my sister | ナノ


立海大附属。
ここも、氷帝と同じくテニスが強いらしい。なんでも中学は全国大会は当たり前で、優勝をしたこともあるそうで。

これは、私が立海に行くと知ったお姉ちゃんが教えてくれた情報だ。お姉ちゃんは「マネージャーとかやらない?」なんて言ってきたけど、したくもないし、できるわけない。テニスが強いってことは、氷帝と同じでテニス部はモテて、マネージャーなんかになれば大変だし、妬まれるということだろう。大体、したいなんて言っても簡単にはやらせてくれない気がするし。まあ、どうせしないのだから、そんな心配は無用なのだけれども。

入学式で先生の長い話を聞いていれば、ボーッとしている人が大半だということに気がついた。大体は中学から立海に通っている人なのだろう。一体全体私は、その中で友達ができるのだろうか。
勉強は、なんとかなると思う。でも、性格ははっきり言って暗いし、見た目もそれに比例しているから、話しかけずらいだろう。自分から話しかける勇気も度胸も無いし、……まあ、苛められなければそれでいいかな、なんて。

入学式が終われば、教室に案内されて、席に着いた。自己紹介しなさいとか担任に言われたけど、あんま良いことは言えなかった。あまり良い印象は持たれなかったと思う。
席は廊下側から二番目で、後ろから二番目。
隣の席の男子の頭がモジャモジャでワカメみたいだったのが印象的だった。



*****




「遠藤さん、一緒に男子テニス部のマネージャーやらない?」


放課後。私にそう聞いてきたのは、クラスメートの話したこともない三人の女子だった。互いに仲が良さそうで、仲良しグループなんだろうな、ということが伺える。大方、私が高入生らなのを気にして、気遣ってくれているのだろう。


「男子テニス部ってすっごくカッコいいし、強いんだよ! 一緒にやらない?」

「遠藤さんとやれたら、楽しいと思うんだ!」


男子テニス部のマネージャー……それは、私にとっては一種のトラウマのようなもので、たとえ誘ってくれたとしても、なるのは躊躇われた。


「あたし達、遠藤さんと仲良くなりたいんだ!」


1人の女の子がそう言ったのがキッカケだった。
氷帝では友達なんて、片手で数えられるくらいしかいなかった。でも、姉がいない、此処でなら作れるかもしれない……そんな淡い期待が、私の胸を渦巻いた。
気がついたら私は、女の子たちに頷いてしまっていた。


2011/06/22(修正2012/10/08)
- ナノ -