キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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運命と奇跡


私からあなたに


「あおいちゃん、こっちこっち!」


キッドに遭遇した翌日の放課後、快斗くんは言ってた通りバイクで米花町に現れた。
家行ってい?なんて聞かれるからそりゃあもう、もちろん!て張り切って答えた。


「か、快斗くん?」
「んー?」
「ど、どどどどどどどどどうしたの!?」


部屋に着きました。
何か飲む?なんて聞きました。
飲む。って言われました。
だから準備しようと冷蔵庫の前に立ちました。
直後、快斗くんが後ろからぎゅってしてきました。


「嫌?」


ズルくない?
この人ズルくない?
快斗くんにこういうことされて、嫌という選択肢が出る女の子いるの!?
いなくない!?
いないよね!?!?
全人類が嫌じゃないって言うよ!!!


「俺やっぱ帝丹にすりゃ良かった」
「え?」
「そしたらもっとあおいちゃんといれただろ?」


江古田はちょっと遠いよな、って快斗くんは言う。


「な、」
「うん?」
「なにか、あった…?」


そりゃあたまに快斗くんとくっついたりしてるけど、こんなそんないきなりこんなこんな


「前言ったでしょ?」
「え?」
「俺はいつでもあおいちゃんにハグしたいって思ってる、って」
「そっ」


んなこと言ったってだって待って私たちそんなそんなそんな


「でもあおいちゃんからはハグもキスもしてくれねーし?なら俺からするしかねーじゃん?」
「………えっ!?」


後ろから抱きつきながらも、俺傷ついてる、みたいな顔を私が見えるような位置でしている快斗くん。


「とっ、」
「ん?」
「とととととりあえず、お茶飲も、っか?」
「……はーい」


私の言葉に快斗くんはソファに向かった。
…え、何今の、快斗くんなにそれ、わ、私からっ、ぎゅっとか、ち、ちちちゅうとか?してほしいってこと!?
えっ!?そんな今までそんな全然言われなかったのに何なんで今日いきなりなんでそんなだって私からってっ、


「ど、どうぞ、」
「ありがと」


とりあえずオレンジジュースを出して、快斗くんの隣に座ったんだけど、さっきの快斗くんの言葉が頭から離れなくて。


「あっ、あのっ!」
「うん?」
「かっ、快斗、くん、は、」
「うん」
「わ、わわわわ私っ、から、ぎっ、ぎゅっとか?ち、ちゅう、とか?しっ、してほしい、とか、思ってたり思ってなかったり?」
「……その2択なら思ってたり」


私の問いに快斗くんはそう答えた。
…そ、そうだったんだっ…!
そんなだって今まで全然そんな私ただ快斗くんがぎゅってしたりちゅうしてくれたりするからその流れに任せてたけどほんとは快斗くんだってぎゅってされたりちゅうされたりしたいって思ってたんだ…!


「けどまー、無理にどーこうしてもらうもんじゃねーし別に」
「わっ、わかった!」
「え?」
「で、でもちょっと目閉じてほしいかな、って」
「えっ?いや俺ほんとに、」
「目閉じてっ!」
「あ、はい」


隣に座る快斗くんがきゅっと目を閉じたのを確認した。
スーハー、と何度か深呼吸して立ち上がった。


「じ、じゃあ、いきます…!」
「はい」


目を閉じて座ってる快斗くんに向かい合うような形で、快斗くんの足の上に座った。
直後、パチッと快斗くんが目を開けた。


「目閉じてぇ!」
「ぐえっ」


まるで張り手のように両手で快斗くんの目のあたりを押したものだから、快斗くんは後ろに首をグキッとやってしまったようで短いうめき声を上げていた。


「ご、ごめっ」
「いや俺もごめん。ちゃんと閉じる」


首を数回擦った後で、快斗くんはもう一度目を閉じた(念のため顔の前で手をひらひらさせたけど気づいてないからちゃんと閉じてる)

スーハー スーハー

もう一度、深呼吸して快斗くんの顔を包み込むように手で抑えた。
そのままちゅっ、て1回口づけた。
ん、だけど。


「か、快斗くん?」
「んー?」


快斗くんは目を閉じたまま動かない。
…これは1回では満足されてないということ!?
いやでも待ってそんないきなり何回もちゅっちゅっなんてできるわけないじゃないだってそんないきなり何回もするなんてだったら。
そう思った私は、


「っ!?」


ガバッ!と快斗くんに抱きつくことにした。
…これなら!顔を見られないから!!まだ大丈夫…!!


「こっ、これでいい?」
「……うん」


私の言葉に快斗くんは背中にソッと手を回しながら頷いた。

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bkm

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