キミのおこした奇跡ーAnother Blue


≫Clap ≫Top

怪盗キッドの驚異空中歩行


石言葉


昨日園子たちと映画に行って、次郎吉さんに会ってブルーワンダーを見たりしていたら、いつの間にか快斗くんから「あ・い・た・い」ってメールが着ていた。
何事かと思ったけど、ブルーワンダーのこともあるし「わ・た・し・も」ってメールを返した。
ものだからか、その翌日の本日放課後、帝丹高校校門前に、


「あおいちゃーん!」


バイクに乗った快斗くんが現れた。


「ど、どうしたの?」
「どうしたも何も、会いたいって言ったじゃん」
「あ、うん、言われたね」
「あおいちゃんも私も、って言ってくれたから会いに来たんだけど?」


ダメだった?みたいに聞いてくる快斗くん。
…そんなダメなわけないじゃん!
放課後校門前に爽やかにバイクで迎えに来てくれるカッコいい彼氏とかもう、全校生徒に言いたい。
この人!私の!!彼氏なんですよっ!!!ってね!!


「おーおー、あいっかわらずねー、あんたたち!」


快斗くんに、ヘルメット手渡されてる時、後ろから園子が言ってきた。


「よ!園子ちゃん、久しぶり!」
「あ、この間は温泉まんじゅう、ありがと」
「あれ美味くね?」
「美味しかったけど、どこのジジイ、ババアの土産かと思ったわよ!」
「まーまー、温泉地の定番だろ?」


園子と快斗くんは、笑いながら話している。
…ほんと、仲良いよなこの2人。
そうだ!


「あ、あのね、昨日園子のおじさんに会ったんだよ!」


私の言葉に、快斗くんはうん?て顔をした。


「ブルーワンダー、っていう、すごい大きいアクアマリン見せてもらったの!」
「そうそう!それでキッド様を釣ろうってね!」
「…話見えねーんだけど」
「だからぁ、パパのいとこで鈴木財閥の相談役してる、」


そこから園子が次郎吉さんのことを簡単に説明して、


「んで、そのおじ様が、ブルーワンダーっていうビッグジュエルでキッド様に挑戦状を送る、ってわけよ!」


無事快斗くんにブルーワンダーのことを事前に伝えることが出来た。
…ほんとは新聞掲載を待ってても良かったんだけど、準備とかあるんじゃないかな、って思って、できるだけそれとなーく、呼ばれてるんだよー、って伝えておきたかった。


「でもそれキッドがノッて来なかったら意味なくね?」
「来るわよ!」
「なんで?」
「キッド様だからっ!あおいもそう思うでしょ!?」


自信満々に言う園子。
「キッド様だから」来るっていうか、来てもらわないと次郎吉さん含む、コナンくんとの関係とか、何にも進まないわけで。


「来るといいなぁ、とは思うよ」


私の言葉に快斗くんは一瞬微妙そうな顔をした。
…今絶対、面倒な仕事増えたって思ったに違いない。


「あおいちゃんさぁ、」


園子と別れて、マンションに到着。
快斗くんのちゅっちゅっタイムが一段落した頃、


「持病とかあったりする?」


謎の質問を受けた。


「え?持病?…花粉症とか?」
「そういうことじゃあ、ねーかな」
「あ、うん、だよね」


ソファに座って、後ろからぎゅって私をホールド(今日は足つき)してる快斗くんにツッコミを入れられる。


「わ、私、健康だけが取り柄、って感じで、持病なんてないけど?」


私の言葉に快斗くんは、だよな、と呟くだけだった。


「ど、どうかした?」
「ん?んー…、あおいちゃんの健康状態が気になったから」
「…健康です?」
「ですね」


ははっ、と快斗くんは笑う。
…え?なに、なんで私の健康状態??


「そーいやさぁ、」


私が???ってなっていると、


「最近話聞かねーけど、アイツ元気?」
「アイツ?」
「工藤新一」


快斗くんはまた別の質問をしてきた。


「あー、元気元気」


今朝もランドセル背負って、あおい姉ちゃんおはよう、テスト勉強頑張ってね、って言ってきやがったから。
気持ち的には小学生からテス勉頑張ってって言われちまった、みたいになってて、言ってきやがった、って言葉がピッタリだ。
普通言わない、小学生が言わない。


「今どこにいるとか連絡着てんの?」
「え?べ、つに、着てないけど?」
「じゃあなんで元気ってわかるの?」
「えっ!?な、なんで、って、」
「なんでって?」
「……連絡ないのが元気な証?」
「………なるほど?」


微妙な沈黙の中、快斗くんも(たぶん)納得した気がした。


「さ、さっきからどうかした?なにかあった?」


快斗くんの質問の意図が見えないどころか、その質問の関連性も全く感じられない私。
だって私の健康の心配の次が新一くんの安否だよ?
あの人いたら不健康になるみたいじゃん!
あの人いたら寝ずに勉強させられるからあながち間違ってないけどっ!


「何か、って言うか、」
「ていうか?」
「いろんなことあって、いろいろ考えるようになったらいろいろ気になっただけ」
「そっか」


快斗くんは私と違って「いろいろ考える」人だ。
そりゃあもう、ありとあらゆるパターンを考える人だ。
と、思う。
だからきっと、私が考えないこと考え出しちゃったんだろうなー…って思う。


「私は健康だし、新一くんも元気だよ」
「うん」


そうは言っても、やっぱりどこかまだ元気がない快斗くん。


「さ、さっきもちょっと話したけど、園子のおじさんの持ってるビッグジュエル、」
「うん?」
「アクアマリン、て石なんだけど、快斗くんは石言葉とか知ってる?」


蘭の話の途中で終わっちゃって、帰宅後わざわざ自分で調べちゃったんだけど。


「『幸福に満ちる』だって。良い言葉だよね」


ブルーワンダーはパンドラじゃないけど。
でも快斗くんが幸福に満ちるような何かきっかけになれば、なんて思った。

.

prev next


bkm

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -