キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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集められた名探偵


気絶カウントダウン


裏門に行って、車を確認。
その車を使って落とされた橋を見に行く、ってなった。
でもみんな気になるから、行きたい行きたい、ってなってしまい。


「これこれ、船頭が多いと船が沈むよ」
「ええ。確かにphantom thiefならぬ、phantom shipになりかねませんね」
「じゃあ、どの探偵さんが行くか、コインで決めれば?僕、小銭丁度五枚持ってるから」


原作通り、コナンくんが用意したコインで行くメンバーを決める流れになった。
そして私当然、そのコインでメンバーを決める前の、コインを取る今この瞬間、目を見開いてみんなを見ていた。


「あら、おチビちゃん。気が利くじゃないの!」


最初に千間さんが手を伸ばし、十円玉を取った瞬間、


「「「…」」」


本当に微かな変化。
でも少なくとも、白馬くん、茂木さん、槍田さんの体が、小さくピクッて動いたのはわかった。
…けどおじさんは、快斗くんは全く表情を変えない。
快斗くんは探偵じゃない。
でも、白馬くんたちがわかったことを、快斗くんが気づかないはず、ないと思う。
だからきっと、快斗くんも気づいたと思うけど、全く表情に出さないのはさすがだなぁ…。


「原始的な方法ではありますが」
「まあ、しゃーねーか」
「そんじゃあ、コインの表が出た奴が、」
「車で橋を見て来るって事で」


それぞれの言葉を引き継いで探偵たちが話し出す。
そして、


「行くのは私と、毛利ちゃんと、茂木ちゃんだね?」


橋を見に行くメンバーはおじさんと茂木さん、そして千間さんに決定し、3人が乗り込んで車が動き出した。


「あのさー、」
「え?…なぁに?ボウヤ」
「僕犯人わかっちゃったんだけど、槍田さんと白馬の兄ちゃんは気づいた?」


コナンくんのその一言に、槍田さんと白馬くんは一瞬顔を見合わせたけど、ニィッと笑った。


「なるほど?さすがは毛利名探偵が連れている少年なだけある」
「もしかしてあのコイン、わざと?」
「まさか!あれは偶然だよ!」


えへへー!と笑うコナンくん。
コナンくんが、新一くんが、みんなが気づいたことに、気づかないわけがない。
気づかないわけないんだけど、私原作知らなかったらこの話についていくことが全くできなかったと思う!


「じゃあすることは1つ、だよね?」
「そうね、これ以上死人を増やすわけにはいかないし」
「ですがどうする気です?」
「もし本当に脱出への道を教える気なら、みんなが生きているうちは、言わないと思うよ?」
「そうでしょうね。枕の下にご丁寧にピストルまで用意されていましたから」
「じゃあさぁ、僕が聞く、って言うのはどう?」
「えぇ?ボウヤが?」
「そう。みんなに適当に遣り合ってもらって死んだフリしてもらった後で、僕が2人で話し合うよ。子供相手なら、きっと脱出方法を教えてくれると思うよ?」
「死んだフリ、ですか…」
「まぁ…、子供相手に教える、って言うのは、一理有るかもしれないわね」
「ですがそんな子供だまし、無意味だと思いますが…」
「でもやってみなきゃわからないよね?」


ニィッと笑うコナンくんの顔に、白馬くんが小さくため息を吐いた。


「了解。やってみましょう。小さな探偵くん」
「ありがとう」
「それで?具体的には?」
「きっと犯人は、」


その後、コナンくん主導の下、簡単にどうするかの話し合いがもたれた。


「あ、あのぅ…。私はどうすれば…?」


淡々と進む話し合いに、メイドさんが口を開いた。


「あぁ、あなたと、それからあおいちゃんもね。あなたたちは特に何もしなくて大丈夫。私と一緒に行動してもらうから」


その一言に槍田さんが答える。
…それで眠らされるわけですね、わかります。
いや、足手まといになるくらいなら寝てた方がいいのかもしれないけどさ。
でもさー、薬品て私うっかりまた寝ゲロったらどうしてくれるの今回イケメンが2人(快斗くんと白馬くん)もいるのにゲロリーナになったらどうしてくれるのしかも意識無く寝ゲロッティーナになったらどうしてくれるのよっ!


「あおい姉ちゃん、どうしたの?」
「…みんな元気に帰れるといいな、って」
「大丈夫だよ!僕がいるから!」


いっやー…、1番傷だらけで帰還しそうな人に言われても…。


「僕とりあえず、おじさんたちにこっそり合流して作戦の話してくるから、あおい姉ちゃんは槍田さんと一緒にいてね?」


コナンくんに可愛くお願いされた私は、涙を飲んで槍田さんと行動することにした。
隠しカメラで音も聞こえるかもしれないから、余計なことは喋らないこと、って念を押された後で。
でももう何が余計で何が余計じゃないのかさっぱり…。
だからとにかく黙ってようって思った。
それからしばらくして玄関扉が開いた。


「ええっ!?千間さんが殺された!?」


館に戻ってきたおじさんと茂木さん(と、コナンくん)が、千間さんのことを伝えてきた。


「ああ。車のライトをいじると爆発するように細工されてたみてーだぜ」
「待っていても殺られるだけだ。本当に俺たちの他に館に誰か居るか手分けして探してみよう!」
「じゃあ私達は女3人でチームを作ろうかしら。その方が連れションも出来るしね!」


茂木さん、おじさん、槍田さんの順で会話が繰り広げられ、徐々に気絶カウントダウンが始まる。
やだなぁ、具合悪くなったら…。
でもあの時、私髪に吐いた残骸着いてたのに、快斗くん何にも言わず抱っこして助けてくれたんだよね…。
…もう!ほんとただの王子様!
私の王子様っ…!!


「何?どうかした?」
「いえ。なんでもありません」


槍田さんの冷たい視線を感じた私は、背筋を伸ばして答えた。


「何もないなら私たちはこっちよ。行きましょう」


いつの間にか女子チームが見回る場所が決まっていて。
さぁ館内見て回るわよ、って槍田さんが歩き出す。
その後をメイドさんが歩き出すんだけど、私も歩き出す前にチラッとおじさん(に扮した快斗くん)を見たら、


「…」


どこか困ったように笑って見送られた。
…わかる。
私が快斗くんでもその表情になるよ…。
気絶させられるの知ってて見送るとか、そういう顔になるよ。


「あ、ついでにトイレ寄っていいかしら?」


あぁ…。
カウントダウンが…。
だ、大丈夫かなぁ…。
えぇっと、確か、メイドさんがいなくなってて、それを心配した蘭が廊下に見に行ったら倒れてるメイドさんを見つけて、それを見て驚いている不意をつかれて後ろからガバッ!だったから…。
…メイドさんどこ行った?って話をフラなきゃいいのかな?
いやそんなことしたら話が進まない?
でもやっぱり痛いとかも嫌だけど、具合悪くなるって知っててその道を進むって、私そこまでMじゃ


「ねぇ、あおいちゃん」
「え!?」
「そっちの窓の外、何か見えない?」
「え?窓、です、か?…何もないですよ?」


槍田さんが指刺す方に目を向けても何もなく、クエスチョンマークを飛ばしながら槍田さんを見た。
瞬間、


プシューーー


「おやすみ、お嬢さん」


いつの間に持っていたのか、槍田さんがスプレー缶をこっちに向け、プシューと私目掛けて吹き掛けてきた。
え?と思うのが早かったのか…。
私の世界は暗転した。

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bkm

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