my sister | ナノ




「げっ、また遠藤の近くかよ」


そう言って後ろを振り向いた切原くんはゲンナリした表情で私を見た。
立海に入ってから約二ヶ月。本日、私のクラスで席替えをした。運良く窓際の後ろから二番目の席をゲットしたのはいいのだがのなんの因果か前回隣の席だった切原くんが前の席。


「ま、まあこれからもよろしく」


どもりながらもそう言えば、切原くんは「ハッ」と鼻で笑って前を向いた。少しだけ、心が傷ついた。けど、気にしないことにしよう。
でもまあ切原くんとはそれなりに仲良くなってきている気がする。心を開いてくれるわけじゃないけど、こうやって冗談を言い合えるくらいの仲にはなった。とは言えまだ警戒されているような気がするようなというか多分まだ警戒されている。けど、最初の頃と比べたら随分と進歩した。


「芽衣ちゃん、近くの席だね。よろしく」


その切原くんの横、つまりは私の右斜め前の席にはめぐちゃんがいた。めぐちゃんはニッコリと私に微笑んでくれる。
梓ちゃんやはなちゃんとは離れてしまったけど、中々良いくじ運だったと思う。っていうかこのクラスの人達は皆優しいから良いも悪いもそこまでないんだけれども。

こんなにもクラスに馴染めたことが嬉しくて。
(だって中学の時はいつだって、私はクラスでどこか浮いた存在だったから)
どうして今まで私はこんなこともできなかったのだろうかと不思議に思えるくらいで。

立海に来て良かった。そう、思えた。



2011/11/16
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