ごみ箱 | ナノ

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仮に。
仮に、百歩譲って、私は交通事故で死んで、その後また赤ん坊となって生まれた、つまりは転生したことを認めたとしよう。
仮に、千歩譲って、その私が生まれ落ちた世界がブリタニアという国があって、日本は植民地となりエリア11と呼ばれ、日本人がイレブンと呼ばれるあれ、コードギアス……? みたいな感じだったけれど私が認めたとしよう。

けど、私がイレブン……日本人ではなく、ブリタニア人であるということをどう認めろと? そんなの、一万歩、一億歩譲ったって、認められない。
何故、私は日本人ではない?

「よかったなあ、おまえはブリタニア人に生まれて」

違う、違う。私はブリタニア人なんかじゃない。日本人だよ。

「ほら、エリア11でまたテロが起こっているわ。本当に、怖いわねえ」

違う、違う。そこはエリア11なんて名前じゃないよ。日本。そしてそこに住んでいるのはイレブンなんかじゃなくて日本人だよ。

転生してから気がついた。どんなに私が、日本という国が大好きで、日本人であることを誇りに持っていたのか。そこにあるのが“私”のいた日本ではなくても日本なのには変わりはなくて。
だから、辛くて。苦しくて。

ねえ、どうして? 日本っていう国はもう戦争をしないって、決めたんじゃないの? なのに、なんでテレビの画面に映っている日本では、多くの血が流れているの?

そんなこと考えたってどうしようもなくて。

どうして私は日本人じゃないのだろう。ナンバーズって呼ばれたって、イレブンって呼ばれたって、日本人であることには変わりはないのだから、私は日本人に生まれたかった。

ブリタニア人に生まれたかった、って願っている人はこの世界にはきっと数多くいるだろうに、どうしてこうも世界は理不尽で不公平なのだろう。


2012/06/30

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