キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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コナンvs怪盗キッド


犯行の瞬間


「それにしても蘭のヤツおせーなぁ」
「きっとどこかで迷ってるんですよ!」


マカロンでお腹を満たしてご満悦な私は、


「蘭もたまに方向音痴発揮するからねー!」


うっかり調子に乗ってしまった。


「どうせ方向音痴ですよ!」
「蘭!」


と言う名の快斗くん…!!
まさか今のこの調子に乗ったタイミングをツッコまれるとは…!
じーっ、と見つめる蘭は、どこからどう見ても蘭、で、


「ん?なぁに、あおい?」


どこからどう、見て、も…?
……私、もしかして快斗くんの変装、見抜けるかも!
え、でもこれ本人に伝えた方がいいのかな…?
これ気づく人は気づくと思う!(特ににゃんことかにゃんことかにゃんこ)


「あおい?どうかした?」


私の顔を覗き込む蘭。
………やっぱり気づかなかったことには出来ない!!


「ね、ねぇ、ちょ、っと、耳貸して、」
「ん?なになに?」


蘭(に、変装した快斗くん)が私に耳を傾ける。
気持ち背伸びをして、右手で他の人に聞こえないように口元を隠し蘭(に、変装した快斗くん)に顔を近づけ、


「次は、瞳の色も変えた方がいいですよ、怪盗さん」


そう耳打ちした。


「……なんの話?」


にっこりと笑う蘭は、蘭なんだけど、やっぱりちょっと違う気がして。


「う、ううん!違うならいいんだけど、ただちょっと、気になっちゃったから」


確かに、蘭と快斗くんの瞳の色合いは、似ているかもしれない(私からしたら快斗くんの方がずっと星空色だけど)
でもやっぱり違うものは違うから。


「なになに、2人で内緒話?」
「えっ!?ち、違うよ!」
「… あおいが髪にゴミ着いてるかも、って教えてくれたの。ね?あおい」


ふわっと笑う蘭の、その笑い方は、蘭、ていうより、やっぱり、快斗くんの笑い方だった。


「あー、それは確かに小声になるわ」
「優しいよね、あおいは」


その後は別に普通。
蘭、というか、快斗くんは、普通に園子と話しをしている(あまり目を合わせないようにはしてるような気もしなくもなく)
…少し、は、快斗くんの、役に立てたかなぁ…?


「合言葉です!側にいる方とペアを組んで2人だけの合言葉を決めてください!」


そうこうしてる内に、合言葉を決める、って話しになった。


「合言葉…、なにかある?」
「あるわ」
「なに?」
「私が『真さん』で、あんたが『快斗くん』よ」


ニヤッて園子が笑う。


「それ合言葉って言うか、彼氏の名前だね?」
「絶対忘れないし、ちょうどいいじゃない」
「まぁ…、うん、それは確かに、うん」
「はい、決まりー!」


合言葉が決まった直後、照明が落ちた。


「ふふふ。合言葉なんてムダですよ?」
「キッド様じゃない!?」
「うーん…、どうだろう…」
「すでにブラックスターは私の手の中」


キッドの変装をしたお兄さんが台本通りに話しを進める。


「おやおや、困った泥棒さんだこと?ああいう悪戯坊主にはおしおきしてあげなくちゃ」


パーン!て音がしたと思ったら、偽キッドが落ちてきて。
…なんだろ。
筋金入りの快斗くんマニアな私から言わせてもらうと、快斗くんは間違っても天井に張りついたまま登場しないと思うの、って、どこかスンとして見ていた(快斗くんなら例え天井に張りついてても、そこから飛び降りながら登場すると思う!)


