my sister | ナノ


元気? 久しぶりに会わない?


泉山先輩からそんなメールが届いたのはつい先日のことだった。
それに二つ返事で了承した私は、胸を踊らせながら約束の今日を迎えた。

直接会うのは二ヶ月ぶりであろうか。待ち合わせ場所にいた泉山先輩は、最後に会った時よりもより一層綺麗に見えた。


「久しぶり、芽衣ちゃん」


そう微笑む泉山先輩は私にはとても眩しくて。
私達は、街を歩きながら色々なことを話した。
泉山先輩がいなくなった後のテニス部のこと。学校のこと。泉山先輩が転校先で何をしているのとか、も。
泉山先輩はどうやら転校先でもテニス部のマネージャーを務めているらしい。「もしかしたらどこかで会えるかもね」と先輩は笑った。


「ところで芽衣ちゃん。お姉さんと、上手くいってないって聞いたんだけど」


少し休憩をするために入ったカフェで注文を待つ間、そう唐突に訪ねてきた泉山先輩に、私は「え」と声を零した。


「ごめんね。幸村から、合宿でのこと、ちょっと聞いちゃったんだ。」


泉山先輩が本当に申し訳なさそうに眉を下げる。


「幸村が、芽衣がまだ悩んでるって。もしかしたら、私なら気兼ねなく相談できるだろうからって」

「幸村先輩、が?」

「そう。ねえ芽衣ちゃん。よかったら、私に相談して?」


泉山先輩が良い人だっていうのは知っている。でも、私のこの薄汚れたこの感情を泉山先輩に言ってしまうのは気が引けた。


「私は、芽衣ちゃんの味方だから」


優しいけれど、力強い眼差し。
泉山先輩のその優しい声に引き出されるように、気がついたら言葉が口から出ていた。



2014/04/04
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