my sister | ナノ


バスで着いた合宿所は実は氷帝の跡部先輩の所有する別荘らしく、とてつもなくでかかった。
既に青学と氷帝は着いていたようで、つい数時間前にも見た姉の姿が見えると、少し妙な気分になった。


「芽衣!」


姉も私に気づいたようで大きな声で私の名前を呼び、手を振った。周りの視線が私へと集まる。私は姉に、笑い返すことしかできなかった。


「なに、知り合い?」


切原くんが不思議そうに聞く。
ああ、そうか。彼には私が氷帝の中等部に通っていたことは言っていたけど、姉がマネージャーをしていることは言っていなかったっけ。


「うん。っていうか姉、だよ」

「え。マジで? 似てねぇー」


感嘆する切原くんに私は少し苛立ちを覚えた。私と姉が全く似ていないなんてこと、知っている。私と姉は姉妹に見られるなんてこと、全くと言っていいほどなかった。それほど、似ていない。だからそんなこと、私が一番よくわかっている。


「すげー美人じゃん。遠藤、あとで紹介しろよ」


ちゃかすように言う丸井先輩に、私はただうつむいて「はい」と小さく頷くことしかできなかった。



2012/02/18
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