キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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運命と奇跡


ご褒美か拷問か


「あおいちゃん、こっちこっち!」


キッドとしてあおいちゃんに会った翌日の放課後、約束通り米花町に来た。


「あおいちゃんち行ってい?」
「も、もちろん!」
「んじゃあ、後ろ乗って」
「…な、なんか、」
「うん?」
「制服にバイクってドキドキする」


あおいちゃんがヘルメットを被りながらそう言った。
…確かにあおいちゃんをバイクに乗せるのに、制服は初めてかもしれない。


「あおいちゃん」
「うん?」
「パンツ見せないようにね」


制服のスカート短ぇし。
って思ってそう口にしたら、プリッと怒って、もう!とか言いながら俺の背中を叩いてきた(もちろん痛くない)
あおいちゃん自身もバイクに乗るから、後ろから思い切り抱きつかれると案外運転しづらいってのを理解していて、あまり背中に抱きついてこない(腰を抑えるくらいにしか触らない)
そこはどうせならこうガバッときてほしいものだ。
彼女をバイクのケツに乗っける醍醐味とは?
あれ?そーいや俺あおいちゃんからハグもキスもされたことなくね?
つきあうってなった日こそ、あおいちゃんから頬にキスはされたけど、それっきりじゃね?
…それはそれで寂しくねーか?


「か、快斗くん?」
「んー?」
「ど、どどどどどどどどどうしたの!?」


なんてことをマンション着く直前に思ってしまった俺は、あおいちゃんに抱きついた。


「嫌?」
「…や、じゃ、ないよ?」


あー、やっぱり小せぇな、とか。
相変わらず良い匂いするよなー、とか。
そんなことを思う片隅で、昨夜キッドが聞いた運命どーのの話が蘇ってきた。


「俺やっぱ帝丹にすりゃ良かった」
「え?」
「そしたらもっとあおいちゃんといれただろ?」


あおいちゃんが引っ越してきたのが江古田だったら。
あるいは俺が米花町の人間だったら。
そんな考えなくていいようなことで悩ませなくて済んだと思うと、どうにも歯痒かった。


「前言ったでしょ?」
「え?」
「俺はいつでもあおいちゃんにハグしたいって思ってる、って」
「そっ、」
「でもあおいちゃんからはハグもキスもしてくれねーし?なら俺からするしかねーじゃん?」


もう少しスキンシップを増やして、今よりもっと腹割って話せるようになったら、昨日の話を俺にもしてくれんのかな?
…あぁ、でも俺がまず腹割って話せない段階で先は見えてるのか。


「とっ、」
「ん?」
「とととととりあえず、お茶飲も、っか?」


ここであおいちゃんからストップがかかった。
…まぁ、そうだよなー。
全拒否じゃなく、俺からってのは受け入れてくれてんだから、そこはもう今は納得する部分なんだろうと思う。


「かっ、快斗、くん、は、」


て、思った時に顔を赤くしたあおいちゃんが俺の隣に座って躊躇いがちに口を開いた。


「わ、わわわわ私っ、から、ぎっ、ぎゅっとか?ち、ちゅう、とか?しっ、してほしい、とか、思ってたり思ってなかったり?」
「……その2択なら思ってたり。けどまー、無理にどーこうしてもらうもんじゃねーし別に」
「わっ、わかった!」
「え?」
「で、でもちょっと目閉じてほしいかな、って」
「えっ?いや俺ほんとに、」
「目閉じてっ!」
「あ、はい」


あおいちゃんの勢いに思わず頷いて目閉じちまったけど。
えっ?これどゆこと?
このままキスしてくれるってこと?
物事言ってみるもんだなー。
なんて思っていたら、隣に座っていたあおいちゃんが立ち上がる気配がした。
…立ち上がる?


「じ、じゃあ、いきます…!」
「はい」


え?なんで立ち上がった?
って思ってる俺を他所に、俺の両肩に手が触れたような感触と、足には独特の柔らかさ、熱、重さがのしかかった。
……は?重さがのしかかった?
えっ!?これって、


「目閉じてぇ!」
「ぐえっ」


思わずパッと目を開けると真正面に、俺の足の上に乗っているあおいちゃんの顔が来ていて。
えっ、と思った瞬間、あおいちゃんが思い切り両手の平で俺の顔を後ろに押した。
ものだから、グキッと首を捻った気がした。


「ご、ごめっ」
「いや俺もごめん。ちゃんと閉じる」


は?なんで?なんて思いつつも、どー考えても正面座位のスタイルで座るあおいちゃんに抵抗できるわけもなく。
そのまま目を閉じた。
…待って、俺これ手どこに持ってけばいいの?
普通この座り方なら足か尻か腰に手がいかねーか?
でも下はだめって言われてる身としては、足と尻はアウトだろ?
なら腰か?腰ならセーフか?
えっ、でもこの体位で腰に手やるとか意味深すぎねーか?
あおいちゃん的にそんなつもりなさそうだけど、これちょっと待ってくれ俺どこも触れなくねーか?

ちゅっ

なんて思っていたら、ふわりと頬を包み込まれて柔らかいものがくちびるに触れた。
…ヤバい、身動きとれねー…。
目閉じてるし、下手に動くとマズいとこ触っちまいそー…。
なんて思って、微動だにしなかった俺に、


「っ!?」


あおいちゃんはガバッと抱きついてきた。


「こっ、これでいい?」


首に腕を回して抱きついてるあおいちゃんは、目の端に写る耳が少し赤くなっていて。
…いやこの状況で、駄目足りないとか言える奴いなくね?
そう思いながらようやくあおいちゃんの背に手を回すものの。
…デケェ…。
この体制(というか首に腕を回されること)で抱きしめるってのは今までなかったから気づかなかったけど、これめちゃくちゃ胸当んじゃねーか…!
これはご褒美なの?拷問なの?このまま先に進んじゃ駄目なわけ?
座ってはいるものの、どこか腰が引けるようそんな感覚でいた。

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bkm

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