my sister | ナノ


あれから泉山先輩は、きちんと幸村部長達にも話しをして、謝った。みんな泉山先輩が転校することに悲しんでいた。だけど、柳先輩はやっぱり知っていたようで、さほど驚いてはいなかった。とは言えどこか寂しげな表情をしていたけれど。
引越しの準備などもあって大変だろうに、泉山先輩はきちんと部活に出て、自分のマネージャーとしての仕事をしつつ、私にマネージャーの仕事(たとえばどうやったら美味しくドリンクを作れるか、とか、)を今まで以上に教えてくれた。
そうしていれば別れの時間を惜しむ間もなく、時は風のようにすぎ、あっという間に泉山先輩が引越しをする二日前になってしまっていた。


「芽衣ちゃん、部活終わった後、時間ある?」


その日、部活の時間の最中、泉山先輩にそう声をかけられた。


「ありますけど……」

「そう、よかった。あのね、芽衣ちゃんに私の妹の湊に、会わせたいの」


だから、病院に行くことになるんだけど……と、泉山先輩は続ける。


「ねえそれ、俺も行っちゃ駄目かな?」


何故泉山先輩がそんなことを言い出したのかわからなかったけど、その誘いを断る理由もなく、頷きかけたその時、突如背後から聞こえたその声に私は振り向く。
その声は、幸村部長だった。


「別に、構わないけど……」

「じゃあ、決まりだね」

そうして私と泉山先輩と幸村部長は、部活がわった後、病院に行くことになった。


2012/01/15
- ナノ -