my sister | ナノ



とある日の二限目の英語の時間。
昨日宿題として出されたプリントを提出するため、後ろから回ってきたプリントに自分のプリントを重ね、前へ回すべく前の席に突っ伏する切原くんを見た。
余程朝練が疲れたのか寝不足なのかは知らないが、切原くんは心地よさそうに熟睡している。


「切原くん」


小さくそう呼んでみるが、全く起きる気配がない。
切原くんの前の席に座るプリントを持ったまま困った表情をしているクラスメートと目が合った。互いに苦笑いをするしかなくて。

そろそろプリントを前へ回さないと怪しまれる。
そう判断した私は苦肉の策として切原くんの椅子の底を軽く蹴った。ごん、という鈍い音ともに切原くんはガバッと体を起こす。


「切原くん、プリント」


そう言って何事もなかったかのように切原くんにプリントを渡せば、彼はなんとも言えない表情をしてプリントを受け取った。



2013/01/08
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