キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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瞳の中の暗殺者


響く声


退院して、園子さんちで寝泊まりすることになって2日後。
気分転換に散歩に行かないかと園子さんに言われ、散歩に行くことになった。
外に出たら、蘭さんとコナンくんもいた。


「今日はちょっと暑いね。あおい、無理しないでね」


蘭さんにそう言われ、今日は私がよく園子さん、蘭さんと行っていた場所に行くことになった。
歩いてる時に園子さんと蘭さんは、工藤新一さんの話をしていた。
どこにいるの、とか、何してるんだ、とか、そんなことを言っていた。


「あおい!食べる元気あるなら、よく3人で行ってたカフェに行きましょうよ!」
「あのお店のパンケーキ、あおい好きだったんだよ」


園子さんと蘭さんに言われ、電車を待っている時のこと。
もう少しで電車がホームに入ってくる、って時、


ドン!


背中を強く押された。


「あおい姉ちゃんっ!!」
「っ!?」


キキーッ!!


線路の上に落ちた私を、ホーム下のスペースまで引っ張り込んでくれたコナンくん。


「あおい姉ちゃん怪我は!?」
「…だい、じょうぶ、」


私の言葉に、コナンくんは私から見てもわかるくらいに、ホッとした顔をした。
その後は病院に連れて行かれ、刑事さんたちに会ったりした。
私は犯人に狙われてるから1人には絶対にならないように、って言われた。
1人になるな、と言われても、行きたい場所も何もない私は園子さんちにいるしかないから、1人になるなんてこと、ほぼなかった。
その翌日、


「トロピカル、ランド…」


園子さんちのリビングでテレビから聞こえた言葉に、聞き覚えがあった気がした。


「そうだよ!春にみんなで行ったじゃん!」
「みん、な…?」
「そうそう!私と蘭と、新一くんや中道、相沢と行ったんだよ!トロピカルランドに行ったら何か思い出すかもしれないわね!行く?」
「…そ、れは、」
「うん?」
「快、斗、さんは、いないん、です、か?」
「……………いた方がいい?」
「…わ、からない、です…」


私の言葉に、園子さんは、


「オッケー!メンバーは私に任せてよ!善は急げで明日行きましょ!」


そう言った。
そして翌日園子さんちに来た蘭さんと共に3人でトロピカルランドに向かった。
現地に着いて、


「まさか前日にテーマパークに現地集合の招集かかるとは思いもしてなかったんだけど?」


少しムッとした顔の快斗さんがいた。


「まーまー、いいじゃんいいじゃん。どーせ当日でも来たでしょ?」
「………………まぁ、来たけど」
「ほらね」
「いやでもオメー、遊園地に現地集合とかやめてくれよな」
「実際来てみて、何か思い出しそう?」


蘭さんが私の顔を覗き込むように見てきて言った。
首を振る私に蘭さんは、そっか、と呟いた。


「んじゃあさ、とりあえずこの前来た時、あおいが回ったルート行ってみようよ!」


ね?と言ってくる園子さん。
その後で、


「あおいちゃん」


快斗さんが私に向けて手を差し出してきた。
その手を見た後で、快斗さんの顔を見たら優しく笑いながら、


「これはね、こうするんだよ」


そう言って、私の手を握った。
快斗さんに手を引かれて歩くことは、1人で歩く時よりもずっと温かくて、懐かしいような、そんな気持ちになった。


「ミステリーコースタぁ?」
「何よ、不満なの?」
「いや不満って言うか、そこアレだろ?殺人事件があったっていう。それあおいちゃんにとっては、トラウマなんじゃねーの?」
「まぁ、確かに」
「パスだ、パス!別のにしよーぜ」
「あ、じゃあホーンテッドハウスとかいいんじゃない?あの時、あおい喜んでたし!」


快斗さん、園子さん、蘭さんの3人で行く場所を話し合いながらパーク内を回っていた。
途中で着ぐるみを着た怪し気な人を、いつの間にか現れた探偵団のみんなの活躍で捕まえることができて、刑事さんから、これでもう狙われることもないから大丈夫だ、って言われた。


「せっかく来たんだから、アトラクション全制覇なつもりで回ろうぜ?」


快斗さんのその言葉に、


ー何があったか知らねーけど、オメーに今必要なのは気晴らしだ。ここじゃどんだけ叫んでも誰もなんとも思わねーよー


誰かの言葉が蘇ってきた。
…これは、いつの時の、誰が言った言葉だっただろう?目の前の快斗さんとは違う…、いつも私を、助けてくれる人…。


「あおいちゃん、どうした?疲れた?どっかで休む?」
「…いえ、大丈夫…です」
「無理しないでね」


そう言って、快斗さんは私の頭に手を置いた。
快斗さんといると、胸が震える。
苦しいとか、切ないとか、そんな思いも全部ひっくるめて、快斗さんといることが嬉しくて、心が震える。
でも…。
今一瞬脳内に蘇ってきた人の声は、そんなんじゃなくて。
そういうことじゃなくて。
園子さんと、園子さんのお父さんやお母さんの関係のような…。
上手く言えないけど、不思議な安心感を与えてくれるような、そんな声だった。


「あの日は雨が降ってきちゃったから、最後のパレード見なかったけど、せっかくだし今日は見ていこう?」


蘭さんの言葉で、パレードを見れる場所まで向かった。
たくさんの人がパレードを見ようと集まっていた。
その時、


「あおいお姉さん、あぶなーい!!」
「犯人が狙ってます!!」
「姉ちゃん、逃げろっ!!」


探偵団の子たちの声が聞こえた。
瞬間、


「危ねぇっ!!」


快斗さんが私を後ろに引き、まるで盾になるかのように前に出た。
直後、


「黒羽くん!?」


快斗さんの左腕から血が噴き出した。


「…わ、たし、」


ーダメあおいちゃん!それを放してっ!!ー


脳内で、女の人の声が響いた。
それが聞こえた瞬間、その場から走り出していた。

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bkm

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