キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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帝丹中学修学旅行in沖縄


カミングアウト


「じ、じゃあつまり?」
「あおいがずっと憧れてた江古田の男の子と連絡取るようになって、今じゃ毎日メールしててほぼ毎週一緒にご飯食べてるってこと!?!?」
「しーっ!!」


どこからどこまで話せばいいのかわからないし、そもそも上手く隠して話すなんて芸当私には難易度高すぎなわけで。
しかも園子も聞き上手?乗せ上手?なものだから、快斗くんとのこと、気がつけば洗いざらい話していた…。
私の言葉を聞いて蘭は心の底から驚いた顔をして、園子は薄暗い部屋の中でもハッキリとわかるほど興奮した顔をしていた。


「何それあんた彼氏出来たなら早く言いなさいよっ!!」


園子は枕をギュッと握りしめて言ってきた。


「か、彼氏、じゃ、ないし、」
「はぁ!?ばっかじゃないの!そんなことする男が彼氏じゃないなら何なのよ!?」
「園子、声が大きいって…」


園子の興奮に、蘭が止めに入った。


「ほ、ほんとにつきあってなんかいないんだって、」
「バカ言わないでよね!そんなこと無償でやる男どこにいるのよ!?」
「…江古田?」
「そーいうこと聞いてんじゃないでしょ!?もっとちゃんと」


ガラッ!!


修学旅行の時のこの連帯感て、一体どこから生まれるのか不思議なんだけど。
ガラッ、と部屋のドアが開いた!と思った瞬間、バッ!と私も蘭も園子も布団に突っ伏して寝に入った。


「…」


ガラガラ…


懐中電灯で室内が照らされた数秒後、部屋のドアがまた音を立てた。
そこからすぐ起き上がる勇気はなかったけど、


「このまま言い逃げるなんて許さないわよ」


園子の声にまた起きざるを得なかった…。


「あーあー、女の友情なんて脆いもんね。まさか彼氏出来てたこと隠されてるなんて!」


それまではお腹を下にして上半身を少し起こして話してたんだけど、園子はそう言いながら仰向けに寝そべった。


「ほ、ほんとにつきあってなんかいないんだって、」
「あんたねーまだ言い逃れる気?」
「言い逃れとかじゃなくて、快斗くんは優しいから…私が親の話しちゃって、じゃあ毎日連絡する、って言ってくれて、」
「「……」」


そもそもあんなに優しいのに彼女いたことないっていうのは、快斗くんにとってアレは当たり前の優しさで何も私にだけ、ってわけじゃない気もするし…。


「ご飯だって、…快斗くんち、お父さんが亡くなってて、お母さんも家にいない時あるから、なら一緒に食べよってなっただけ、だし、」
「「……」」


快斗くんは「親なし同盟の同士」って言ってくれたけど、でも快斗くんにはお母さんだって、青子だって、いるわけで。
それなのにこうやってくれてる、っていうのはそりゃあ快斗くんの好意もあるかもしれないけど、それよりも優しさや同情からくるものなんだろうな、って思うし…。


「まー、ソイツ知らないけど、イイ男っぽいじゃん?」


私の言葉を聞いて納得したのかしてないのか、園子がそんなことを言った。


「いやそこはもうほんとにイイ男だと思うの。カッコいいし優しいし料理も出来るし、その上すごいマメでもうこの人以上の男の人なんて全人類探しても3人もいないと思うのね」
「…あんた本当につきあってないのよね?」
「は、はは…」


私の言葉に園子はまたお腹を下にして上半身を起こしす態勢に戻ったんだけど、あからさまに呆れた顔をしていた。
蘭は蘭で顔をどこか引きつらせて笑っていた。


「ねぇ、あおい」


園子は私に一通り聞けたことに満足したのか、今度会わせろー、とか、写真見せろー、っていう姿勢になった。
その時蘭が私の名前を呼んだ。


「…新一に、話さないの?黒羽くんのこと」


やっぱり、って。
これを聞いてくるなら、きっと蘭。
そう思ってたから、驚きはしなかった。


「…快斗くんが、さ、どう思ってるかはわからないけどさ、」
「うん?」


本当は快斗くんと番号交換した後すぐにでも園子や蘭に話したかった。
やっと!快斗くんと!!連絡取れるようになったんだよ!!って。
2人のこと、友達だと思ってるからこそ、話したかった。
でも…。


「上手く言えないんだけど…、私ね、快斗くんのこと、きっと、たぶん、本当に好き、だと思う、のね」
「…うん」
「でもさ、まだ友達として始まったばっかりだし、…住んでるところも全然違うから、いつ連絡取れなくなるとか、わからない、し」
「うん」
「別に悪いことしてないんだけど、ただなんとなく、なんて言うかな…すごく大事にしまっておきたい、っていうか、さ、」


からかわれたり、いじられたり。
仲が良かったら、そんなこともしかしたら当たり前なことなのかもしれないんだけど。
でも快斗くんのことはそうじゃないんだ。


「隠してるわけじゃないけど、自分の中にしまっておきたい、っていうか…ごめん、意味わかんないよね」


私も言ってて意味わかんなくなってきたし!
なんて思ったけど、


「…ううん、わかるよ。なんとなくだけど、言ってること、わかると思う」


薄暗い部屋の中で、蘭が優しく微笑んでくれているのがわかった。


「ま、あの男がグダグダしてたのが悪いんでしょ!」
「うん?」
「私たちはあんたの味方よ。だからもしその彼と進展あったらちゃんと報告しなさいよー!」


園子は言うだけ言って、じゃあ私寝るわって自分の布団に戻っていった。


「もう1つ聞いていい?」
「うん?」
「あおいにとって新一は、ただの友達?」


じゃあ私たちも寝ようか、ってなった時、蘭がさっきよりも小声で聞いてきた。

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bkm

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