キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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怪盗キッドvs四名画


巻き込まれたんじゃありません


黄昏の館事件が終わって、警視庁での事情聴取も終わって、さぁ家に帰ろうって頃、蘭とおじさん(ホンモノ)が警視庁に迎えに来てくれた。


「あおい!ごめんね、大変なことに巻き込んじゃって!」


蘭がすごく申し訳なさそうに駆け寄ってくれたけど、巻き込まれたって言うか今回はむしろ巻き込まれに行ったからいいの、なんて言えない私は、


「だ、大丈夫、大丈夫!なんかスプレー?かけられて、眠らされたんだけど、寝てたら事件終わっててさ、」


当たり障りないことしか言えなかった。


「眠らされた、って、誰に!?」
「あー…、槍田さんて女の探偵さんなんだけど、でもそれは犯人確保に邪魔にならないようにするためで仕方なかったみたい?」
「何それ!犯人確保のためでももっと他に方法あったんじゃないの?あおい、前に薬飲まされて大変な思いしたじゃない。今回は大丈夫なの?」


あー、それは大丈夫、って言おうとした時だった。


「大丈夫だよ!おじさんに変装してたキッドがあおい姉ちゃんでも大丈夫な睡眠スプレー貸してくれたから」


コナンくんが会話に入ってきた。


「え?キッドが睡眠スプレー貸してくれたの?」
「びっくりだよねぇ。僕おじさんだと思ってたから、槍田さんにそのスプレー缶渡しちゃったんだけど、なんでキッドはあおい姉ちゃんが薬品に弱いって知ってたんだろうね?」


ね?って上目遣いで聞いてくるコナンくんの可愛らしい仕草とは対象的に、私は冷や汗が出た気がした。
…これがあったから、コナンくんは私とキッドが連絡取り合ってるのか聞いてきたんだ!!


「ほ、ほら、前にキッドに助けられた時、私が寝ゲロした瞬間も見たっぽいこと言ってたからそれでじゃないかな!?」
「うーん…、そうなのかなぁ?でもさぁ、」
「ぶぇーっくしょん!!」


完全に疑ってるコナンくんの言葉を遮るかのように、おじさんがものすごく大きいくしゃみをした。


「お、おじさん大丈夫?」
「大丈夫なわけあるかよ!あのコソ泥野郎、俺の服盗みやがって、助けが来るまで下着姿で縛られてたんだぞ!?ぶぇっくしょん!俺の服盗んで変装すんなら、せめて新しい服用意しろよっ!!へっくしょん!!」


おじさん完全に風邪引いたな…、ってくらいに、ご機嫌ナナメにくしゃみ連発していた。


「お父さんが地元警察に保護されてるって連絡きて、どうしたらいいかわからないからお母さんと一緒に着替え持って迎えに行ったのに、車内でお母さんと喧嘩しちゃって、いろいろ重なって機嫌悪いだけだから気にしないで」


蘭が苦笑いしながらフォローを入れてきた。
…でもそのお陰で、コナンくんからの追求が止まったから結果オーライだと思う、なんて言ったらおじさんに悪いから口にしなかった。
その後も、早く帰ろう、と蘭に促されそれ以上の追求を受けることなく開放された。
マンションに戻り、ケータイを見ると快斗くんから電話できる?って連絡が来ていて。
あ、快斗くんも無事に逃げ切れたんだ、って思って電話をかけた。


「あおいちゃん今どこ?」
「え?今?…マンション、の、部屋にいるけど?」


快斗くんが電話に出た瞬間、そう尋ねてきた。


「テレビ見れる?」
「え?テレビ?見れるけど、っ!?」



快斗くんに言われてテレビをつけると、


「突如山頂に表れた黄金の屋敷!いったい誰がなんのために建てたのか、」
「地元では『黄昏の館』という通称があったようですが、こちらの写真見えますでしょうか?普通の、普通と言っては語弊がありますね。昨夜まではこの豪邸が建っていたのですが、一夜にして光り輝く黄金の館が表れ、」
「館に通じる唯一の橋が焼け落ちているため、この屋敷には現在はヘリでしか近づけないようです」


つい数時間前までいて、完全に本来の姿を見せた黄昏の館が映し出されていた。


「あおいちゃん、眠りの小五郎と黄昏の館行くって言ってただろ?」
「うん」
「ここのことだよな?」
「そうです」
「また事件に巻き込まれた?」


やれやれ、って感じに快斗くんが大きなため息を吐きながら聞いてきた。
違うの、巻き込まれたんじゃなくて、巻き込まれに行っただけなの、てゆーか快斗くんだっていたんだから知ってるくせに!
なんて思ってるけど、そんなこと言えないじゃん?
どうしようどうしよう、って思った瞬間、白馬くんの素敵な笑顔が脳裏に表れた。


「あ!快斗くんのクラスメイトに会ったよ!」
「クラスメイト?」
「白馬くんていう高校生探偵!」
「キザでキモいだろ?」
「え?…や、別にそんなことは…」
「キザでウザくね?」
「えっ!?…い、やぁ?英国紳士って感じでカッコいい人だったけど…?」
「…………」


快斗くんと白馬くんは敵同士だから当たり前と言えば当たり前なんだけど、快斗くんは白馬くんのことが嫌いみたいで。
私の言葉に快斗くんは黙ってしまった…。


「あおいちゃん、これからそっち行っていい?」
「え?今から?」
「うん」
「まぁ、うん、いい、けど?」
「じゃあ行くから待ってて」


それだけ言って、快斗くんは電話を切った。
…私はほら、途中強制的に爆睡させられたから、一応寝てるんだけど、快斗くん大丈夫なの?寝てないんじゃない?しかも運転もしたし、帰りは自力でハンググライダーでしょ?え?疲れてるんじゃないの?


「な、なにか食べる物あったかな…」


疲れを押してやってくる彼氏に、これは大変だと、慌てて食べる物を確保に飛び出した。

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bkm

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