キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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財閥令嬢誘拐事件


巻き込まれ誘拐事件


快斗くんは尻フェチってわけじゃないことが判明。
じゃあ何フェチなの?って思ったけど、私が自信ある部分(おっぱいとかおっぱいとかおっぱい)以外のフェチだったら、きっと後悔するなって思って聞かないことにした。


「いやー!大量、大量!」


そして今日はバーゲンセールと言う名の園子のお買い物につきあっている(蘭は部活)


「園子さー、そんなにあれもこれも買うよりも、自分に似合う物を探して買った方が、」


有希子さん以来のあまりのセレブリティな買いっぷりに、園子にそう伝えたら、


「だってさー、真さん、どんな格好が好きかわかんないんだもん。でも可愛いって思われる奴、着たいじゃん?」


ちょっと顔を赤くしながらそう言った。


「わかる。それわかる」
「でしょー?そうなったら、とりあえず手当たり次第用意しておいて、どんな奴が好みでも対応できるようにしとかなきゃでしょ」
「なるほど」


園子はいっつも私の話しを聞いてくれる(新一くんに言わせれば「あおいはマシンガンの生贄」ってことだったけど)
だから園子からこんな乙女乙女した話しを積極的にされるのはちょっと珍しいけど、すごく嬉しかった。
でもさすがに大荷物になってしまった園子は、途中のブランドショップで買い物したついでに、荷物全部鈴木家本宅に送るよう頼んでた。
あとになって考えたら、この行動がいけなかったんだと思う。
園子の気が済んだし、買い物は終わらせて帰る前にカフェでも行こうかってなった時。


「あのー、すみません」


男の人に声をかけられた。
園子はナンパ?って耳打ちしてきたけど、そうじゃなくて、なんでもお店を教えてほしいんだとか言ってきた。
蘭がいるならまだしも、私と園子の2人でそんなホイホイとナンパされるわけがない。
だから本当に下心ない人だと思って油断していたか?と聞かれたら、完全に油断していたって答えられる。
お兄さんが道教えてくれるお礼に未開封の紙パックのジュースをくれた。
これから会う人たちにって買ってたけど、お礼だから飲んで、って。
なんか悪いなー、って思ったけど、ありがたく頂いた私は、きっとここに疑い深い探偵なんかやってる人がいたらぶち切れられると思うけど、その場でストローを刺して何の躊躇いもなくジュースを飲んだ。
直後、


「え?あおい?ちょっ、あおい!!」


ぐらりと視界が揺れたかと思ったらバツン!と、そこから記憶が消えた。
……………
…………
………
……



「…う、ん…」


身体におかしな浮遊感があって、目を開けるけど、なんだかすっごい頭がボーッとする。
喉もカラカラだし、私どうしたんだっけ…?


「気がつきました?」
「え……………えっ!?かっ、かかかか」
「動くと落ちますよ」
「えっ!?!?」


声をかけられた方に目をやると、快斗くん、ではなく、怪盗キッドの姿が目に飛び込んできて。
落ちるって言われて周りを見ると、キッドが私を抱っこしながらハンググライダーで飛んでいる最中だった。


「え!?えっ!?な、なんっ」


今が何時なのかもわからないけど、記憶が途切れる前の景色は確かにまだ明るかったはずなのに、辺りはすっかり真っ暗になっていた。
パニックになってる私に、キッドはそれはそれは大きなため息を吐いた。


「鈴木園子嬢を狙った誘拐事件が起こって、彼女と一緒にいたあなたも連れ去られたんですよ」
「ゆうかいっ!?」


淡々とした口調でキッドは言う。


「身代金と交換で解放される園子嬢とは別の場所に連れ去られたんですよ。あなたは薬が効きやすい体質のようでなかなか目覚めないどころか寝ながら犯人に向かって嘔吐しため、犯人を怒らせ途中で捨てられそうになった。そこをたまたま近くで仕事をしていた私が回収したんです」


キッドはポーカーフェイスって言うけど、私あれ、笑顔を崩さないことだと思ってたのに、なにこれ無表情すぎて怖い…。


「そ、園子は?」
「園子嬢は警察がすでに保護してます。今は近くの交番にあなたを運んでいる最中です」
「そ、そうなん、だ…」


とにかく園子が無事なら良かった良かった、だけど、これ完全にキッドっていうか快斗くん怒ってるよね?


「いきなり薬品を嗅がされて逃げようがなかったのはわかりますが、」
「え?」
「はい?」
「べ、つに、なにも嗅がされてない、です、よ?」
「え?」


そもそも私、園子とカフェ寄ろうって歩いてて、あ!お兄さんにお店教えてって言われて教えたお礼に紙パックのジュースもらったからそれ飲んでって、


「いったーい!!」


私がなにが起こったのか思い返していたら、キッドが抱っこしてハンググライダーに乗っていた私の腿を思いっきりつねってきた。


「知らない奴から貰ったものを安易に口にするんじゃねーよっ!」


あ、それキッドじゃなくて快斗くんの怒り方になってるよ。
なんて、言っちゃいけないことくらい私でもわかる。


「で、でも未開封だったし、」
「紙パックならいくらでも注射針刺して薬入れれるだろ!?少しは考えろっ!!」


珍しく、快斗くんにものすごく怒られた私(全面的に私が悪いんだけどさっ)は、そこからムッと押し黙ったけど、キッドはキッドで無表情で黙ってるから、たぶん快斗くんまだ怒ってるんだと思った。


「ここを真っ直ぐ行けば交番があります。そこの警官に事情を説明すれば保護される。そうなれば園子嬢が迎えに来てくれますよ」


キッドは最寄りの人気のないところに私を下ろして、このまま交番に行けと言った。
確かにキッドが交番に連れて行くわけにはいかないし、言われた通りしようと思い、頷いた。


「あ、あのっ!怪盗さん!」
「何です?」
「た、助けてくれて、ありがとう、ございました」


頭を下げた私をキッドはジッと見たかと思ったら、


「いいですか、あおい嬢。これは貸しです」


徐にそう言ってきた。


「か、貸し?」
「はい。いつか返して頂きますから、心してください」


そう言ってマントを翻したかと思ったら、音と共にキッドは消えた。
…快斗くん、あれ絶対怒ったまま帰ってった…。
え?でも仕方なくない?園子がいきなり狙われるなんて誰も思わなくない?そもそも普通に生きてきてそんな出会い頭に薬飲まされるなんて発想なくない??しかも未開封の紙パックに注射針で薬仕込むなんて発想出てこなくない???


「あの、すみません。私米花町で、」


なんて言葉をグッと飲み込んで、警官に事の次第を説明し、佐藤刑事が運転するパトカーをぶっ飛ばして園子が迎えに来てくれるのを待ってる間、快斗くんは快斗くんで怒ってくるのかな、とか思って、胸がずっしり重くなった。

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bkm

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