「彼は私がこの余興のために雇った天才マジシャン、真田一三くんですわ!」
「あの人ちょっとイケメンじゃない?」
「んー…、快斗くんの方がイケメンかなー」
「出たぁ…。あんたほんっと、旦那ラブよね」
「園子は違うの?」
「真さんはもちろん好きよ?でも真さんにはない良さがあるイケメンもそれはそれで好き」


イケメンてだけで正義でしょ、と言う園子。
わかるような、わからないような…。
そして真田さんのカードマジックが始まろうとしてるんだけど、やっぱり近くで快斗くんの、キッドのマジックを間近で見たことのある私からしたらスン、てなる(もちろんマジックできることが凄いんだけどさ!)
でもそういう流れだから、私と園子、そして蘭(に、変装した快斗くん)が落ちたカードを拾うお手伝いをした。


「ありがとう、お嬢さんたち。お礼にカードを一枚差し上げましょう」
「ええ?いいんですか?」
「待った!その前に私の透視眼でキミたちの心を透視して選ぶカードを透視しよう!」
「ドキドキしちゃうね!」


蘭がそう言うけど、私は快斗くんが、このカードに予告状忍ばせることの方にドキドキしちゃうけどね!


「うーん…。鳩?はと、はーと…。じゃあ、ハートのエースっていうことで!さ、お好きなカードを一枚引いてください?」
「蘭!右!右!右のヤツ!!」


手を伸ばした蘭に、園子が後ろから言う。
…園子、ほんとに気づいてないんだ。
そして蘭が引いたカードは予定通りのもので。


クレオパトラに魅了された 
シーザーのごとく 
私はもう貴方のそばに 
怪盗キッド


「キッドだ!キッドが現れた!」
「皆さん!落ち着いて!合言葉を確認してください!」


言われた通り園子と、


「真さん!」
「快斗くん!!」


自分の彼氏の名前を言うっていう、合言葉確認をした。


「ほんとに怪盗キッドのメッセージが?」
「そうよ!さっき蘭が引いたカードに貼ってあったのよ!」
「し、しかし彼はいったいいつ、どうやってこんなものを…!」
「…あおい嬢からのご忠告、次回から気をつけさせて頂きますよ」
「え?」


園子や真田さん、他の乗客たちが騒いでた時、ソッと私だけに聞こえる声で怪盗キッドが囁いた。
バッ!と後ろを向くと会場の雰囲気に困惑してるような蘭がいた。


「ち、ちょっと蘭!胸の真珠どこいったの?」
「え?嘘?…あ、すみませーん、誰かその真珠拾ってください!」


私が勢いよく蘭の方を向いたから、園子もそれに釣られて蘭の方を向いたみたいで。
そしたら蘭の胸にはもう、黒真珠はなくて。
落ちた真珠を拾おうと、真珠に手を伸ばした蘭。
直後、


「し、真珠だ!真珠が爆発した!!」


真珠から煙が出て、一気に会場がパニックに陥った。


「きゃあ!」
「ママ!」


パニックになった人に押されて倒れた園子のお母さん。
…に、駆けつけた蘭、ううん、快斗くん。


「大丈夫ですか?」
「え、ええ。ありがとう、蘭ちゃん」
「…あれ?ママのもなくなってるわよ、黒真珠!」
「あーーー!!!キッドよ!キッドにブラックスターを盗まれましたわ!!!」


予定通り、キッドは黒真珠を盗むことに成功した。
と、いうことは、


「蘭姉ちゃん!僕らも捕まえに行こう!!」
「ちょ、ちょっとコナンくん!」
「わかったんだよ!怪盗キッドの正体が!!」
「ええ!?」


2人の対決が始まる。
…なら、私は私にできることをする。


「ママ…」
「ああ…、どうしましょう。あれはおじい様から頂いた大切な黒真珠なのに…。ああ…」
「しっかり、警察の人がなんとかしてくれるよ!」
「頼りにならないわよ!目の前で盗まれてるじゃない!!もううちもお終いよっ…!」
「だっ、大丈夫です!」
「「え?」」


涙を流す園子のお母さんの手を握りしめた。


「ほ、ほら!キッドは泥棒だけど、私を助けてくれた優しい人だし!キッドの目当ての宝石じゃなかったら直ぐ返してくれますよ!」
「…目当ての宝石だったらどうなるの?」
「えっ!?そっ、それは、キッドに聞いてみないと、」
「やっぱりうちはもう終わりなのよっ…!」
「ママ!」


なんなら、直ぐ返ってくるから!!
ブラックスターはパンドラじゃないからっ!!
…って、言いたいけど、言えないから、園子と一緒に泣き崩れる園子のお母さんの背中を擦っていた。

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bkm

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