キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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怪盗キッドの驚異空中歩行


もう1つの意味


紅子との会話から2つ、早急に知りたいことができた。
1つはあおいちゃんの病歴、健康状態。
そんな不健康そうな子じゃねーけど、念のためってやつ。
そしてもう1つ。
「協力者」になり得そうな候補Bである、工藤新一の現在の状況について、だ。
こっちに至っては最近めっきり話題になんねーから(ネットニュースとかでも)ほんとにどこで何してんのか謎だ。
ならアイツの動向、知ってそうなのは、って言ってらやっぱりあおいちゃんで。
気になった俺は早速放課後帝丹高校に行って、あおいちゃんを拾う。
時に、園子ちゃんに出会して挨拶した。
この女の顔がやたらニタニタしてるのに気づいたけど、そこについては放っておくことにした(きっと精力剤の件だと思うしな)


「あ、あのね、昨日園子のおじさんに会ったんだよ!ブルーワンダー、っていう、すごい大きいアクアマリン見せてもらったの!」
「そうそう!それでキッド様を釣ろうってね!」


その過程で、あおいちゃんと園子ちゃんがよくわかんねー話を振ってきた。


「話見えねーんだけど」
「だからぁ、パパのいとこで鈴木財閥の相談役してる、」


そこから園子ちゃんのおじに当たる鈴木次郎吉のことを説明され、


「んで、そのおじ様が、ブルーワンダーっていうビッグジュエルでキッド様に挑戦状を送る、ってわけよ!」


そう言われた。
…鈴木財閥相談役が競り落としたビッグジュエル、ねぇ…。
そもそも闇社会側の海賊の持ち物だったようなものがパンドラであるなら、そもそも表に出てこねーと思うけどな。
まぁ確認して損はねーだろうが、得もなさそうだし、そんな挑戦に乗る必要もない。


「それキッドがノッて来なかったら意味なくね?」
「来るわよ!」
「なんで?」
「キッド様だからっ!」


そーいやあおいちゃんが言ってたよな。
園子ちゃんは「キッド様」ファン米花町代表だって。
でも今の俺にそんな面倒な、


「あおいもそう思うでしょ!?」


なんて思ったら、


「来るといいなぁ、とは思うよ」


俺の天使は今日、サキュバス比重もあるようで、そんなこと言ってきやがった。
そう思わない?みたいな上目遣いで俺を見てくるあおいちゃん。
…マジかよ。
受けろってのかよ、次郎吉の挑戦状…。
まぁ気づかなかった、ってことにしてスルーもありだろ。
なんて、この時は優先順位の低い鈴木次郎吉の挑戦に対して、めんどくせぇが先に来ていた。
そして園子ちゃんと別れて、マンションに到着。
いつものようにあおいちゃんにキスをする。
これをする時にあおいちゃんの肌チェックや、体重の増減なんかもチェック出来るから、案外大事なルーティンだ。


「あおいちゃんさぁ、持病とかあったりする?」


ルーティンも終わり、早速切り出した俺の質問に、


「え?持病?…花粉症とか?」
「そういうことじゃあ、ねーかな」


あ、だよね、とあおいちゃんは言う。
持病であえて花粉症を上げるレベルの健康体、ってことなんだろうけどな。


「わ、私、健康だけが取り柄、って感じで、持病なんてないけど?」
「だよな」
「ど、どうかした?」
「ん?んー…、あおいちゃんの健康状態が気になったから」
「…健康です?」
「ははっ!ですね」


そーだよなぁ、と。
余命宣告なんて程遠い健康体だよな、と思った。


「そーいやさぁ、最近話聞かねーけど、アイツ元気?」
「アイツ?」
「工藤新一」


この際だからこっちも聞いちまえ、と、工藤新一のことを尋ねた。


「あー、元気元気」
「今どこにいるとか連絡着てんの?」
「え?べ、つに、着てないけど?」
「じゃあなんで元気ってわかるの?」
「えっ!?な、なんで、って、」
「なんでって?」
「……連絡ないのが元気な証?」


まぁ、確かに、だ。
今のアイツの状況考えると、下手に連絡着た方がやべー状況なんじゃと勘ぐっちまうから、便りがないのは元気な証なのかも、しれない。
でもそーなってくると、やっぱり工藤新一と直接的に接触する、ってのは、どーしたもんか…。


「さ、さっきからどうかした?なにかあった?」
「何か、って言うか、」
「ていうか?」
「いろんなことあって、いろいろ考えるようになったらいろいろ気になっただけ」
「そっか。私は健康だし、新一くんも元気だよ」


けど俺の問題はそこから先の話なわけで。
工藤新一の行方、か…。
…いや待てよ。
もう1人、知ってそうな奴いたよな。


「さ、さっきもちょっと話したけど、園子のおじさんの持ってるビッグジュエル、」
「うん?」
「アクアマリン、て石なんだけど、快斗くんは石言葉とか知ってる?」


俺が別のことを考えていたら、あおいちゃんが不意にアクアマリンについて話し始めた。


「『幸福に満ちる』だって。良い言葉だよね。すごく綺麗な海の色した石だったし、小さい奴、快斗くんにプレゼントしてあげようか?」


ふふふっ、て笑うあおいちゃん。


「何それ、プロポーズ?」
「え?プロポ、」
「アクアマリンの石言葉にあるだろ?」
「えっ?」
「『幸せな結婚』て意味が」


俺の言葉に、あおいちゃんは一拍間を起き、


「ちっ!違うの!!そんなつもり全然ないからっ!!」
「えー、そんな全力否定、それはそれで俺傷つくんだけどなぁ」
「えっ!?でっ、でもそんなプロポーズなんて私たちそんなただの高校生カップルでそんなそんな新婚さんいらっしゃい!?」
「ぶはっ!何それ、いらっしゃいしちゃうの?」
「待ってっ!!まだいらっしゃっちゃダメでしょ!?ダメだよね!?ダメだって!!」


目の前でパニックになるあおいちゃんに、いろいろ考えてたことが束の間吹き飛んだ気がした。

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bkm

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