バーン→ガゼル
テレビに映る小動物に可愛いと叫ぶ皆。その中心に座るのはガゼルだった。我が目を疑う。何故ガゼルが居るのか。再び映し出される猫の赤ちゃん。可愛いという黄色い悲鳴。ガゼルは叫びはしないもののうっとりとそれらを見つめていた。
やはり全てを知り得てはいないのだとバーンは思う。彼は秘密が多い。可愛いものが好きなんて初耳だ。新しい動物が登場する度、肩が震えて嬉しそうな顔をするガゼル。
ああ、ああ、あんなに幸せそうにしやがって。
バーンは急いで部屋に戻った。確かバーラから貰った、もとい押し付けられたうさぎ耳のカチューシャがあったはず。それを見つけて、頭に装着。ガゼルに見せれば可愛いと喜ぶはず。まあバーン自身が可愛いかどうかは分からないけど、うさ耳自体が可愛かったから。
「ガゼル!」
「バーン?」
自室に戻っていたガゼルに例の物を見せた。ぴょんと跳ねる長い耳をはじけば、彼は肩を震わせた。喜ぶ時の反応だ。どうだ、と腰に手を当てると、ガゼルはバーンに近付いてきて肩に手を置いた。
さあ喜べ、可愛いと言え。
「バーン」
さあさあさあさあ!
「なあ、バーン。頭がおかしくなったのか? 病院に行くか?」
……?
あるぇー。
か:可愛いものが好きな君
2010.02.06
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