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新しいオモチャを見つけてしまいました。
『コーナーンーくんっ!』
「ぐえっ!?」
出会い頭に思い切り抱き締める。
え、変な声が聞こえた?それはきっと気のせいです。
「いや、気のせいじゃないから名前…」
『あ、蘭、おはよう!』
「おはよう…って、そろそろコナンくん離してあげて」
『はいはーい』
蘭に言われてパッと手を離すと、ちょっと顔を赤くしたコナンくんがいた。
『あら、苦しかった?』
「ま、まぁ…」
そう言ってメガネを直すコナンくん。
うん、今日も激かわ。
「もう名前ってば…毎回コナンくんを抱き締めるの辞めたら?」
『えーやだー。だってこの子は現私のオモチャだから!』
「…力説する事じゃないでしょ…」
はぁ〜っとため息を吐くこの子は、クラスメイトの毛利蘭。
高校から一緒のクラスになって仲良くなった、大切な親友。
んで。
『あーぷにぷにっ!女子高生とは違うモチ肌っ!』
「…ひっはるほはひゃめへよ、名前ねえはん(引っ張るのは辞めてよ、名前姉ちゃん)」
私に遊ばれているこの子は、江戸川コナンくん。
蘭の家に遊びに行ってコナンくんと運命の出会いを果たした。
可愛いモノ好きの私の現オモチャ。
『じゃあ、コナンくん。学校終わったら遊びましょうねー!』
「はーい…」
何故か朝から疲れ切ったコナンくんと別れ、学校へ向かう。うん、何故か。
「もう、毎回言ってるけど、コナンくんであまり遊ばないでよ?」
『えー可愛がってるだけじゃない』
「どこがよっ!…まぁ、元オモチャの新一がいないからね…」
『ねぇー!蘭、早く帰って来てって伝えてね?じゃないと私、学校生活が退屈で死んじゃう!』
「名前…」
長いため息を蘭が吐く。
高校生探偵の工藤新一。彼も私のクラスメイト。そして、元オモチャ。いや、姿を現してくれたら現オモチャになるんだけどね?
容姿端麗、頭脳明晰、おまけに運動神経も良い彼。3拍子揃って非の打ち所がないかと思えば、実は超音痴で、色恋沙汰にうぶな所が私のツボを刺激した。
後ろから抱きついたりとか、耳に息を吹き掛けたりとか、手を握って見つめてみたりとか…えぇ、もう遊びまくりました。
そんな彼がいない今、私の注意は専らコナンくんへと注がれている。ま、いたしかたないよねー。
とりあえず、学校終わったら即行会いに行こう!と、心に固く決め、学校へと向かった。
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bkm