食欲
菓子が無くなり、距離がゼロになって唇同士が軽く触れ合う。照れくさいのか名前はすぐに離れたがったがそっとその色づいた頬に触れた。ほんの少しだけ離れてしまった先にある彼女のをぺろりと舐め、今度は其処をこじ開けながら口付けた。
触れ合った舌の温もりが、俺の理性をどろどろに溶かしそうになるのをぐっ、と抑え込む。名前も、もっと欲しいと思ってくれないだろうかともどかしいぐらいに、ゆっくりと丁寧に、舐め尽くし味わって、奪い尽くした。
だが、もっとだ、もっと君を貪りたい。
「君を全て味わい尽くしたい…ダメだろうか」
そう伝えると、さらりとした髪を滑り落として俯いてから、名前は俺の胸元にきゅっと縋り付く。艶のある髪から覗いている耳は先程より益々朱に染まっていた。ああ、なんといじらしい事だろうか。
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