キミのおこした奇跡ーAnother Blue


≫Clap ≫Top

怪盗キッドの驚異空中歩行


鈴木財閥相談役


紅子ちゃんが家に来た、と、思ったら気がついたら帰っていて、来る予定なかったのに、いつの間にか快斗くんが来てたっていう謎事件の後(結局紅子ちゃん何しに来たのかわからない上、聞いてももう済んだからの一言で会話終了された)


「あーあー、なーんか楽しいことないかしらねー?」


今日は園子と蘭の3人で映画を観に来ていて。
映画の内容に納得いかなかった園子がボヤく。
蘭曰く、私と快斗くんの温泉旅行が羨ましくて羨ましくて羨まし∞らしくて、園子は最近「胸踊るような楽しいことないか」が口癖と化しているらしい。
え、それ、京極さん誘ってデートしたら解決するじゃん?て言ったら、そもそもどこに武者修行行ってるのかわからないのにどうやってデートに誘うのよ!ってガチ切れ起こされたから、たぶん今園子に対して「京極真」ってワードはタブーだと思う。
…快斗くんが武者修行するような男子高校生じゃなくて良かったって心の底から思った。


「ちょっと!なんなのよ人にぶつかっておいて!!」


そんなこと思いながら通りを歩いていたら、園子の後ろから誰かがぶつかって、その人は謝ることなく通り過ぎて行った。


「あれ?園子、カバンは?」
「え?えっ!?ひ、ひったくりっ!!」
「…2人はここで待っててっ!」


園子のカバンがない!って思った直後、今の人にひったくられた、って気づいた園子。
の、言葉を聞いて果敢にもひったくり犯を追いかけたのは、米花の女拳士だった。


「ま、待ってて、って言われても、」
「私らも追うわよ!あおいも急いで!」
「えっ!?ま、待っ、」


そしてその後を園子が続き、園子の後を私が続きたい気持ちはあったけど、人混みの中を華麗にすり抜けてひったくり犯を追う蘭の後を追うなんて芸当が出来るわけもなく、見事人並みに飲み込まれた私。


「そ、園子!だ、大丈夫?」
「あおい、おっそーい!」
「あれ?蘭は?」
「今警察呼んでる最中!」


私が到着した頃には全て終わっている、っていう状況だった…。
この時にようやく、あれ?と思った。


「その人は…?」
「あー、さっき蘭にも紹介したけど、うちのパパのいとこで鈴木財閥の相談役の」
「すっ、鈴木次郎吉っ!!」
「「えっ?」」


園子のカバンをひったくった犯人を取り押さえたのは、園子のおじさんの鈴木次郎吉相談役。
…この人がひったくり犯を取り押さえた、ってことはですよ?
これはもしかしてもしかすると!!


「あんたなんでおじ様のこと知ってんの?」
「えっ!?だ、だだだだだだって有名人じゃん!」
「ほぅ、有名人とな?」
「は、はいっ!ゴルフのヨーロッパオープン、ヨットのUSAカップ、世界ハンバーガー早食い選手権やサバンナラリーとかで優勝したんですよね!ニュースに顔写真付きで出てましたっ!!」


私の言葉に、


「そうか、そうか。こんな年端もゆかん娘さんから周知されるとは、ワシもまだまだ」


ひどくご満悦な次郎吉さんと、


「あんた、ニュースなんて見るような奴だっけ?」


どこか引き気味の園子っていう、対象的な絵ヅラを目の当たりにした。
そして警官を引き連れて戻ってきた蘭と合流、その場で簡単な聴取を受けた。
その後、


「せっかくここで会うたんじゃ。ようやっと手に入れたエサでも見に来るか?」


次郎吉さんがニヤリ、と笑いながら、意味深に口にした。


「おじ様には悪いけど、別にペットのエサに興味は」
「行きます!!」
「「えっ!?」」
「おぉ、じゃあ着いてきなさい」


断ろうとした園子の言葉を遮って、着いていくと言った私。
次郎吉さんはタクシーを止めようと、その場を少し離れた。


「ち、ちょっと!なんでペットのエサ見に行かなきゃいけないのよっ!?」


私の腕をグイッ!と引っ張り園子は言う。
園子の言葉に蘭も困ったように頷いていた。


「2人ともわかってないなー」
「は?」
「あのねー、鈴木財閥の相談役が『エサ』なんて言うんだよ?ただのペットのわけないじゃん!!」
「…あんたさぁ、」
「どこからその自信が…」


私の言葉に、園子と蘭は苦笑いした。


「園子言ってたでしょ?」
「何をよ?」
「胸踊るような楽しいことないか、って!きっとあるからっ!!」
「ペットのエサ見に行くのよね…?」
「胸、踊るかなぁ…?」


だってさ、そうでしょ?
園子がひったくりに狙われて、そのひったくり犯を次郎吉さんが取り押さえる、って。
これはもう、怪盗キッドの空中歩行じゃん!!
キッドを釣るためのエサって、そこら辺の鳩のエサとかじゃないんだよ!?
時価ン億してもおかしくないビッグジュエルだよっ!?
そんな宝石、そりゃあ園子はわりと目にするかもしれないけど、私なんてそんなそんなただの女子高生なんだから、これはもう、見に行くしかないじゃん!!
そう思った私は、フン!鼻息荒く、次郎吉さんが止めてくれたタクシーに乗り込んだ。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -