キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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財閥令嬢誘拐事件


長い1日の結末


「あおいー!!」
「園子!大丈夫だった!?いだぁ!?」


交番で待っていたら迎えに来てくれた園子は、パトカーから降りるや否や、ものすごい勢いでタックルしてきたから、交番の壁に頭をぶつけてしまった…。


「よ、良かったっ…!あんたが無事でほんとに良かっ」


大号泣しながら言う園子の言葉は、最後が涙で聞き取れなかった。


「私、大丈夫だよ。ありがとう。園子も無事で良かった」


ぎゅって抱きついてきた園子を、ぎゅって抱きしめ返した。


「あなたがあおいちゃんね。警視庁捜査一課の佐藤よ」


園子を連れてきたのは佐藤刑事で。
園子は本当はもうお家に帰っても良かったのに、私が見つかるまでは帰らないってゴネてたらしい。
そこにこの交番の警官からそれっぽい子見つかったよーって連絡がきて、事件直後でナイーブになってるだろうからって理由で、女刑事である佐藤刑事が連れてきてくれたってことらしい。


「あおいちゃんはどうやって解放されたの?」
「あ、いや、それがよくわからなくて、」
「え?」
「きっ、気がついたら、怪盗キッドに助けられてた、から?」
「「はぁぁぁ!?!?」」


心配そうに私を見ていた佐藤刑事はもちろん、大号泣していたはずの園子なんて涙を引っ込ませて驚いた。


「ちっ、ちょっ、どーいうことよっ!?」
「な、なんか仕事場が近かったとかなんとか?」
「キッドの犯行現場ってことよね?ここら辺でそんな予告出たところないはずだけど…」
「でっ、でもなんか、気がついたらハンググライダー乗ってたから私も何がなんだか」


園子が心底びっくり!って顔をしていて。
佐藤刑事はその報告だけ先にさせてと、忙しなく電話し始めた。


「ね、ねぇ!」
「うん?」
「見たの!?キッド様!!」


園子はキッドのファンだから、そこがすごい重要のようだ。


「見た、っていうか、助けられちゃったー」
「…っ、ズルいっ!!!どーだった!?カッコ良かったっ!?」
「カッコ良いけどー、」
「けど!?」
「快斗くんの方がカッコ良い!」


出た、って園子が呟いた。


「あのねー、この際だからはっきり言うけど、キッド様よ?月下の奇術師キッド様よ?あんな尻フェチと一緒にしないでよっ!」
「あ、それ聞いたんだけど、快斗くん別に尻フェチじゃないって言ってた」
「バカねー、そりゃあ彼女に尻フェチなんて言えるわけないでしょ!」
「えっ、そうなの!?」
「それよりあんた何か臭いわよ?」
「あー、うん。なんかキッドの話しだと、私薬合わなくて意識ないままゲロったみたい?」
「は!?マジで!?大丈夫なの!?」
「あ、うん。たぶんもう、」
「佐藤刑事!あおいが薬飲まされて、」


そこからが大変だった。
園子と合流できてやれやれ、って思ってたら正体不明な薬飲まされたのならちゃんと検査しなきゃダメ、って言われて、パトランプフル回転させたパトカーに病院まで連行された。
この前目暮警部にパトカーで送ってもらったけど、あの時はパトランプついてなかったから…。
パトランプフル回転させられてると、私悪いこと全然してないけど悪いことしたような気持ちになって、すごい肩身狭い感じがした。
そして病院到着後あーだこーだと検査検査で、解放されたのは夜中の1時!
佐藤刑事が家まで送るって言ってくれたんだけど(検査終わるまでつきあってくれた)


「芳賀あおい様。お迎えに上がりました。鈴木会長がお待ちです」


病院を出ると、えっ?私こんな横に長い車初めて見たけど???って車が横づけされてた。


「えっ、いや、私家に、」
「本日は会長の邸宅にお連れするよう承っております」
「え!?で、でも、」
「園子お嬢様は少し発熱があるため、会長夫人から家で待つよう言われておりますので、園子お嬢様もそちらでお待ちしています」


やたらと横長な車から出てきた執事っぽい人に、園子の名前を出されたら、そりゃあ何の反論もできないわけで…。
佐藤刑事に事情を説明して、横長リムジンに乗り込んだ。
…ヤバいくらい、ふっかふかなんだけどこのシート!
えっ、鈴木財閥すごくない?
冷蔵庫あるよこの車!
すごくない!?鈴木財閥!!


「あおい!」
「園子!熱大丈夫?」


鈴木家本宅に到着したら、執事っぽい人が車のドアを開けてくれて、車から降りたら園子がやってきた。


「微熱微熱!あんたは?検査大丈夫だった?」
「う、うん。特に問題ないみたい?」
「あおいさん、今日は巻き込んでしまって申し訳なかったね」


園子と話してたら、園子パパがやってきた。


「あ、いえいえ、そんなそんな、」
「あおいちゃん。園子のことでごめんなさいね。何も出来ないけどゆっくりしていってちょうだい」


その後から園子ママもやってきた。
何も出来ないどころか、普段経験できない横長リムジンなんてのに乗せてもらえましたけど?


「とりあえずあおい、お風呂入ってさっぱりしてきなよ」
「あ、う、うん、それは、うん」


ぶっちゃけずっとお風呂入りたかった。
たぶん髪にゲロった残骸がついたんだと思う。
自分が臭かった。
だからお風呂に…、の、前に、ケータイを見たら快斗くんからさりげなさを装ったメールがすごい着てた。
これ…どういう風に言えばいいんだろ…。
途中まで知ってるはずだし、起こったままをメールすればいいか、な…。


「やっとお風呂入れるぅぅぅ」


しかもそのお風呂ってのが、あ、これロスで見た私!って言う広さのお風呂+園子のお家はマーライオンじゃなくて、めちゃくちゃスタイルのいい水瓶持ってるお姉さんの像があるお風呂だった(その水瓶から勢い良くお湯が出てる)
さすが日本が誇る大財閥…!
普通のお風呂が大浴場…!
そんなこと思いながら、本当に本当にひと息吐けたのは、午前2時を過ぎた頃だった。

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bkm

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