my sister | ナノ



泉山先輩の様子が一変してから一週間が経った。
だけど、泉山先輩は元通りになる気配すらなく、ことあるごとに私にダメ出しをしまくり、更には「そんなにテニス部の人と仲良くしてたら女の子達に嫌われるわよ」なんてことまで言い出した。

なんでそんなに言われるのかわからなくて、記憶を泉山先輩が変になってしまったあの日に戻したって、泉山先輩の気分を害すようなことをした覚えはなく、手のつくしようがなかった。


「嫌われちゃったのかな、私……」


思わず溜息混じりにそう呟く。
もうそれしか考えられなかった。
思い当たる節なんて全くない。けどきっと、そうなのだろう。私は泉山先輩に、何かをしてしまったに違いない。


「まあ、そうなんじゃねーの。遠藤がとろくさくて嫌気が刺したとか」


切原くんは私の独り言を聞いていたらしく、ちゃかすようにそう言ってきた。
だけど私の心はそんな切原くんの冗談に応えられるほどの元気はなく、うう、と俯いた。


「でもまあ、泉山の奴、最近、俺等に対してもなんか冷たいぜ? なんか苛々してるっつーか……。遠藤への対応と比べたらかなり劣るけど」


フォローを入れたつもりなのか、切原くんの隣にいた丸井先輩はぷくーっとガムを膨らませながら言った。


「泉山先輩、何かあったんでしょうか?」


私が問いかけても先輩は「さあな」と言うだけで不安は増すばかりだった。
折角、友好な関係を築くことができたと思ったのに。



2011/12/08
- ナノ -