my sister | ナノ


長い長い先生たちのお話。それは集会というものにはつきものであり、また、まともに聞いている生徒はほとんどいない。
でも、これが終われば夏休みだということもあり、みんなどこか浮き足立っていた。
2年の先輩達の方の列に目をやれば、赤やら白やら目立った髪の人達が目に入る。こうしてみると、テニス部ってホント派手だよなあ、と思う。
そんなことをボーッと考えていれば、何時の間にか先生の話は終わり、話は表彰へと移っていた。

あ、そう言えばテニス部も大会で優勝してたんだっけ。
そう気づいたそばから舞台袖からテニス部代表である幸村部長と真田副部長が出てくる。その瞬間、周りのざわめきが大きくなった。


「またテニス部優勝だって。ホントすごいよねー」

「っていうか幸村先輩と真田先輩マジかっこいい」

「卒業する前までに一回はお近づきになりたいよね」


そんなひそひそ話があちらこちらで聞こえ、私は何とも言えない気分になった。
ウチの学校のテニス部は、皆の憧れの的だ。そんな人達と多分私は、1年女子の中では多分1番、仲が良い。

私は、姉みたいなあの人達の横に立ってつりあうような人間ではないのに。
私なんかより、私の隣にいる女の子のほうが断然可愛いし、私の後ろにいる女の子は凄く頭が良い。この学校にも、姉ほどとは言わなくても、私なんかより全然彼等の横に立つのに相応しい人はいるのに。

どうして、私だったのだろうか。

幸村部長と真田副部長が表彰状とトロフィーを受け取る。
私には、舞台に立っているあの人達のマネージャーなんだという実感がなかった。まるで、テレビに映っている人達を見ているようで。

まだ、いまだにこの学校には、私がテニス部のマネージャーだということに納得していない人達がいる。あからさまなことはされないけど、時折刺すような視線を感じたりするのだ。
姉だったら、な。

こんな姉はきっと、こんな思いをいだかないのだろう。姉は、胸を張って跡部先輩達の隣を立てる。でも、私は違う。

姉のようになれたら、いいのに。
そしたら私も、胸を張ってあの人達の隣に立てるのに。



2014/02/08
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