my sister | ナノ




「ねえ、遠藤。君は、泉山が最近何かあったか、知らない?」


部活の時間、幸村部長が泉山先輩のいない隙を見計らって、私に聞いてきた。
幸村部長のすぐそばには、ノートとペンを持った、参謀と呼ばれる柳先輩がいた。

その質問を、私にするのは至極、当たり前のことだった。
最近、泉山先輩の様子がおかしい。それは最早周知の事実。だけれども、私に対しては決定的に、誰の目から見ても明らかなくらい、おかしかった。だから、泉山先輩がおかしくなってしまった原因が私にあると考えるのは当たり前のことでー‥。


「最近、泉山の様子がおかしい。俺達と喋っていてもぼんやりとしていることが多くなったし、今までよりも怒りっぽくなった。だが遠藤。泉山のおまえへの対応は今までとは違いすぎる。遠藤が泉山がおかしくなった理由に関係している確率は、86%だ」


柳先輩がノートを見ながら淡々と言った。
だけど、そんなことを言われてもー‥と、戸惑う。全く、心当たりがない。私だってあれから何度も自分が何か泉山先輩にしてしまったのか思い返している。だけども、わからない。
泉山先輩に直接聞く勇気なんて私には既に残されていなかったし、私と泉山先輩の間に気まずい雰囲気が漂うことが多々あり、聞けるような状態ではなかったからだ。


「泉山先輩の様子がどうしておかしくなってしまったのかは、わかりません。心当たりもありません。寧ろ、私が知りたいくらいです」


私が何かしてしまったのならば、きちんと謝りたい。でも、何に謝ればいいのか、見当もつかない。

柳先輩は「そうか」と何かをノートに書き込み、幸村部長は「そっか、何か思い出したりしたら言ってね」と、少し困ったような表情をして練習へ戻っていった。



2011/12/14
- ナノ -