my sister | ナノ


泉山先輩が転校してしまい早一週間。私は部員達に手伝ってもらいながらもなんとかマネージャーとしての仕事をこなしていた。これが手伝ってもらわなくても、全部1人でできるようになればいいんだけど。


「合宿、ですか?」


そんなある日のこと。私は突然幸村部長によって知らされたそれに驚いて、声を上げた。
私が聞き返せば幸村部長はうん、と頷く。


「それも四校合同。我が立海と氷帝、青学、四天宝寺。他校の力を知る良いチャンスだし、遠藤にもついて来てもらうから。あ、でも勿論他校にもマネージャーがいるから、安心していいよ」


幸村部長の説明に私は思わず絶句した。
合宿、というのは別に構わない。だってここは運動部であるのだし、合宿があるのは普通だろう。けど、問題は合同というところ。それも、氷帝。
他校のマネージャー、とは姉のことを言っているのだろうか。

こんな時がいつか来るのはわかっていたこと。でもこんなに早いなんて。

怖かった。
折角ここで築き上げてきた関係が姉によって壊されるのが。皆の私を見る目が変わるのが。
でも、皆なら変わらないんじゃないかと期待してしまう反面もある。でも、期待をしたってどうせ絶望を味わることになるだけ。ならそんな期待は最初から捨てたほうがいい。


「そう言えば、遠藤は氷帝の中等部に通っていたな。姉が氷帝のテニス部のマネージャーとして合宿に来ると聞いているが」

「ああ、はい。姉はしっかり者なので安心していいですよ」


柳先輩の問いに、答えることはできたけど目を合わせることなんてできなかった。
信じることなんてできなかった。だって、私はずっとそうやって生きてきた。



2012/02/05
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