キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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コナンvs怪盗キッド


乗船!


「あんにゃろめー…。人がせっかく招待してやったのに来ないってどーいうことよ!」


4月19日、クイーンセリザベス号乗船前待機所。
最初蘭たちと一緒に行こうかと思ってたんだけど、園子が気を使ってくれたのか、蘭のお家に1台、うちのマンションに1台リムジンが用意されたため、早々にクイーンセリザベス号にやってきた私。


「なんか予定があるみたい?」
「は?予定?私の招待より優先される予定?」


快斗くんが出席しないことに不満な様子の園子。
…でもちゃんと会えるから心配しないでいいよ、なんてひっそり思った。


「で?それが黒羽くんのお母さんのドレス?」


園子も私も、すでにドレスに身を包み蘭たちの到着を待っていたわけだけど、私の着ているドレスを園子が値踏みするかのように見てきた。


「そうなの、そうなの!お母さんが昔着ていて、捨てるに捨てられなかったパーティードレスなんだって!」
「へー!あおいに似合う奴あって良かったじゃん」
「ほんとそうだよー。サイズもぴったりだし、ほんと助かった!」


お母さんのドレスは、流行のデザインとかじゃなかったけど、確かに何年経っても着れそうな、流行りとは無縁のオーソドックスなデザインだった。


「彼ママとも上手くいってて、いー感じね」
「うん!お母さんも快く貸してくれたから嬉しかった!」
「あ!いたいたー!園子!あおい!」
「「蘭!」」


そうこうしているうちに、蘭たちが待ち合わせしていた待機所にやってきた。


「蘭、赤いドレス似合う!」
「ほんと?ありがとう!あおいもそのドレス似合ってるよ。ねぇ?コナンくんもそう思うよね?」
「え!?…う、うん。あおい、姉ちゃん、綺麗、だよ…」
「…ありがとう!」


普段絶対口が裂けても言わない新一くんがコナンプレミアムで綺麗って言ってくれて嬉しくなった。
例えそれがお世辞だったとしても、綺麗とか似合うとか?そんなこと言われちゃうとそれだけで、ふふふ、って、なっちゃう女子高生な私たち。
お互いを褒め合い、クイーンセリザベス号へ乗り込んだ。


「やぁ、毛利さん。よくいらしてくださいました」


乗船してすぐ、園子のお父さん(の、変装をしてる快斗くん)がやってきた。
…これ快斗くん?
ほんとに快斗くん??
だってそんな、ほんとにカーネルサンダースみたいな園子のお父さんそのものだけど???


「どうかしましたか?」


園子のお父さんをあまりにも凝視しすぎていたのか、本人からツッコまれてしまった。


「あ!い、いえ!…そうだ!この前はいろいろありがとうございました!」
「この前…?」
「あー、前の誘拐事件の時のことでしょ」
「そ、そうそう!」
「あぁ、あの時の。こちらこそ、迷惑かけしてしまって、」
「そんなそんな、」
「会長。そろそろこちらに、」
「はいはい。…では、あおいさんも、今日は楽しんで行ってください」


にっこりと笑って園子のお父さん(に変装してる快斗くん)は去って行った。
…わからなかった!
ほんとに快斗くんなのか、わからなかった…!!
やっぱりキッドの変装術はすごい!!
そうこうしているうちに、クイーンセリザベス号は大きな音を上げて出港した。
園子のお父さん(に、変装してる快斗くん)が壇上で挨拶した後で、園子のお母さんが出てきた。


「さぁ、皆様、それを胸にお付けください。そしてキッドに見せつけてやるのです。盗れるものなら盗ってみなさい!とね…」


予定通りに、園子のお母さんが模造品の黒真珠を配った。
…偽物ってわかっていても、ほんとに偽物かわからない私はただの女子高生。
ドレスの件もそうだし、リムジンにもすっかり…乗り慣れた?見慣れた?けど、私はただの女子高生。
うっかり財閥のパーティーなんていうのに出席してるけど、しょせんはただの女子高生。
なんて思っていたら、


「えー!?キッド様がもうこの船に乗り込んでる!?パパに変装して!?」
「さっきトイレで見つけたんだ!園子姉ちゃんのお父さんの服と、変装に使った道具を!」


快斗くんが動いたようだ。
うーん、と、確かこの後、蘭が1人で船内歩いて、そこで蘭と入れ替わるんだよね?
…蘭、の、あのドレスと同じ物を快斗くん着るんだよ、ね?
え?あのデコルテがっつり出たドレスを?
快斗くん着ちゃうの??
私には肩がっつり出てるのはダメって言うのに自分は着ちゃうの???
そりゃあさぁ、快斗くんはお肌すべすべだよ?
腰も細いよ??
でもさでもさ、そんなあんなドレス…ほんとに着るの、かな?


「1412号じゃない!やつの名前は怪盗キッドだ!ややこしいから間違えんでください!」


向こうで中森警部がピリピリしてる。
そうだよなー、って。
まさか主催の「鈴木会長」になって堂々と乗船するなんて思いもしないよなー、って。
そんなこと思っていたら、


「蘭がトイレ行ったけど、あんたはいーの?」


園子が私に聞いてきた。
…そんなだって今トイレに行ってうっかり快斗くんと鉢合わせしちゃったら、快斗くんに迷惑かかるじゃん!
なんて思った私は、


「う、うん。大丈夫。それよりさ、そっちにあるスイーツ食べていいのかな?」


色気より食い気を見せた。


「あー、うん、好きなの食べていいのよ。どれ食べる?」
「えっとねー…、実はあのピンクのマカロンが気になって、」
「オーケー、オーケー。蘭がいないけど、先に気になるの食べちゃお!」


それに乗っかった園子と共に、蘭(に、変装した快斗くん)の登場を待つことにした。

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bkm

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