my sister | ナノ



あのゴキブリ事件の次の日。
私が先輩にゴキブリホイホイ的なものを何か部室に置きたいと言ったところ、じゃあ自分で買ってこいよ! ついでに買い出しも! ということになり部員のサポートは泉山先輩に任せ、今日は私は買い出しに行くことになった。が、


「幸村、俺も行きたいナリ」


いやいやいや仁王先輩、なに言っているんですか。と、私は心の中で突っ込む。
いや、別に嫌なわけじゃないんだけどね、私と仁王先輩は別に仲が良いわけでもないし、二人で行ったら絶対に会話が続かないと思うんだ。つまりそれは気まずくなるわけであって、だったら私一人で行ったほうがマシということで。あ、やっぱり嫌だ。


「ダメ。仁王、サボる気なんだろ?」

「そ、そんなことないぜよ」


仁王先輩がぷい、と明後日の方向を向いた。
それに私、仁王先輩とはあんまり面識ない上に銀髪で不良そうだから嫌なんだよなあ。嫌っていうかまあ、苦手。だから幸村先輩が許可を出さなかったのは良いが、なかなか引き下がらない仁王に幸村先輩はハァ、と溜め息をついた。


「……まあ、遠藤も初めてだから何を買うのかよくわかってないかもしれないしね。今回だけだよ。その代わり、買う物買ったら寄り道せずに早く帰ってくること。いいね?」


「わかったぜよ」と嬉しそうに頷く仁王先輩。
え、マジですか。……ま、まあポジティブに考えよう。これを機に仁王先輩と仲良く……なれないか。
テニスコートからジロリと私を睨みつける切原くんを視界の端に捉え、私は軽く溜め息をついた。



2011/10/28
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