなるんだ?
他の奴に配るのか?
でもすでに配る用は用意してるって言ってたよな?
そもそもあおいちゃん、学校外で土産配るほどの仲の奴そんなにいんの?
だって修学旅行の土産って、親や隣近所だとか、兄弟分とか?習い事の先生なんかに配るもんだよな?
…親や兄弟とかの家族がいないし習い事なんかもしてないあおいちゃんは、どこの誰に配るんだって話で。
隣近所に配るほどの交流あるのか?
少なくとも俺が知る限りねーぞ。
え?じゃあ俺が選ばなかった12個はどーなんの?
あおいちゃん自身の土産になるってことか?
まぁ東京ー沖縄間なんて早々行ける距離でもねーから、それはそれでいいかもしれない。
けどそれはあくまで最初から「自分用」として買った場合であって、これは違うじゃねーか。
は?じゃあどーすんの、この大量の土産!


「気にいったのない?」


あおいちゃんは癖なのか小首を傾げる仕草をよくする。
…オメー、よく考えろ。
ちょっと困ったような顔で小首傾げながら見上げてくる可愛い女の子に尋ねられたら、


「これ俺全部貰ってもいいの?」
「…全部!?」


例え否定する物事であったとしても、全身で肯定しちまうだろうが!


「え!?ほんとに全部!?」
「俺沖縄行ったことねーし、せっかくこんなにあるなら全部もらいてーじゃん!」
「…ま、まぁ、それはわかる気するけど、」
「このシーサーとか食えない奴は貰って帰るけど、食う奴は俺と2人で食うってことでここに置いてくから、あおいちゃん1人で食うなよ?」
「そ、そんなに食べないよ!」
「ほんとにー?俺次来た時に無くなってたらショックで泣いちゃうよ?」
「…そこまでっ!?」


あおいちゃんは心底驚いた顔をしたけど、これでまー、俺のためにと買ってきた土産をあおいちゃんが1人で処理することはなくなったはずだ。
そして今度はうちの学校の修学旅行、場所は広島!


「あ!青子!ちょっと顔貸せ!」
「え?何、快斗?顔貸せってどうゆうこと?」


もみじ饅頭やレモンケーキ、はっさく大福なんかはもちろん真っ先に購入。
そしてその他は何がいいかと見ていたら、広島はグラスビーズが特産品の1つらしく。
イヤリング…も、良さそうだけど、あおいちゃん耳引っ張られて痛がりそうだよな…。
じゃあネックレス?は、いかにもな感じするし、ネックレスや指輪は却下だなー…。
んーじゃあヘアゴムか?確かこれくらいの長さだから、とモデル青子にアクセサリーを耳に宛てたり首に宛てたり、後ろを向かせて髪に宛てたりしながら選んだ。
…ものだから当然と言えば当然、


「快斗、彼女できたの?」


帰りの新幹線で青子にツッコミ入れられた。
窓側のイスに1人座る俺を通路に立ちながら目を細め見てくる青子。
…まぁ、そりゃそうだよな。


「彼女じゃねーし」


そう言った俺に青子が一瞬目を見開いた気がした。


「へー!そっかそっか」
「あ?何が?」
「ねぇ、彼女もしかして青子の知ってる子?」
「オメー何聞いてたんだよ!彼女じゃねーって言ってんだろ?」
「待って、青子当てたい!…3年の間島先輩?」
「誰だよソイツ!だいたいオメーが知るわけねーだろ!」
「他校生か!」
「おい、ここに座るな!自分の席に帰れよ!!」
「どこの子!?ねぇねぇ、どこの子なの!?」
「オメーもう黙れ!!」


東京駅に着くまでの間、ひたすら青子からの質問攻めにあって俺の修学旅行は終わった。

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