ごみ箱 | ナノ

04
 
結局私はあれから林の中でエリザと名乗る女性に保護された。そして私は彼女によって町まで連れられ、彼女の家に今いる。
私は多くのことを語らなかったけれど、私に保護者がいないとわかると、彼女は私を孤児院に預けるなんて言い出したりせずに、妹にすると言い出した。いや待て私一応今外見上は6歳だぞ、エリザさんパッと見20代前半なんですけど一体何歳差だよ、とか思ったけれど、他に行く当てもない私は頷いてしまった。

「私、ずぅーっと、妹が欲しかったのよ!」
「は、はぁ……」

そこで私は気になったことを1つ。

「エリザさんって何をしているんですか?」

先程も言った気がするが、エリザさんはパッと見20代前半。だけど普通に会社勤めしているようにも、かと言って大学に行っているようにも見えない。だけど家は一軒家でそれなりに広くて1人暮らしをしているようだし、まあまあ収入がある仕事をしているのだろうと検討はつくのだけれど。
そんな私の疑問に、エリザさんは快く、一言で教えてくれた。

「武器屋よ」




そうしてエリザさんの元で暮らし始めて三ヶ月。私はお店の留守番をしていた。(ちなみにお店は家の一階にあり、初めて来た時は裏口から入ったため、気づかなかった) と、いうか6歳の子に留守番を頼むってどうなのよ。もうすぐ7歳になるけどね!
武器屋ってさ、こうカタギじゃない人が来ると思うんだよ。そういう人に絡まれたらどうするんだよ! などなど言いたいことは沢山あったがこちらは保護してもらっている身。取り敢えずは何も言わずに留守番しています。
ですがそれは突然起きたのです。

「へへっ、おめーみたいなガキが店番だなんて俺も舐められてんなぁ」

武器屋というのはそこらへんのスーパーと違ってホイホイたくさんのお客さんが来るわけじゃないから、そんなに仕事はなかったし、たまに来るお客さんもどうしてこんなチビが、という不振そうな表情をしていたが、こんなあからさまに喧嘩をふっかけてくるヤツはいなかった。

「つまりこれは店の武器タダでもらっちまってもいいってことだよなぁ?」

ニヤニヤと下品な笑みを浮かべる男。
小し太っているような気がしなくもないが、その逞しい二の腕から鍛えてあることがわかる。大体、大の大人に六歳のか弱い女の子が勝てるはずもなく、「はい、そうです」と頷くことはないにしろ、ただぶるぶると震えることしかできなかった。

そして男が手近にあった剣を触ろうとしたその瞬間ーー

「ウチの品物をその汚い手で触るな」

男の手を遮るようにして投げられた小ぶりのナイフ。
私は店の入り口を見た。そこには鋭く男を睨みつけるエリザさんの姿があった。


2013/07/22

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