キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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コナンvs怪盗キッド


3月31日


「米花博物館?て、キッドの予告の出た?」
「そう。園子のお家の家宝がキッドに狙われてるから、どんな宝石かみんなで見に行こう、ってなったの」


3月ももう終わる、って日。
やっぱり、快斗くんにも言っておこうと、米花博物館に行くと伝えた。


「…あおいちゃんて、」
「うん?」
「キッド関連、興味ねーと思ってた」


だけど快斗くんは違うところに引っかかったようだ。


「興味なくないよ?ほら、だって助けてくれた人だし!」
「いやまぁそーなんだけど、そういう…犯行現場に行くようなことしないと思ってた」


右手で軽く口元に触れながら話す快斗くん。
…それはだって今までのキッドが狙っていたのは「コナン」で出てきたものではなくて。
それってつまり、犯行現場に中森さんがいる可能性もあるわけで…。
なら行かないの1択しかないと思うんだよね…。


「今回はほら、園子のお家の宝石だし、」
「…まぁ、なぁ…」


私が犯行現場に行く、って言ったら快斗くんはどこかちょっと、考え込むような仕草をした。


「…反対?」
「え?」
「博物館に見に行くの」


快斗くんの顔を覗き込むように聞いたら、快斗くんは一瞬目を見開いた。


「あ、いや、そーじゃなくてさ。…みんなって誰がいんのかなー、って、」
「あぁ…。私と、園子と、蘭と、蘭のお父さんと、蘭のお家で預かってる子だよ」
「蘭ちゃんのお父さんて、最近『眠りの小五郎』って話題になってる探偵だったっけ?」
「そうそう」


快斗くんはメンバーを聞いて、ふむ、と小さく呟いた。


「アイツは?工藤新一。一緒に行かねーの?」
「あ、あー…。言ってなかったっけ?」
「うん?」
「新一くん、今ちょっと…厄介な事件?でいなくてさ。学校も1年の終わりに休学届け出したんだよ」


私の中では、新一くん=コナンくんて知ってるから何の疑問も持たずにいたけど、それを知らない人が新一くんが事件に巻き込まれて学校休学するって聞いたら、


「は?ヤバくね?それダイジョーブなの?」


普通は心配するよな、って思った。


「大丈夫みたいだけど、学校には来れないみたい?」
「え、それあおいちゃん関わらないでね、マジで」
「私は関わらないよー」
「いやー、わっかんねーぞー…。あおいちゃん、めちゃくちゃ事件に巻き込まれやすいから」


マジで気をつけて、と念を押された。
まぁ…、黒の組織関係はほら、ほんとに命の危機なアレだから、私が関わった瞬間に、ね?
って思うし、組織関係はほんとに関わる気ないんだけど…。


「園子がね、キッドのファンなんだって」
「あー、そうなの?」
「うん。ついに私もキッド様に狙われたって言ってた」
「キッドが狙うかー?」


ははっ、と快斗くんの乾いた笑いが響いた。


「キッドファンの子、最近多いよね」


チラッと快斗くんを見ると、特に嬉しそうにしてる感じはない。
原作ではこう…「女の子に人気」って言う言葉に嬉しそうに反応していたような記憶があったりなかったり…。
だからもっと隠しきれない何かがあるかも、って思って聞いたんだけど…、そうでもないみたい?


「… あおいちゃんは?」
「え?」
「ファンなの?キッドの」


今度は逆に快斗くんが私をチラッと見てきた。


「…ファン、ていうか、恩人?」
「あー…、まぁそういう言い方したらそーだけど、」


私の言葉に、快斗くんはちょっと考え込むような顔をした。
…結局快斗くんは、私に=怪盗キッドとは言う気はなくて。
その快斗くんに、自然に怪盗キッドの話題を出すには、やっぱり恩人て言う言い方が1番な気がした。


「快斗くんは?」
「え?」
「キッド。好き?」
「…俺男だし、好きでも嫌いでもねーよ」
「そっか」


快斗くんがいつか、自分がキッドだ、って言ってくれる日が来るのかな…。
そう言われた時、私はなんて言うのかな…。
そんなことを考えながら、3月の最終日。


「コナンくん、こんにちは」
「こんにちはー」


園子、蘭、おじさん、そしてコナンくんと一緒に、米花博物館に向かった。


「コナンくんも宝石に興味があるの?」
「僕は宝石よりも、泥棒が出した暗号の方が気になったんだ」


蘭の話によると、最初は手続きがどーしたこーしたで、4月の中旬頃こっちに戻ってくる、って話だったコナンくんに(たぶんあの人、小学校の入学式に出たくないから)予告状の暗号の話をチラッとしたら、俄然飛びついてきてそうで。
結局この2〜3日だけこっちに戻ってるそうだ。
謎と言う誘惑には勝てない、それがデテクティブにゃんこ!


「時計の針で方角わかるなんて、小学校入学前の子におしえる知識じゃないわよね?ほんと、何考えてるのかしら新一は!」


順調に、順調に、キッドの暗号を解いたコナンくんにボヤく蘭。
…これで今夜、キッドとコナンくんが出逢うことになるはずだ。
これからのキッドの、…快斗くんにとっての最大ライバルであり、きっと誰よりも力になり得る存在に。
あとは確か、クルーズ船に乗って、だから…、あ!キッドが蘭になる!
初めて、快斗くんの変装が見れる…!
ちょっと、すごく、楽しみかも、なんて。
こんな物々しく警察がいる中で思ってはいけないことを思っていた。

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bkm

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