■2
〜新一side〜
「新一のバカ!!」
『ちょっ…待てっ…』
電話の向こうに慌てて声をかけたけど
耳に流れ込んでくるのは無機質な機械音だけ
『チッ……』
舌打ちをしてすぐに掛けなおす
『……つながらねぇ……アイツ…電源切りやがった』
クソッと忌々しげに呟いて携帯をベッドに投げた
翌朝
いつものように名前と蘭と登校する
チラリと盗み見た名前の顔はどこか暗い
まぁ…あんな電話のあとだ
名前だけじゃなくて俺も…
くぁ……とあくびをしたとき
名前が言い放った言葉にあくびが止まった
「もう…こんなの耐えられない…連絡とるのも新一からばかりで、私から連絡してもほとんど出ないし……会いたいって言ってもいつも事件事件って……もうどれくらい顔も見てないと思うの?!…何かある時だけ連絡してきて………私は……私は便利な女じゃないもん!!」
便利…って……
バーロ…んなこと思ったことねぇよ
ていうか
仕方ねぇじゃねぇか
会いたくても俺はこんな体なんだからよぉ
なんて
心の中でぼやいていると
更に衝撃的な言葉が
「……他校の…男の子に……実はずっと好きだって、付き合ってって言われてて…」
『はぁっ?!…っと、なんでもない!それで?』
なんだそれ俺聞いてねぇぞ!知らねぇ!
くっそ…俺がいねぇ間に変な虫が寄ってやがんのか!
とにかく情報を得たくて続きを促すと再び口を開く
「付き合ってる人がいるからって…何度も言ってるんだけど…関係ないって…デートとかしてるの見たことないし、淋しい思いさせたままほっとくようなヤツより俺のがいいってとか……それでも断ってたんだけど、だったら…会わせてって…会って、私がちゃんと大切にされてるってわかったら諦める…って……」
はぁ!?
なんだソイツふざけんじゃねぇ!!
「……すごい積極的というか……」
変に感心する蘭の言葉にすらイラつきを感じながら
名前はぜってぇ渡さねぇと心の中で決意した
その日の夜…
『中々時間取れなくて会えねぇけどっ…おっ……俺は名前が……ち、ちゃんと、すー……好きだからなっ!』
ブツッ……ツーツー……
「………えっ///!?…ええっ?!ちょっ新一!?」
言いたいことだけ言って切れた電話の向こうに
無駄だとわかっても名前を呼び続けた
fin
→感想・感謝
bkm