my sister | ナノ
「私、泉山先輩のことが好きです。泉山先輩がたとえ私のことを嫌いでも、私はとても泉山先輩のことが好きです。凄く尊敬しています。だから、もっと仲良くなりたいんです。もっと色々なことを教えてほしいんです。だから、ちゃんとした理由もわからないまま、それを諦めるなんてこと、したくないんです」
まるで告白でもしているみたいだ、と私は思った。まあ、自分の気持ちを告白しているのだから間違いではないにだが。
でも、きちんと自分の気持ちを言わなきゃいけない。泉山先輩に、伝えなきゃいけない。
こんなこと、立海に来る前まではなかった。自分の気持ちを相手に伝えるなんてこと、しなかった。だけど、ここで、立海で、私は変われた。きっとそれは、みんなのおかげ。泉山先輩のおかげ。だから、
「ごめんね、」
ポツリ、と泉山先輩は小さな声で呟いた。それは、酷く落ち着いた声だった。
「本当は、芽衣ちゃんは何も悪くないの。弱い、私がいけないの。今まで酷いこと言って、ごめんなさい」
そう言う泉山先輩は、最近の変わってしまった泉山先輩ではなく、以前の、優しい泉山先輩だった。でも、どちらにしても、こんなに弱っている泉山先輩を見るのは初めてで、私は戸惑う。
「本当は、もっと前から言わなきゃダメなことだったんだけどね……」
「はい、」と私が相槌を打てば、思い切ったような表情で泉山先輩は口を開く。
その声はすぐそばまで行かないと聞こえないくらい弱々しく、小さな声だった。
「私、近々事情があって、引っ越すことになったの。それで、転校するの」
時が止まった気がした。
今、なんて?
そう聞き返す私の声は震えていて。
信じられなかった。信じたくなかった。冗談と言ってください。お願いですから。
せっかく仲良くなれたと思ってたのに。ようやく和解することができそうだと思ったのに。なんで、
「私、立海からいなくなるの」
2012/01/07
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