キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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Summer Vacation


call my name


「き、今日はほんとにありがとう」


黒羽くんとの初デートも終わり本日は駅で解散!
とはならずに…。
どーしてもうちに送ると言い張る黒羽くんに、何故かマンション前まで送ってもらう流れになっていた。


「どーいたしまして!芳賀ちゃんも、プレゼントありがとな!」
「私もお土産ありがとう」


マンションまでの道中で、合宿終わったら友達の家の別荘があるハワイに招待されていることを伝えた。
当たり前だけど、帝丹のバブリーさに驚いていた。


「さすがに時差あるからハワイ行ってる時は電話出来ねぇけど、メールはするから」


黒羽くんは本当に毎日連絡くれる気でいるらしい。


「うん…!私もメールするね」
「おぅ!」
「じ、じゃあ、黒羽くん気をつけて帰ってね」
「あ」
「え?」
「もう1つ忘れてた」


そう言った黒羽くんはポケットに突っ込んでいた右手を私の前に持ってきたと思ったら、


「俺、黒羽快斗ってんだ。よろしくな」


ぽん!と言う音と共に右手から薔薇の花を出してきた。


「…す、すごーーい!!」


私!マジック!!初めて見たっ!!!


「あ、うん、喜んでくれて嬉しいけど、あげるのは俺じゃなくて、俺が持ってる花ね」


そう言われてハッとした。
興奮のあまり黒羽くんが出した花じゃなくて、黒羽くんの右手自体を握り締めていた。


「ご、ごごごごごごめっ」
「芳賀ちゃんといるとほんっと飽きねぇよな!」


俺これやって手握り締められたの初めて!って黒羽くんが大爆笑した。
…良かった!
一時はどうなるかと思ったけど、黒羽くんがこれだけ笑ってくれてるんだから今日は大成功だ!


「お花もありがと、黒羽くん」
「違う違う!」
「え?」


今度こそちゃんとお花を受け取りお礼を言うと、大袈裟なほど右手を横に振って黒羽くんは言う。


「俺、黒羽快斗ね」
「…芳賀あおいです?」
「まさかこれから自己紹介始まるの!?」


再び黒羽くんがお腹を抱えて笑い始めた。
…え?何、どういうこと??


「俺、快斗って言うんだけど」
「うん?」


ヒーヒー笑ってる黒羽くんが、すごい良い笑顔で私に言ってきた。


「快斗って、そう呼んで」
「…えっ!!??」


ちょっと目尻に涙を滲ませるくらい笑った黒羽くんは、私にそう言ってきた。


「だって黒羽くんじゃなんか距離感じるじゃん?」
「きょり、」
「そ!だから快斗でいいよ。俺もあおいちゃんて呼ぶし!」


ね?と言う黒羽くん。
…待ってだってそんな黒羽くんの名前ってだって


「か、」
「うん」
「かかかかかかかか」
「ぶはっ!!噛みすぎ!!」


もうほんとに涙流してる勢いで笑い転げる黒羽くん。
だってそんな快斗くん、なんてそんなだって快斗くん!?!?


「まぁいいや。これからあおいちゃんのタイミングで快斗って呼んでよ!」


あー笑った笑った、って目尻を擦る黒…快斗、くん。
……やばい、今日1番嬉しくて今日1番緊張してるかも…!!!
だってあおいちゃん!
私を!!
あおい!!ちゃんっ!!!!


「じゃあ俺帰るから、」
「黒っ……快斗、くん、」
「ぶはっ!!黒快斗って何!?」


もうほんと笑わせないで!ってヒーヒー言って笑う快斗くん。
ただ名前を呼んだだけでここまで笑ってくれる人、きっと今後現れないと思う!


「気、気をつけてね、…………か、快斗、くん、」
「おぅ!あおいちゃんもハワイ気をつけて行ってこいよ?じゃあまたな!」


そう言い手をあげ爽やかに快斗くんは帰って行った。
…部屋まで我慢だ。
頑張れ私。
もう少しで部屋だから。
そう自分に言い聞かせ、足早に自宅の扉前まで行き、急いで鍵を開けた。


「っ、か゛っ゛こ゛よ゛か゛っ゛た゛よ゛ぉぉぉぉぉ!!!」


ドアを開け自宅に滑り込んだ瞬間、涙を流しながら崩れ落ちた。
何あれ!!
なんであんなかっこいいの!?
ほんとに同じ人間なの!?
かっこいいだけじゃなく、優しさレベルカンスト起こしてるし、あの人どうなってるのっ!?!?
そういう想い全部「かっこよかった」の一言に含め、気が済むまで今日の余韻に浸っていた。



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bkm

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