キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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集められた名探偵


黄昏の館への招待状


結局快斗くん(本人)には会うことないまま連休が終わり、連休明けの学校へ向かう道中で、


「あおいにこんなことお願いするの申し訳ないんだけど、」


そんな前置きで蘭が話し始めた。


「ちょ、っと…、お父さんに変な…依頼?が着たんだけど、」
「変な依頼?」
「なんか晩餐会に招待、とか言う奴でね、」
「うん」
「お父さんが招待される側なんだけど、一緒に200万の小切手が入ってて…」
「えっ!?」


200万の晩餐会で思い当たることがある私は、食い入るように蘭を見つめ、次の言葉を待った。


「その小切手本物みたいだし、お父さんは貰っとけって言うけど、そんなわけにはいかないでしょ?返そうにも晩餐会のある場所の住所しか書いてないし、コナンくんはコナンくんで小切手返すついでに行きたいとか言うし、でも私は空手の地区大会で土日も練習あるから無理だし、どうしていいかわからなくて…」
「う、うん…!」


これはもしかして、って、この段階で薄っすら期待したのは事実。


「黒い封筒で来た…ちょっと気味悪い感じの招待状だからこんなことお願いするの本当に心苦しいんだけど、あおいさえ良かったらお父さんやコナンくんと一緒にその黄昏の館ってところに」
「行くよっ!任せてっ!!」
「…あ、ありがと?」


蘭の言葉が待ちきれなかった私は、思わず食い気味にOKを出してしまった。
その勢いに蘭がちょっと驚いた顔をした。


「一応、招待状の写真撮っておいたから、あおいにも送るね」
「うん!」


あのお話では、いつ怪盗キッドが自分の名前を語り悪さをしようとしてる人物に気づいたかは描かれていなかった。
…ということは、これは私の出番でしょ!
晩餐会は来週末に行われるから、その前にさり気なーく、快斗くんにこの話しを持ち出さなきゃだ。
ううーん、さり気なく、キッドの名前使われてるよーって教えるにはやっぱり招待状を見てもらうのが1番な気がする。
晩餐会が来週末だから早めに言っておかないと、快斗くんが別の(犯行)予定入れたら大変だ。
なんていろいろ考えていたお昼休み


着信 黒羽快斗


快斗くんから電話が着た。
何事かと慌てて通話ボタンを押したら、


「は、はい?」
「あおいちゃーん、俺限界」


テンション低めな快斗くんの声が響いた。


「あおいちゃんに会わなすぎてしんどい。会いに行ってい?」
「そ、れは、もちろんいいけど」
「んじゃあ放課後行く」
「今日?」
「駄目?」
「ううん!ダメじゃないよ」


むしろ願ったりだ!
これで快斗くんに招待状(の、画像)を見せられる!
そう思った私は放課後を今か今かとそわそわしながら待っていた。
快斗くんから、放課後着替えてから行くからマンションで待っててってメールが着た。
…邪魔者はいない!
大丈夫、自然に招待状(の、画像)を見せられる!はず。


「あおいちゃーん、会いたかったー」
「わ、私もっ…!」


玄関開けたら抱きついてきた快斗くんを抱きしめ返した。
…だって黄昏の館の話ししなきゃなんだから、そりゃあもう会いたかったよ!!


「ごめんなぁ、連休中会えなくて」
「う、ううん!予定合わなかったのは仕方ないし」


いつものようにソファに座ってもらって、紅茶(甘め)を用意した私を、足の間に入れて後ろからぎゅってしてきた快斗くん。
…最近この体勢は減ってきたと思ったけど、あえてこの体勢をするあたり、今日の快斗くんほんとにお疲れなのかも…。
これはいきなり招待状の話を切り出すより、まずお疲れ快斗くんを癒やさねば!となった。

そしてそこから2時間後。


「黄昏の館?」


癒やされたであろう快斗くんに、ようやく招待状の話しを切り出した。


「そう。蘭が行けないって言うけど、コナンくんが行きたがってるし、小切手返さなきゃだからまぁ…おじさんとコナンくんの付き添いで」


ふぅん、と快斗くんは言う。
…ここまでは普通の反応。


「こ、この招待状なんだ…、画像だからちょっと見にくいかもだけど、」
「どれどれー?」


ケータイ画面を見せつつ、快斗くんの顔色を伺うように見ていると、


「…」


あ、今ピクッて一瞬眉毛動いた!って瞬間を、私は見逃さなかった。


「…これに眠りの小五郎と、ええーっと、なんだっけ?蘭ちゃんちの居候」
「コナンくん」
「それ。コナンてガキと一緒に行くの?」


顔を上げ、私を見る快斗くんは、もういつもの快斗くんだった。


「そう。蘭の話しだとバスとかもない場所みたいだから、たぶん、レンタカー借りておじさんの運転になるみたい」
「そっか。気をつけて行けよ?」
「うん」


そしてその後しばらく雑談して、快斗くんは帰って行った。
…これできっと、黄昏の館に本物の怪盗キッドが現れる。
あとはあの事件も、奇術愛好家の時のように殺人事件だから…。
でも奇術愛好家の事件とは違って、あのお話は、探偵たちが「殺し合ったとしても」謎を解きたかった犯人のお話だったから…。
もしかしたら、死んでしまう人が助かることで、本来助かる人たちが、死んでしまうかもしれない。
それは絶対に起こってはならないこと、だと、思う。
そもそも殺される人自身が、放っておいたら集めた探偵たちを手にかける可能性がありそうな人だった…。
ならもう、今回私がやるべきことは、コナンくんと快斗くんが変装したおじさんと一緒に黄昏の館に行くことと、ヘリから快斗くんを逃がすこと、な、はず。


「よ、よし…!」


この日から(私が考えつく)いろんなパターンを、対処法を考えるようになった。

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bkm

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