キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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瞳の中の暗殺者


かけがえのない


私がいるから、みんなが傷つく。
そう思ったらここにはいられない、って走り出していた。
人のいない方へ、人のいない方へと来たはいいけど、どうしよう、そう思った時、


「っ!?」


手を掴まれた。
ビクリと体が動いたのもつかの間、


「もう大丈夫だよ」


息を切らしながらも、しっかりと私の目を見てそう言うコナンくん。


「…どう、して…」
「こっち!着いてきて!」


私の手を引っ張り走り出すコナンくんの後に着いて行く。
ところどころで、やっぱり誰かが狙ってるような、そんな気配があった。
そしてボートに乗った時、コナンくんは躊躇いなくボートを操縦した。


「操縦、できるの?」
「オメーも知ってるはずだぜ?」
「え?」
「一緒に教えてもらっただろ?」


ニヤッと笑うコナンくんの顔に、誰かの顔が過ぎった気がした。
そうこうしてても、どんどん、どんどん犯人に追いつめられていく気がして。
犯人は私を狙ってるはずだから、私と離れればコナンくんは助かるはずだ。
でもコナンくんは絶対に私の手を離そうとしない。
どんなに追いつめられても、必ず私を助けようとしてくれる。


「…どうして?」
「え?」
「どうしてキミは、私を助けてくれるの?」


私の問いにコナンくんは一瞬驚いた顔をした。
でも、


「特別だからだよ!」


すぐにさっきの、ニヤッて顔をして。


「地球上の誰より、あおいは俺にとってかけがえのない、特別な…家族だからだよ!」
「…か、ぞく?」


ー俺とオメーは家族なんだからー


断片的に、でもはっきりと思い出す、あの人は。


「あおい姉ちゃん!もう少し走れる!?」
「え?あ、う、うん」


そう言って、コナンくんは広場のようなところに私を連れてきた。
…こんなに見晴らしが良かったら、きっと犯人に。
そう思った時、犯人も広場に現れた。
コナンくんは小さな身体でも、私と犯人の間に入り、私を庇うような仕草をした。


「ここまでだ」
「いいや?まだ早ぇよ」
「なにを、」
「10、9、8、7」


コナンくんがカウントダウンを始める。
それに呼応して脳裏に蘇る姿。
それは、かつてここで、


ー6、5、4ー


カウントダウンをしてくれた、


「「3、2、1」」


ここでの私の家族、新一くんの姿だ。


「「ゼロ!!」」


私たちのカウントダウンで噴水が吹きあがる。
…あぁ、そうか。
私は今の今まで忘れていたんだ。
佐藤刑事が撃たれたのは私のせいだ、って。
そうじゃないんだよ、って、園子も蘭も、ずっと伝えてくれていた。
新一くんは、こうしてコナンくんになっても私を助けてくれた。
そして快斗くんも…。
みんなから離れる直前、快斗くんの左腕から血が出ていた。
今でも、快斗くんは私を守ろうとしてくれてる。


「あおい姉ちゃん、少し離れてて!」


噴水が止まる前に、コナンくんがそう言ってきた。
そして水が止まり始めた時、犯人の銃口がこちらを向いているのがわかった。
瞬間、


「きゃあ!?」


水の壁の向こう側から、怪我をしたはずの快斗くんが私に向かって飛びかかってきた。


「あおいちゃん、怪我は!?」
「な、ない、けど、」


犯人から庇うような姿勢で、私を抱きしめる快斗くん。
快斗くんに声をかけようと息を吸い込んだ時、


「あおい!黒羽くん!動かないでっ!!…はああああっ、せいっ!!」


蘭の声が辺りに響いた。


「蘭ちゃん、強ーい…」


蘭の行動に呆気に取られてる快斗くん。
その左腕は包帯が巻かれていて、赤い染みが広がっていた。


「快斗くん!血が!!」
「え?」
「血が止まらないの!?」
「もしかして、」
「うん!?」
「…思い出した?」


快斗くんが驚いた顔で私を見てくる。
…あぁ、そう、か。


「…う、うん…」
「え!?あおい思い出したの!?」
「わかる!?私らのこと、わかる!?」
「もちろん!…鈴木園子と、毛利蘭。私の大好きな友達だよ!」
「「あおいー!!」」


園子と蘭が私に抱きついてきた。


「あんた何やってんのよ!次忘れたら許さないんだから!」
「ごめんね」
「でも良かった…!佐藤刑事も意識を取り戻したって、さっき。もう大丈夫って言ってたよ!ほんとに良かった!」
「佐藤刑事も?そっか…、ありがとう」


私が記憶を取り戻した、ってことは、快斗くんとは、お別れしなきゃ、ってことで…。


「いってぇ…!!」


そんなこと思っていたら、快斗くんが腕を抑えて叫んだ。


「だっ、大丈夫!?病院行く!?あ、でもとりあえず医務室の方がいいのかな…。…じ、じゃあ、高木刑事に言って、」
「無理、待ってらんねーから、あおいちゃん医務室連れてって。病院でもいいけど」


その言葉に、えっ、て思って、返事に一拍間があいた。
ものだからか、


「そうね。あおい、あんた連れてってやんなさいよ」


園子に先に言われてしまった。


「えっ、や、私、」
「聴取はコナンくんがされると思うし、第一あおい自体も念のため診てもらった方がいいしね」


蘭が優しく笑いながら言う。


「い、いや、私っ、」
「あー、貧血でクラクラしてきた。俺、倒れるかも」
「えっ!?」
「ほら、連れてきなって!」
「あとは任せて」
「でっ、でも」
「あ、倒れそう。あおいちゃん肩貸して」
「えっ!?だ、大丈夫!?」


快斗くんが私の肩に自分の腕を回したところで、コナンくんが盛大にため息を吐いた。


「あおい姉ちゃんも、とりあえず簡単にでも診察してもらってきなよ。その方がみんなが安心するし」
「ほら、ボウズもこう言ってるし、行こうぜ」


止めのコナンくんの言葉に見送られ、快斗くんと2人で医務室に向かうことになった。

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bkm

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