my sister | ナノ
その日の夕飯の時間。家の食卓でハヤシライスを食べながら思わずハァ、と溜息をつけば、隣に座る姉が心配そうにどうしたの、なんて聞いてきた。
ううん、別に、と返しながら私は目線をハヤシライスへと落とす。
泉山先輩は、本当に姉とよく似ていた。
優しくて美人で、気配りができて、頭も良くて、運動神経が良くて。
皆から信頼があって、私の憧れ、だった。
憧れ。
泉山先輩のように、姉のように、ずっとなりたかった。憧れで、大好きだった。大好きだった、のに。
「ねえ、お姉ちゃん。心当たりが全くないのに、嫌われちゃった時って、どうすればいいと思う?」
私がそう聞けば、姉は一瞬、キョトンとしたような表情をして、優しく笑った。
「心当たり、本当にないの?」
「うん、全く。急に、嫌われちゃったみたいなんだ」
そう力なく笑えば、姉は困ったように眉を潜めた。
姉さんにこんなことを相談しても仕方がないってわかってる。だって姉は人にいきなり嫌われる様な経験はしたことがないだろうし。でも、姉は優しいから、私のために、一生懸命考えてくれた。
「理由、聞いたの?」
「聞けないよ、そんなの」
「聞きなさいよ。じゃないと、何も始まらないじゃない」
姉の言った言葉に私はギュッとスプーンを強く握る。
わかってる。わかってるよ、そんなこと。だけど、怖いんだ。
「意気地なし」
姉はそう唇を尖らせて言った。
そうだよ、私は意気地なしだよ。意気地なしで、何が悪いの。
「待ってるだけじゃ、何も解決しないのよ」
泉山先輩、どうしてですか。私は、何かしましたか。
あと少し。あと少し、私に勇気があったら何か変わっていましたか。
2011/12/25
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